その689 外来種と在来種
島崎藤村の作詞した「椰子の実」と言う歌がある。
♪ なもしらぬ~とおきし~まより~ ♪
♪ な~がれよる~やし~のみひとつ~ ♪
そんな歌を口ずさみたくなるような光景は霞ヶ浦にもあるよ。
だがね、流れ着いているのは椰子の実ではない。
ミズヒマワリである。
ミズヒマワリは特定外来生物法に指定されている外来植物で、
その繁殖力は極めて強く他の植物を圧倒するほどだ。
で、こんな形で流れ着いた茎だけでもこの地に根を下ろし、
増殖して行くのである。
おっと、でもちょっと待てよ。
水生植物の多くが僅かな茎だけでそこから根を伸ばし、
発芽して増殖して行くのだ。
なにもミズヒマワリに限ったことではないんだな。
それに、日本各地に増えている外来植物だって、
そこで元々暮らしていた在来の植物を、
人間たちが寄って集って環境を改変したので駆逐され、
その隙間にちょいとお邪魔しますよ・・・的に育っただけなのである。
だから、外来植物は一時的には増えるけれど、
生息環境がマッチしなければ自ずと死滅すると思うんだな。
これって間違い?
自然の生き物の多くがそうであるように、
違う環境に入ると種の保存本能が高まって爆発的に増える。
けれど、安定期に入ると慎ましやかに生きて行くもんだ。
のさばっているのは人間だけだな。
同時に遠慮会釈や謙虚さがないのも人間である。
ミズヒマワリのすぐ傍には在来種のガマが流れ着き、
もうすっかり根を張っていた。
ガマは本来水中に根を張るものであるが、
ある程度環境が整っていると砂浜でも生きて行けるんだなぁ。
やはり、自然の生き物はしたたかである。
さて、この浜ではどちらが蔓延るのだろう?