WBSプロ第2戦 レポート


春を制したアジャスタビリティー

4月22,23日の二日間、土浦新港を起点に行われた2017年W.B.S.プロトーナメント第二戦は両日ともまずまずの天候に恵まれた。

だが、それは土砂降りだったり、爆風に襲われたわけではないという意味だ。

初日は風が冷たいローライト、二日目も風は冷たかったが微風でハイライト。この激変した天気が選手を悩ませた。その意味では天候はまずまずどころではなく、ただでさえ難解な春の釣りを一層難しくしてくれたのである。

この季節の試合では、エリア毎に異なるであろう産卵に向かう魚の状況を把握してプランを立てるのがキモといえるが、それを見誤るとドツぼにハマる危険性も帯びている。

30チーム60名の選手も、そういったリスクを覚悟しつつ試合に臨んだはずである。

この試合もチームの分布は広範囲に及んだ。

本湖西浦、東岸、東浦、北利根川、そして北浦、桜川、小野川。時期的にどのエリアからも魚は持ち込まれたが、それは魚の状況に釣りが合っていたからと思われる。だから釣って来たチームに共通するパターンはあまりない。

本湖のオフショアーから釣って来たチームもあれば、ドシャローから魚を持って来たチームもある。だが、トップに立ったのはやっぱり太いプリメスを揃えたチームであった。

二日間の結果を分析すると、フルリミットを達成したのは5チームしかいなかった。優勝と3位がそれぞれ8本、9本だったことを見てもわかるように、やはりビッグバスを混ぜたチームが上位に入った。数も型も釣れる秋とは違い、春の釣りの難しさが表れたといえよう。

特徴的なのは初日に良かったチームがほとんど上位に入ったこと。激変する状況にうまく対応できたことが結果につながったと思われる。

それでは上位チームのパターンを振り返ってみよう。

5位
松村寛・渡辺博昭チーム 9720g/10F

丁寧さが実を結びました

プラではまったくダメで泣きそうになる感じ。唯一、感触がよかったのが土浦周辺と桜川。魚が居るという確信はつかめた。
見えていなかったので初日はいろいろなスポットを回って試しながら釣っていった。その結果、土浦周辺の沖目のブレイクや杭で反応が良く、そこを重めのジカリグやネコリグで丁寧に釣っていくと、ポロポロと釣れた。
初日は5445gで三位スタートだったが、再現性がないことは分かっていたのでシャローに目を転じ、やはり土浦周辺の石積みをネコリグメインに丁寧に釣り拾っていった。パートナーの渡辺選手は松村選手と違う釣りを心がけ、タイニーブラシュホッグのヘビダンでウェイトアップに貢献。お立ち台を確保した。


4位&2日目のビッグフィッシュ賞

平本直仁・早乙女”go Saotome”剛チーム 9980g/10F

楽しめたフットボール対決

最近、以前より釣りに出られるようになった平本選手、プラではシャローでナイスプリが数本釣れたこと、浚渫ではプリが獲れなかったことから初日は東岸のシャローに直行。チャターやネコリグのスイミングなどで釣っていったが音なし。そこで風が出たタイミングで南岸へ。ミノーでキロアップを獲った後は北利根に移動。そこで平本選手がキャリラバ、早乙女選手がナカタジグというフットボール対決で3本追加。そこから土浦周辺のハードボトムに移動してフットボールでリミット&入れ替え。4720gで8位スタート。
2日目は南岸の浚渫でいきなり1950gのビッグフィッシュゲッツ! 1mのハンプトップにヴァルナをただ巻きしたら喰ってきたという。後は二人で楽しくフットボール対決。2日目のトップウェイト5260gを叩き出した。
理論的に裏打ちされた平本選手の釣りを早乙女選手が褒めれば、平本選手も早乙女選手の最強のパートナー振りを評価していた。


3位

草深幸範・小谷野慶太チーム 10080g/9F

魚の状況の応じた釣りを心がけた

本格的にメーカーを立ち上げた今年、プラには2日間だけしか出られず、しかも4月の釣りのイメージが明確ではなかったので、とりあえず季節の進行を見るために全域を回った。その結果、エリア毎に魚の状態が違うことを察知して、試合ではそれぞれ適材適所の釣りを心がけた。
2日間とも北利根川、スノヤハラ、西の洲、古渡、西浦をローテーション。風や天気の変わり目などのタイミングに応じてラン&ガンしていった。
釣り方は基本的にシャローはスナッグレスネコリグ、沖はミノーとキャロだった。
初日後半、ヴァルナがボトムに着く前に喰ってきたので、プリメスは浮き気味なことを掴んで、2日目はキャロもサーフェイス付近をフワフワさせて魚に口を使わせた。
パートナーの小谷野選手も「貴重な体験をさせてもらった」と素直な感想を漏らしていた。


2位

蛯原英夫・佐藤善幸チーム 10105g/10F


プロトワーム炸裂!

当初、春でもマイゲームを貫こうとプラを行ったが5日のうち4日は魚が数釣れなくてイマイチ。そこで苦手な春のゲームを追いかけないことを決意して小野川をチェックしてみれば、魚は多く2ケタゲット。
そこで釣り方も見つけた。というのはいつものダブルモーションのテキサスなどはバイトがあっても甘噛みばかり。何故かと考えた。そこでわかったことは魚もいろいろで、アフターの魚ならダブルモーションの強い波動でも食ってくるが、違う魚は喰わない感じ。
それならと試してみたのが、少し前からデザインしていたプロトのワーム。2.5gのテキサスをリグって投げると一発で食ってきた。これはたまたまかと思ったが、次も一発で食ってきた。これは本物と確信。作戦は決定した。
そのワームとは、一見グラブ。違うのはアクションが微波動で、それをズル引いたり、スイミングさせたり、ハングオフさせると弱い動きが効いて効果絶大だった。手前でバイトが多発したということは、見切らずに追いかけて来たということか。
意を強くした蛯原選手は小野川で初日7時半にリミットメイク。本湖に出て入れ替えて5425gで4位スタート。
ハイライトの2日目も当然小野川にカッ飛んだが2本しか釣れず、10時半に本湖へ。しかしプロトワームの威力は絶大で、西浦でも5本獲るなど絶好調。トータルウェイトを10105gにまとめた。
途中、JBの選手とエリアをシェアーしたが、気持ちよく場所を譲ってくれ、そこでナイスな魚を獲ったという。そのスポーツマンシップには蛯原選手も感動していた。
パートナーの佐藤選手にとっては、実に貴重な2日間だったことだろう。

優勝
大藪厳太郎・内海昭チーム 10575g/8F

勝因はその日その日にアジャストできたこと

ランボルトの取材でボートを出したぐらいで、プラは満足に出来なかったという大藪選手、前日の金曜日だけ全域を回って場所探しの旅に出た。しかし感触が悪くなかったのは本湖のボディウォーターのみ。
そこで初日はとりあえず釣り方を見つけようと出て行った。ローライトで風もいい感じ、おまけに若潮のタイミングで「これは巻くしかないだろう」と曇天が続く限りハードベイトを投げ続けようと作戦決定。古渡の浚渫でランボルトを巻けば好調に3本ゲット。風が弱くなってきたタイミングで東岸のハードボトムに行けば、またもやランボルトが火を噴く。
つぎにローライトの釣りも試してみようと、ドック周辺でネストに向かう魚をフィネスで狙えば喰ってきた。すでにまずまずの魚が入ったので、そこからは余裕の行動。北利根に行ってダメで「これで明日は北利根はないな」と判断する。
12時になって風と太陽が出てきて「釣るべきタイミングだ」と西浦の石積に行ってみれば内海選手がナイスサイズゲット。やるじゃん、とそこでランボルトを投げれば1800gがきちゃったりして、やることなすこと上手くいった初日、7025gという破壊的な数字を刻んだ。
2日目は大量リードで余裕? と周囲は思ったが、本人は「まさかあの悪夢が再び」とやや弱気。過去、初日に大量リードで2日目にみごとにコケた経験があるから大藪選手も安閑とはしていられない。
2日目は晴れで高気圧バリバリ。「今日は巻かないぞ」と出て行ったが「1時間だけ浚渫をやろう」としたが、風も水も冷たい。おまけにいい魚を1本バラしてリズムは最悪。ここで深追いしなかったことが結果的に良かった。スピニングに変えてガルプの1/32gのダウンショットという正反対の釣りに転向。ドック周りのタテストのような壁に落としてなんとか2本確保した。
だが、13時までその2本のみ。悪夢が現実になろうとしていた13時10分に来たのが1680g 。お立ち台さえ逃したかと落胆したのが「ひょっとしてこれで入賞?」と元気を取り戻した。
結果的に優勝できたのはその日その日にアジャストできたこと。やっぱり釣りは冷静に「その日を釣らないといけないと痛感しました」と語っていた。
パートナーの内海選手は初戦2位で今回優勝。とんでもないラッキーボーイだ。だが大藪選手は「ボーターに気を遣ってくれる最高のコアングラー」と高く評価していた。
春先が苦手だった大藪選手の優勝はA.O.Y.戦線に波乱を巻き起こすのか? 残りの試合がとても楽しみになって来た。

初日のビッグフィッシュ賞
高橋亨・加藤義明チーム 1860g

ほぐすように引くのがキモでした

初日のビッグフィッシュ賞は高橋亨・加藤義明チームの1860gが獲得した。
場所は北浦上流。木ジャカにハゼドンシャッドの5gダウンショットを這わせて獲ったものだ。キモはチョンチョンとボトムをほぐすようにスイミングさせること。同じスポットを流したチームの後で釣れたというから、これはテクの勝利というしかない。

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