大石智洋・早乙女剛チーム
バスという「幻の魚」を拾いまくり
ファイナルウイナーに!
A.O.Y.の栄冠は小島貴の頭上に!
コロナ禍に翻弄された今年のW.B.S.トーナメントだったが、なんとか最終戦まで漕ぎつけた。
オープン戦を挟んで3試合開催できたのだ。
中止やキャンセルを余儀なくされたスポーツが多い中で、これは僥倖というしかない。
ところで、今回の最終戦で思い知らされたことがある。
それは……
いまの霞ヶ浦・北浦は超絶釣れない湖だということ。
前回のオープン戦あたりからその兆候はあったが、ますますひどくなってきた。
ましてや季節は11月後半で、基本的に釣れない時期である。
そこで行われた最終戦。
フルリミットなどあるわけない。
単日のリミットすらない。
そして二日間完全ノーフィッシュが7チーム。
これでは霞ケ浦のノーザンラージマウスバスは「幻の魚」というしかない。
次に…
試合では何が起こるか分からない、ということ。
というのもクラシックレースにおいて、大逆転が見られたからだ。
特に大藪厳太郎選手、松村寛選手は、第2戦終了時点でそれぞれ21位、22位だった。
最終戦の初日が終わっても松村選手は13位に上がったが、大藪選手はまだ20位だった。
それが結果的に7位、9位までランクアップしたのだ。
大藪選手などは初日565gというウェイトで16位。
それが最終日にビッグウェイトを固めて準優勝。
クラシック権ももぎとった。
やっぱり何事も諦めてはいけない。
もう一つ思い知らされたことは……
W.B.S.はチームトーナメントだということ。
とくに優勝チーム、A.O.Y.を獲得したチームのコアングラーの働きが大きかったからそう感じたのだ。
最終戦では二人で力を合わせて優勝を目指すという、W.B.S.の基本コンセプトが実によく表れた。
さて、それでは初日の状況から振り返ってみよう。
未明から土浦新港はやけに暖かかった。
気温は16℃もあったのだ。
その暖かさは日が出てからも変わりはなかった。
一つ変ったことといえば、9時過ぎから吹き始めた爆風。
北東系の強烈な風が霞ケ浦・北浦を荒れさせたのである。
湖面には大波が押し寄せた。
これには各チーム悪戦苦闘。
とても釣りどころではない。
生命の危険さえ感じた。
結果的に32チーム中半分の16チームがノーフィッシュに終わるという、悲惨さを招いた。
A.O.Y.レースも波乱の幕開けだった。
2位に付けていた今井選手はボートトラブルに見舞われ、3位に付けていた橋本選手は古渡の水路でミス連発。
ともにノーフィッシュに終わった。
一方、暫定トップの小島選手は、上杉選手の働きで1675gというビッグフィッシュを持ち帰り、リードをさらに広げた。
二日目の朝は寒かったが、風は一転して凪いだ。
だから各チーム、思い思いのエリアにエントリーできた。
それが初日を上回る釣果をもたらした。
全般的にウェイトも上がった。
ノーフィッシュも11チームに減った。
しかし、二日間完全ノーフィッシュのチームが7チームも出たということは、
釣れない状況は天候には関係ないことを証明した。
いまの霞ヶ浦・北浦でバスを釣ることは至難の業なのである。
そんな中で見事に優勝を勝ち取ったのは大石智洋・早乙女剛チーム。
このチームがプラで結論付けたパターンは2つ。
浚渫のフラットでの巻き。
そしてシャローカバーだった。
だが初日の浚渫は音無し。
結局、西浦・南岸で早乙女選手がチャンクローのテキサスで仕留めた1本のみだった。
その後は迷走して終わり。
まさかこのチームが優勝するとは……
それがトーナメントの面白さなのである。
しかし二日目は浚渫が炸裂。
1時間で3本立て続けに釣るというプチラッシュ。
ネタはバイブレーションの早巻き。
二人ともその釣り方を継続した。
前週のプラで確信を持ったという。
結果的に1565gのビッグフィッシュを含む4135gを持ち込んだ。
大石選手は今年W.B.S.デビューでいきなり優勝。
今までのキャリアはダテではないことを証明した。
もっとスゴイのは早乙女選手。
初戦は6位だったが、第二戦、第三戦と連続優勝。
完全に「優勝請負人」として世界にその名を響かせた。
●大石智洋タックルデータTackle1
ロッド:ダイワ ブラックレーベルFM6101LFB(オンリーワン改バージョン)
リール:ダイワ タトゥーラ SV TW
ライン:サンラインFCスナイパー 14lb
ルアー:バークレイVB60R、ジャッカルTN60
Tackle2
ロッド:オンリーワンオリジナル 70H
リール:ダイワ SV Light Limited
ライン:サンライン BMS 14lb
ルアー:モコリークロー スゴイシンカー5gテキサスリグ
●早乙女剛 タックルデータ
Tackle 1
ロッド:Jackall BPM BC-65M
リール:ベイトキャスティングリール
ライン:Jackall レッドスプール 14lb
ルアー:Jackall チャンクロー3.5in 3/16ozテキサスリグ
Tackle 2(ビッグフィッシュ)
ロッド:Jackall ポイゾン ヘリテージVCM-CAST HC-610M LRG
リール:ベイトキャスティングリール
ライン:Jackall レッドスプール 14lb
ルアー:Jackall TN65
準優勝は初日1本565gという超スロースタートの大藪厳太郎・小石博明チーム。
初日は浚渫、スノヤハラ、妙技と周ったが
大風の影響もありノーフィッシュ。
帰着間際に桜川河口の石積みで1本獲っただけだった。
凪いだ二日目は浚渫勝負。
小石選手のスピナーベイトが炸裂して連発。
小石劇場の幕が上がった。
さらに5メーターのボトムにニシネワームのダウンショットを落として
食わせてしまうという秘技も見せて単日トップの4380g。
一気に準優勝まで駆け上った。
●大藪厳太郎タックルデータ
Tackle1
ロッド:Evergreen international インスピラーレ TKIC-66M コブラDG66M
リール:ベイトキャスティングリール
ライン:東レ エクスレッド 13lb
ルアー:イマカツ ジンクス スーパーブレイド 3/8
Tackle2
ロッド:Evergreen international TMJS-64L スカイマスターLV
リール:スピニングリール
ライン:東レ エクスレッド 4lb
ルアー:イマカツ IK スピンジャーク
Tackle3
ロッド:Evergreen international TKIC-66MH ブラックレイブン エクストリームRS
リール:ベイトキャスティングリール
ライン:東レ エクスレッド 14lb
ルアー:イマカツ タイニーゲンタホッグ
●小石博明 タックルデータ
Tackle 1
ロッド:ダイワ ブラックレーベル 661MRB-G
リール:ダイワ スティーズ SV TW
ライン:ダイワ モンスターブレイブZ 14lb
ルアー:ダイワ スティーズスピナーベイト 1/2
Tackle 2
ロッド:ダイワ スティーズ ブラックジャック 681MMHFB-SV
リール:ダイワ スティーズCT
ライン:ダイワ スティーズフロロ 14lb
3位は初日、二日目とも西浦のピンスポットを巡り、丁寧な釣りを心がけた松村寛・正木敦チーム。
そのヒントを得たのが初日の爆風。
結果的に西浦で釣りをせざるを得ず、松村選手が把握している沈み物を撃って答えを見つけ、二日目もその釣りを続けてトータル5本の貴重な魚を確保した。
ネタは松村選手がドライブビーバーのテキサス、正木選手がツインテールリンガーのネコリグ。このチームもコアングラーの働きが大きかった。
●松村寛 タックルデータ
Tackle1
ロッド:ダイワ ブレイゾン 691H
リール:ダイワ スティーズ SV TW
ライン:フロロカーボン 20lb
ルアー:エキップ 1/2+ドライブビーバー4(エビミソブラック)
Tackle2
ロッド:ダイワ ブラックレーベル 610ULRB
リール:ダイワ SV Light TN 6.3
ライン:ラインシステム ザルツ 10b
ルアー:O.S.P ハイカット DR SP (HF ワカサギ)
正木敦 タックルデータ
Tackle 1
ロッド:Evergreen international HCSC-60UL/MST スパークショット
リール:ベイトキャスティングリール
ライン:Evergreen international バスザイル 10lb
ルアー:Evergreen international ツインテールリンガー4.7
そして4位がA.O.Y.を獲得した小島貴・上杉真琴チーム。
プラでは西浦で釣れまくっていたようだが、
本番では状況が一転して渋くなり、初日は上杉選手が獲ったビッグフィッシュ1本のみ。
しかしこの1675gは小島選手のA.O.Y.獲得に大きな意味を持った。
追うものの戦意を喪失させたからである。
二日目も西浦・南岸を攻めて何とか2本のグッドサイズを絞り出し、4位入賞。
小島選手はこれでA.O.Y.を決定づけた。
上杉選手のフォローも大貢献した。
ネタは小島選手がフラップクローのテキサス、
上杉選手がボウワームのネコリグとダブルモーションのジカリグだった。
上杉選手 Tackle data (ビッグフィッシュ)
Tackle 1
ロッド:Evergreen international オライオン OCSC-69MH ムーンゲイザー
リール:ダイワ スティーズ CT
ライン:Evergreen international バスザイル マジックハードR 12lb
ルアー:Evergreen international ボウワーム 6
5位は二日間とも西浦・石田のハードボトム、古渡、和田の浚渫を巡った
渡邊尚昭・加藤永樹チーム。
渡邊選手のスタッガー3インチ3.5gテキサス加藤選手のハイカットDRが冴えまくった。
こうして2,020年のW.B.S.
最終戦は大石・早乙女チームの優勝、小島選手のA.O.Y.獲得という結果に終わった。
今年はイレギュラーなシーズンで、超釣れない試合が続いたが、それでも見どころは少なくなかった。
残るはクラシック。
無事に開催できることを願いたい。
11月25日。レポート 大和小平。