勝利の女神が微笑んだのは
The 丁寧な釣り
小島貴・澤田和昭チーム
春の北浦戦でトップポイント・ゲッツ!!
2023 WBSプロトーナメント 第二戦レポート
初戦から4週間後に行われた第二戦。
当日は朝から気温7℃と極寒。
だから4月下旬とはいえ気候的には初戦とほぼ変わらなかった。
しかし、今回は北浦スタート。
エリアも大幅に変わったことから、各チーム、ゼロからの作戦立案を余儀なくされた。
大方の見方は霞ヶ浦より厳しいというものだったが、名手揃いのW.B.S.戦士にしてみれば相手にとって不足なし。
なんだかんだ言っても魚を見つけ出し、手を変え品を変え口を使わせ、まずまずのスコアを作って来たのだった。
勝負事には流れというか巡り合わせというか、または得意不得意というか、そんな得体の知れない要素が潜んでいるように思われる。
今年起こったことは、「昔もそんなことがあった」
そう思い当たる節があるのである。
なぜそんな発想にとらわれたかというと、潮来マリーナスタートの今回の勝者が小島貴選手だったからである。
小島選手は2022年の潮来マリーナスタートでも勝った。
昨年は3月の第一戦だったが、今年は1か月遅れの4月の第二戦。
それでも同じ北浦戦である。
つまりは北浦2連勝。
北浦は小島選手のフェーバリットウォーターなのか、という気がしてくる。
だが同じ北浦戦でも、今年はまったく違うゲームで勝ったという点では根本的に違う。
昨年のウィニングエリアは巴川河口だった。
決め手は忘れもしないDゾーンのWインディアナ。
その強波動を利してビッグバスを仕留めた。
そんな小島選手だけに、澤田和昭選手と組んだ今年も北浦でゲームを進めても不思議ではない。
ていうか、昨年の勝ち方に影響されて、どうしても2匹目のどじょうを狙うからである。
しかし小島チームは違った。
北浦をあっさり切り捨てたのである。
その理由はプラでまったく釣れなかったから。
実は試合前に腰を痛めた小島選手、満足にプラもできなかったが、それでも前週の日曜日に竿を出せば、北浦本湖の魚っ気のなさに愕然。
そこで前プラで北利根川に行ってみれば、いとも簡単に釣れてしまった。
葦のポケットの奥では700から800のプリが、沖目ではアフターの魚がイージーに釣れたという。
すべて葦がらみで、「それならここで勝負しよう」と北利根攻めに決定。
サードフライトの3番目とスタートは遅かったが、一路北利根川を目指した。
この日は朝から非常に寒く、スタート時の気温は10℃を下回っていた。
天気は曇り、次第に晴れてくるという予報だった。風はそれほどでもない。
そんな状況だった。
北利根川の好調さは他のチームも把握していたようで、多くのボートが下流から上流まで犇めいていた。
もちろん北浦本湖で勝負をかけたチームも少なくなかった。
しかし結果的に1位2位4位は北利根組だった。
さて、前述のように北利根川でエレキを降ろした小島チーム、
前日のような景気のいい釣れ方はさすがに再現されなかったが、それでも1時間で2本。
フラップクロー3.3の5gフリーリグで仕留めた。
1本は葦+レイダウン、もう一本は沖の葦だった。
その後はしばし沈黙したが、お昼頃、ウェイクの昼休みを狙ってそのスポットに戻ってみれば、狙い通りの静かな水面。
そこで1本追加して、これはリミットメイク? と腰が浮いたが、ウェイクが再開してババ荒れ。
3本で帰着した。
トレーラーウェイインは最後。
小島選手は魚のウェイトを計っていなかったので、3205g ? うーむ、これはThis is微妙。
そう思ってステージに上がり、スケールの数字を自らの手で隠し、しばらくしてそれを除けたら、浮き出た数字は3270g!!
65g差で赤羽修弥チームを上回り、北浦2連勝を果たした。
小島選手が今回心がけたのは丁寧な釣り。
ひたすら丁寧に気持ちを籠めてリグを送りこんだ。
そのソフトプレゼンテーションに春先のナーバスなバスが惑わされたといえよう。
そのキャストを見ていたパートナーの澤田選手は、家でキャスト練習を再開したそうだ。
実は小島選手、今回の試合に際して、PEラインを組んだスピニングタックルを用意して、プラでは北利根川の「階段」などに挑んだそうだ。
しかしすぐに「やっぱり浅いところで勝負したい」と方針変更。
その判断も奏功した。
いずれにせよ、北浦を封印して不慣れだが釣れる感触を得た北利根川をチョイスした、臨機応変さが勝利に結びついたといえよう。
表彰式では関係者、スポンサー各位、パートナー、スタッフへの感謝の言葉を忘れない、小島選手の爽やかなスピーチが印象的だった。
また、ランディングはもちろん、バックシートからフォローの釣りに専念して魚を獲るべく奮闘したパートナーの澤田選手の存在も忘れてはならない。
試合後にスタッフ仕事を手伝う姿にも頭が下がる。
小島選手もその功績をたたえ「今回の魚は二人で釣ったものです」と語っていた。
実に清々しい一コマだった。
まさにチームトーナメント.の良さが100%発揮された素晴らしい勝利だった。
Good job! Mr.Kojima and Mr.Sawada!
小島選手 タックルデータ
Tackle1
ROD:Evergreen International オライオン ムーンゲイザー
REEL:DAIWA タトゥーラ SV TW
LINE:Evergreen International バスザイル マジックハードR 14lb
LURE:Evergreen International ファクト フラップクロー3.3 スカッパノン5gゼロダン
澤田選手
Tackle1
ROD:DAIWA スティーズ スカイレイ 68
REEL:DAIWA アルファス AIR TW
LINE:フロロ 10lb
LURE:Gary Yamamoto カットテール4インチ 1.8gネコリグ
Tackle2
ROD:DAIWA スティーズ ハスラー
REEL:DAIWA スティーズ 105H
LINE:フロロ 14lb
LURE:シュリンプ系ワーム 5g ゼロダン
準優勝はやはり北利根川でゲームを進めた赤羽修弥・加固拓樹チーム。
中流域の少し深めの葦、その外の沈み物、近辺のマンメイドを丁寧に撃って行った。
「全体的に非常に厳しい状況でしたが、少し水が増えた北利根川では、それまで露出していた葦の根が水没して、いい感じでした」(赤羽プロ)
すると釣り開始直後にバイト!
マンメイドに投じたスイングインパクトのダウンショットに最初の魚が食って来た。
その後、貴重なキーパーを追加、コアングラーがスピナーベイトで掛けた魚と合わせて3本の魚をライブウェルに納めて帰着した。
記録は3本3025g。
最後まで暫定トップ席で待機していたが、わずか65g差で準優勝にとどまった。
しかし、多くのチームが撃沈する渋い中、研ぎ澄まされた作戦とベストタックルチョイスで3本の魚を持ち返ったことは「サスガ」と評価されるものだった。
このチームもパートナーの活躍が顕著だった。
そういえば加固選手は昨年の北浦戦で小島選手と組んで優勝した。
やっぱり北浦は得意なのか!?
赤羽選手タックルデータ
Tackle 1
ROD: DAIWA スティーズレーシングデザイン681M/MLFB
REEL:DAIWA スティーズAIR TW 500XXH
LINE:DAIWAスティーズ クロスリンク 10lb
LURE: ストレートワーム1.3g ネコリグ
Tackle 2
ROD:DAIWAスティーズレーシングデザイン681M/MLFB
REEL:DAIWA スティーズCT SV TW 700XH
LINE:DAIWAスティーズ クロスリンク12lb
LURE:KEITECH スイングインパクト3” 5gダウンショット
加固選手タックルデータ
Tackle1
ROD:DAIWA ブラックレーベル SG 6101M+
REEL:DAIWA スティーズSV TW
LINE:DAIWA バスX 14lb
LURE: Evergreen International Dゾーン3/8
Tackle 2
ROD:DAIWAエアエッジ661M/ML
REEL: DAIWA SS AIR 8.1L
LINE:DAIWAバスX 10lb
LURE:1.8gネコリグ
3位は北浦本湖上流を攻めた西村嘉高・高木典之チーム。
プラは不調だったが、前プラで魚が差して来るであろうエリアに行けば多数のバイトが。
「これは試合が楽しみになって来た」と久々の感触を得た。
しかし当日は水が悪くなり魚も動いてしまった。
それでも朝のタイミングでビッグフィッシュ賞に輝いた魚を含めて2本獲り、お立ち台、5位入賞となった。
また、西村選手は、SDGマリン取扱いボートを使用しているアングラーの最上位となったので、通常の入賞とは別枠で、SDG Marine賞を獲得した(※SDG Marine賞についてはこちらをチェック!)。
このチームもボーター、コアングラー各1本ずつ魚を獲り、チームトーナメントの見本のようなゲームを繰り広げた。
西村選手タックルデータ
Tackle1
ROD: ジャッカル リボルテージ RV-C66M-LST
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE:ジャッカル レッドスプール 10lb
LURE: ジャッカル ジミーシュリンプ 5gダウンショット
高木選手タックルデータ
Tackle1
ROD: ハイドアップ マッカ HUMC-67MST
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: サンライン FCスナイパー BMS AZAYAKA 12lb
LURE: フルリブワーム4.7 3.5gフリーリグ
4位は北利根川の「階段」を攻め抜いたハシタク(橋本卓哉)・岩井優典チーム。
ほぼ一日、階段をズリ上ゲ、ズリ下げて2本の魚を確保。
帰着前に北浦で1本追加してお立ち台を確保した。
5位は北浦のスタート地点から上流を釣り抜いた山本寧・高橋亨チーム。
風を避けられるようなスポットをラン&ガンして、このチームもパートナーと1本ずつ魚を獲って5位に漕ぎつけた。
こうして4月という微妙な時期の第二戦が終わった。
二試合の合計ポイントも変化したことだろう。
まだ気が早いかも知れないが、ポイントによるA.O.Y.レースも生々しくなってきた。
この先がますます楽しみなW.B.S.である。
レポート 大和小平