●ある日の出来事 その7
いゃー、2024年もフンづま・・・いや、押し詰まってまいりました。
みなさんお忙しい毎日をお過ごしでせう。
かくいう私も、珍しく仕事をいたしております。
はい、来たるべき新しい年に向けての仕事です。
いうまでもなく釣り業界の仕事です。
毎日、原稿で唸っております。
そんな日々ですが、タイミングとしては忘年会の季節。
声をかけられる内が華ですから、私もなるべく顔を出すように努めています。
どんな忘年会もそれなりに面白いですね。
男ばっかりだと、最終的には下系で盛り上がりますが、
一人でも女性がいると、少し大人しくなります。
今回はそんな忘年会で拾った話です。
ある人、仮にAさんとしましょう。
Aさんは大阪出張の際に利用した新幹線で面白い体験をしたそうです。
Aさんの前の席には妙齢の美しい(多分)女性が座っていました。
すると、東京を出て新横浜に停まると、
身なりもきちんとした男性が乗って来て女性の隣に座りました。
しばらくするとその男性は女性に挨拶してこう聞きました。
「どちらまで?」
すると女性は少しはにかんで
「あ、あの名古屋です」
と答えました。
「そうですか! 奇遇ですね。私もです」
それをきっかけに二人の会話が始まりました。
聞こうとしなくても、二人の会話は耳に入ってきます。
最初はよそよそしかった女性も、やがて心を許したのか、
終いには楽しそうに笑うほどだったそうです。
男のトークの上手さに、Aさんは感心しました。
終始、紳士的に話を進めていたのです。
何より聞き上手でした。
やがて名古屋到着。
二人は一緒に新幹線を降りていきました。
とても仲良く見えたそうです。
女性の荷物を持つほどの関係になっていました。
女性も敢えて遠慮せず、荷物を持ってもらっていました。
知らない人が見たら、初対面の二人だとは思わなかったでしょう。
当然、連絡先も交換したはずです。
独身のAさんは学びました。
「なるほど、あんな感じで声をかければいいんだ! よしっ、俺もチャンスがきたらやったるで」
そのチャンスは意外に早くやってきました。
翌月、大阪に出張する機会に恵まれたのです。
ですが今回は飛行機でした。
「でも同じことをすればいいだろう」
Aさんは期待を胸に、機内に入りました。
すると、美しい女性が機内に入って来て、通路を進みAさんのそばに来ました。
「ひょっとして俺の隣?」
Aさんは思わずつんのめりました。
その期待通り、女性はチケットを確認してAさんの隣に座るではありませんか!!
「おっ! 期待していたことが現実になった!」
Aさんの心臓はバクバクでした。
しかしAさんは一応冷静でした。
「ここで慌てたら元も子もない。ガツガツせずに紳士的に振る舞おう」
Aさんは余裕を見せて日経に目を通し始めました。
いつもは週刊実話か東スポです。
AOKIで買ったスーツを着て来て良かったと思いました。
そして機が熟したと思ったAさんは女性にこう語りかけました。
「どちらまで?」
すると女性はあっけにとられた顔でこう答えました。
「は? あの、大阪ですけど」
筋書き通りの展開にAさんはほくそ笑んでこういいました。
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「奇遇ですね。私もです」
んズガーン! やっちゃいました。
その女性は大阪まで、一言も口をきいてくれなかったそうです。