その093 大量発生!
ぶ~ん、ぶ~ん、ぶ~ん。
耳元に耳鳴りの様な低周波の音が響く。
なんだろうなぁ・・・・・・と音のする方を見上げると、
黒い朧気な影が空中を舞っている。
蚊柱だ。
今年はユスリカの発生が凄い。
何年か毎にユスリカの大量発生が起こるのだが、
今年は3月頃からブンブン唸っている。
それが5月に入ってからは気温の上昇に伴って、
アカムシユスリカが大量発生したようである。
湖岸を歩いていると、アカムシユスリカの抜け殻に遭遇する。
湖岸を白く埋め尽くすほどの大漁だ。
ハッチ寸前のアカムシユスリカに遭遇すると、
目覆いたくなるようなグロさである。
水面がウネウネと波立ち、小さな虫たちの絨毯が移動するからだ。
赤い虫がいて、黄色い花が咲いて、白い鳥がいる・・・・・・
水が汚れた証拠である。
森下郁子先生の言葉である。
まさしく、霞ヶ浦はこの真っ只中だ。
でもね、1999年に始まった白濁に比べると、今の方がズッといいね。
白濁は2003年まで続き、その時期は赤い虫も、黄色い花も、
白い鳥も存在しないほどの状況だったのだ。
それが、10年前の2004年10月に襲来した台風22号と、
23号によって大幅に変化したのである。
日本各地に大きな被害をもたらしたこの台風だったが、
霞ヶ浦にとっては大幅に水を入れ替えてくれたのである。
そんなことから、水が動くことによって、
湖水には大きな変化が起こることを知ったのである。
霞ヶ浦導水工事はまさにその水を動かす仕組み作りだな。
霞ヶ浦の水を動かす・・・・・・ユスリカの発生を助長させるかもしれないが、
この底棲生物こそが、霞ヶ浦の命の源、生命線である・・・・・・
と、俺は考える。