ワールドカップも霞んだ、
スーパー盛り上がり!
男たちが釣りまくった三日間!
頂点に立ったのは
★GRAMPUS TYPE A★(海老原直人・星洋行)!!
トータル16kgオーバーの素晴らしい勝利だった
2014W.B.S.スーパースリーデイズ・レポート
6月22日、日曜日の夕方。
眠気を抑えながら走る常磐道上り車線は極めて空いていた。
ファンベルトの異音も治まった愛車GTIは
滑るように追い越し車線を走る。
普段は激混みの時間帯なのに、何故こんなにスムースなのか?
それは、未明から降り続いた雨が人々を家に押しとどめたからだ。
行楽客の出足を挫いた雨はそれほど鬱陶しかった。
しかし、スーパースリーデイズ最終日の火蓋はそんな雨の中で切って落とされ、
クライマックスはワールドカップも霞むほどの盛り上がりを見せたのだった。
いつも数えきれないほどの話題を残してくれるスーパースリーデイズ。
理由は簡単に思いつく。
まずは延べ27時間以上に達する競技時間、
アングラーなら、長く釣りができる試合を嫌う理由はない。
スタートはいつも5時前に終了。
最終日は集合時間前にランチングが始まった?ほどだ。
次にはフィールドの規模。
霞が浦水系は世界的にもヒケをとらないビッグレイクだ。
メジャートーナメントに相応しい格というものを持っている。
そして多士済々な出場メンバーも話題のひとつ。
W.B.S.メンバーをリーダーにすれば、誰でも出場できるシステムが、
各界からのアングラーを集める。
今回も「おおっ!」と注目される選手が多数馳せ参じた。
同時に、6月という開催時期も話題の供給に一役買っている。
回復を終えた魚がズガーンと食ってくるアーリーサマーは、
釣果的にも華々しいものになることが多いからだ。
事実、過去のスリーデイズでは、
数々のビックフィッシュ、ビッグウエィトが記録された。
そんなスリーデイズだが、今年も話題満載の三日間となった。
天候もまずまずだった。
初日、二日目の晴れ・そよ風。
最終日の雨。
この変化を嘆く選手はいなかった。
むしろ、二日目の雨予報が晴れに転じたことを恨めしく思うチームも少なくなかった。
風もそれほど吹き荒れず、願ってもない環境が用意されたといえよう。
水位は減水ととらえる者もいれば、増水ととらえる者も。
場所によって微妙に解釈は変わった。
基本的には平水と大差なし。
水温は26℃前後。
気温は初日、二日目が26℃、
最少日が22℃といった感じ。
こんな三日間だった。
エリア分布は15チームそれぞれ。
目だったのは桜川、北利根川。
多くのチームがこのストリームを主戦場に選んだ。
朝マズメのローライト、
次第に日が射してくる晴天。
風の有無。
そして最終日の雨……
水やベイトの動きにアジャストして刻々と変わる戦略。
今年のスリーデイズも、
まさに「その時を釣る」バストーナメントの本質が試される試合となった。
フタを開けてみれば予想を裏切らぬ打撃戦。
初日は10チームがリミッメイクするというスタート。(1チーム1デッド)
4kg,5kgは当たり前、
Red Comet(香取潤一・吉田裕樹)は6450gというメガウェイトを持ってきた。
同じような天気だった二日目はややスローダウンしたものの、
最終日はまたまた5kg台が目白押しの過熱ぶり。
今年のスリーデイズも超面白い試合となったのだった。
こんな過激なトーナメントに参加しない人もいるのは、実に不思議である。
そんな今年のビッグゲームを制したのは
「★GRAMPUS TYPE A★」(海老原直人・星洋行)!!
トータルウェイトを16kgに乗せた圧勝だった。
船頭の星選手のプランはシンプルだ。
花室川と古渡の水路をローテーションするというもの。
どちらもK-1に出場している海老原選手にとっても手慣れた水域。
実に理に叶った戦略といえよう。
思い起こしてみれば昨年、
佐藤紀之選手と組んで大逆転優勝を遂げたのも星選手。
「優勝請負人」のニックネームでダテではない。
あの時は花室~古渡の水路~花室という三日間のプランだった。
今年も初日、二日目はその戦略を踏襲したが、
花室の意外なローポテンシャルに軌道修正。
最終日も古渡で雨中のゲームを進め、
6350gというマックスウェイトを叩き出しての優勝だった。
今年も私はW.B.S.の至宝・小林研一さん、
そしてバサーの有能な編集者とレイクを回ったが、
最終日はいきなり古渡の水路にカッ飛び、このチームを発見した。
水はいい感じ。
雨もシトシト。
かなり釣れそうな感じ。
だが、キャットやノンキーで海老原選手はいささかトーンダウン。
意外に繊細な海老原選手なのである。
これは苦戦するのか…と取材陣が気落ちした時、
星選手がズガーンと合わせた。
糖尿を患っているとは思わせない力強いセット・ザ・フック。
その魚はノンキーだったが、
爆裂を予感させる出来事だった。
その予想通り、直後に星選手が
最終日のビッグフィッシュ賞を獲得した2kgを釣って波に乗った。
当初は前の海老原選手がノーシンカー、
星選手がダブルモーションのゼロダンだったが、
やがて海老原選手もゼロダンにシフトして、エクスタシーを味わった。
なんたって落ちパクの連続だったというから恐れ入る。
ダブルモーションのゼロダンは脅威である。
星監督の当初の目標は、
今年Bプロデビューした海老原選手をクラシックに導こうというもの。
そう、スーパースリーデイズのもう一つのご褒美が、
ベスト3はクラシック権が確保されるというものなのである。
だから最低3位を見据えてのゲームプラン。
星選手の親心が花開いた結果だった。
結果、海老原選手はクラシックに駒を進めることになった。
ひと暴れしてほしい。
星選手はご存知の通り、古くからW.B.S.に関わってきた苦労人。
キャリアは人一倍持っている。
今回もエリア、時間配分などの流れを掴んで海老原選手をリードした。
バストーナメントを制するモノは、
新しいルアーでもなく、
最新のテクニックでもなく、
基本にのっとったオーソドックスな釣り方だと思い知らされた結果だった。
ナイス、★GRAMPUS TYPE A★!
二人の戦いは絶賛されてしかるべきだろう。
海老原選手TackleData
Tackle1
ROD:ベイトロッド
REEL:ベイトリール
LURE:VAGABOND エアーベイトホッグ
LINE:SunLINE FCスナイパー
RIG:ゼロダン
Tackle2
ROD:ベイトロッド
REEL:ベイトリール
LURE:EVERGREEN ダブルモーション
LINE:SunLINE FCスナイパー
RIG:ゼロダン
Tackle3
ROD:ベイトロッド
REEL:ベイトリール
LURE:GaryYAMAMOTO ヤマセンコー4inch
LINE:SunLINE FCスナイパー
RIG:ノーシンカーリグ
星選手TackleData
Tackle1
ROD:ベイトロッド
REEL:ベイトリール
LURE:EVERGREEN ダブルモーション
LINE:SunLINE FCスナイパー
RIG:ゼロダン
一方、二位に敗れたとはいえ、
「victory is 天龍&O.S.P」(キムショー・前島雄一郎・木村信一)
の戦いぶりも鬼気迫る迫力があった。
何より、キムショーの熱心なプラクティスは、
この試合に賭ける気合を物語っていた。
そういえばキムショーは歴代チャンピオンの1人。
あの時も最終日は雨だった。
花室からのビッグウェイトが逆転優勝をもたらした記憶に残るゲームだった。
このチームのメインプランはシャローのスピナーベイティング。
本湖、流入河川をくまなく回って、効率的に魚を獲っていった。
マネーベイトはハイピッチャー。
「コンパクトスピナーベイトの代名詞」といわれる、
O.S.Pの代表作の一つといわれる名作で、
とくに二日目は「面白いように」魚を獲っていったという。
総じて本湖東岸のシャローを攻めるチームが少なかった今回の試合で、
その可能性に着目した炯眼は称賛に値する。
今年から復活したキムショー選手の今後の爆発振りを予感させる結果だった。
キムショー選手TackleData
Tackle1
ROD:TENRYU マグナインパクト 65M
REEL:Daiwa STEEZ103HL(改)
LURE:O.S.P. ハイピッチャー
LINE:TENRYU MI-14lb
Tackle2
ROD:TENRYU マグナインパクト 65M
REEL:Daiwa PX68L(改)
LURE:O.S.P. ドライブスティック4.5inch ブルーギル
RIG:ノーシンカーリグおよびネイルシンカー1.4g
メインエリア:東岸、古渡
今回のキモ:ハイピッチャーでのキャッチ率70%!!9gメイン
前島選手TackleData
Tackle1
ROD:TENRYU マグナインパクト 65M
REEL:Daiwa STEEZ103HLリミテッドTN
LURE:O.S.P. ハイピッチャー11g DWワイルドギル
LINE:TENRYU MI-14lb
Tackle2
ROD:TENRYU マグナインパクト 66MH
REEL:Daiwa STEEZ103HL(改)
LURE:O.S.P. ドライブスティック4.5inch ブルーギル
RIG:ノーシンカーリグ
今回のキモ:ハイピッチャー90%。 11gメイン。スローリトリーブ
三位に入った「Red Comet」(香取潤一・吉田裕樹)もよく健闘した。
前述のように初日にメガウェイトを持ってきて、
二日目がスローダウン。
こうなると人間、勝ちを意識してどうしてもテンパってしまう。
そこを乗り越えて4760gとまとめてお立ち台を確保した努力は認められる。
「他のチームも釣ってくるのは分かっていましたから、
自分たちの釣りをしようと集中しました」と香取選手。
まさにバストーナメントはメンタルゲーム!!
心が何より大事なのである。
このチームは三日間、北利根川をメイリエリアに指名。
「自分たちの釣り」を実直に展開して確実にキーパーを重ねていった。
初日のスーパービッグ2030gは外浪逆浦の石積みで獲ったものだが、
これも飽くなき釣果への追及がもたらしたものだった。
香取選手TackleData
Tackle1
ROD:Nories ST640M-Ft
REEL:ベイトリール
LURE:ECOGEAR リングマックス3inch
LINE:フロロ10lb
RIG:ダウンショットリグ
Tackle2
ROD:Nories 630MH
REEL:ベイトリール
LURE:Nories チビガエル
LINE:PE3号
Tackle3
ROD:Nories 6100H
REEL:ベイトリール
LURE:Nories フリップドム
LINE:フロロ14lb
メインエリア:北利根川、外浪逆浦
今回のキモ:朝からとりあえずリミットメイク。風裏のエリアでフロッグ。
吉田選手TackleData
Tackle1
ROD:Nories ストラクチャーST720H
REEL:Daiwa タトゥーラ 103XHL
LURE:Nories エスケープツイン(バンドウカワエビ)
LINE:フロロ14lb
RIG:チェリーリグ
Tackle2
ROD:Nories ハードベイトSP 640ML
REEL:Daiwa
LURE:Nories ボルケーノグリッパー
LINE:フロロ12lb
今回も多士済々が華を添えてくれたスリーデイズだが、
「弾丸ボーイズ」(市村直之・江口俊介・細田浩司)はその極め付け。
存在感バリバリだった。
三日間、随所に見せ場を作ってくれたが、
二日目のビッグフィッシュで会場を盛り上げてくれた。
花室川の河口で江口選手が投げたノンシンカーに来たものである。
すでにメジャートーナメンターとして確固たる地位を築いている二人だが、
現状に甘んずることなく、
こうして新しい活躍の場を求めてチャレンジする姿は尊敬に値する。
江口選手TackeData
ROD:Qu-ON デュナミススーパーコンペティション
REEL:スピニングリール
LURE:GaryYAMAMOTO ファットヤマセンコー3inch
LINE:TORAY スーパーハードスーパーフィネス
RIG:ノーウェイトワッキーリグ
メインエリア:花室川河口の杭
今回のキモ:フリーフォールで食いました。
こうして、話題も豊富に今年のスリーデイズは幕を閉じた。
上位チームにだけ注目が集まるのは致し方ないが、
他のチームも素晴らしいパフォーマンスを演じてくれた。
北利根川で入れ替えに入れ替えを演じた
「Team TG-ARROW」(井上泰徳・竹内俊美)チーム、
Go-proの動画もナイスでしたよ。
二日目、三日目と5kgオーバーを持ち込み、
上位チームの心胆を寒からしめた
「あずにゃんペロペロ」(橋本卓哉・篠塚亮)チーム。
三日目が終わってからもサッカーをやろうとするスタミナにはタマゲた。
団長の末永宏行のもと、
超まとまりの良さを見せつけた
「メガネのスエナガ」(末永宏行・村川勇介・廣瀬祐太郎)。
このチームの敢闘精神も目立っていた。
今年ボーターデビューした高橋亨選手を核とした
「team 紫式部」(高橋亨・猿橋朋浩・内田隆洋)の戦いぶりも際立っていた。
当初は家賃が高い気もしたが、
しっかり魚を持ってきた。
この日のために真面目にプラを繰り返した努力が実った。
逆番狂わせを演じてしまった
Team 零弾 HERACLES(蛯原英夫・中嶋美直・増田哲)の
パフォーマンスも忘れ難い。
なんたってそこにいるだけで絵になるチームだ。
滑り出しは悪かったが、
最終日に5820gという、
この日2番目のウェイトを持ち込んだ
「ドルーググンマチャン」(清水綾・金井敏)チームも
なんとか一矢を報いた。
そして愛知から駆け付け、
連日、蚊の猛攻に襲われながらも新港で車中泊した
「マーモdeやーす」(安江勇斗・加木屋守)のハングリー精神も素晴らしい。
村川勇介氏のコメントに
「常磐道を帰る加木屋選手のボートを見て感動した」
とあったが、
私も心にしみるものがあった。
どちらも21歳。
宝ともいえる存在である。
こういう若いアングラーが思いっきり戦える舞台を用意するのは、
大人の責任だと感じた。
他のチームもそれぞれに見せ場を作ってくれた。
初日にビッグウェイトで魅せてくれた
「BASS MARK」(松村寛・佐々木和行・大久保忠臣)
いつもスリーデイズを沸かせてくれる
「Team Hot Lips 2014!」(小野光一・小古間努・大木俊宏)、
最終日にたくさんのギャラリーを動員してくれる
「HHK-jack」(柴崎智尋・北本翔馬)
常に勝利だけを目指しストロングゲームを繰り広げる
「TEAM Dead or Alive」(小島貴・青山泰典)
みんながヒーローだったスリーデイズ。
参加したすべての人にとって、
身体と財布は疲労しただろうが、
それだけの収穫があった三日間。
その思い出、経験は
宝といえるのである。
今年のスリーデイズを戦ったすべての人に、
心から尊敬の念を送りたい。
また来年、会いましょう!!
(レポート 大和小平)