その174 子どもたちのこと
またしても先日開催された子ども釣り教室での話題だ。
俺たちが開催している子ども釣り教室では、
参加資格として参加名簿に自分自身で、
名前と住所と年齢を記入することになっている。
これはどんなに小さな子どもでも同様に行っている。
竿が握れるかどうかの判断をこの作業で確認しているのだ。
竿を握れないと、竿を使った魚釣りが成立しないからね。
そう、参加資格は鉛筆が持てて書くことが出来ればいいのだよ。
名前を書けない年齢であっても、
鉛筆を持って名簿に書けばよいのである。
例えそれが直線だけでも、丸でも、ミミズのような文字でも、
書きさえすれば参加できる仕組みである。
親御さんや保護者の方が記入しようとするのを制止して、
子どもさんに書かせるのである。
自分でできる……自分がする、そんなことを子どもたちに教えたいからである。
だから、名簿にはこんな文字が並んでいる。
嬉しくもあり、見事でもある。
たかが魚釣り、されど魚釣り。
俺はこの子ども釣り教室を通して、子どもだけに関わらず、
大人にも学習して貰いたいのである。
自立心を持たすことと、過保護にならないことの二つだな。
子どもは生まれて来た時点で個人なのである。
「ありがとうございました……」とすぐに言える子がいれば、
「なんて言うの?」と親に促されてする子もいる。
走って逃げるように去って行く子がいれば、
いつまでも名残り惜しそうに池を見ている子もいる。
親御さんの育て方ひとつで子どもたちは様々に変わるのだが、
15歳にもなれば誰もが一人前に独立するようになる。
その時に、この釣り教室で得た教訓が生かせたら嬉しいな。
挨拶と魚を優しく扱う心構え……これだけで良い。