その779 身体から金を外した日
昔は金のネックチェーンやブレスレット、指輪などを、
好んで身に着けていた。
どこかで一文無しなってもこれらを担保に、
金が融通できたからだ。
が、ある日を境にこれらの貴金属を我が身から外した。
金に困ったからではないし、宗教的なことでもない。
理由もなく、只なんとなく外した。
最後まで着けていた指輪も2011年の1月に外した。
1987年に単独で渡米し、当時アメリカ最大のバストーナメントである
B.A.S.S.メガバックストーナメントに出場した時に指にはめた指輪は、
24年後の2011年に俺の指から外した。
これもどうって理由はない。
あれから5年間、その後貴金属は身につけていない。
まったく・・・と言うと嘘になる。
金歯があるかならなっ。
それ以外はな~ンにもないのである。
だから、どこかの知らない街で野垂れ死ぬかもしれない。
旅の果てで一文無しなっても金目のものがないから、
帰ることも出来ないんだ。
そう、片道切符の汽車に乗ったんだよ。
行けるとこまで行くしかない・・・そう覚悟をしたのだろうな。
5年前に。
自らが安全牌を切り捨てたことで、
前に進むしかないことを覚悟したんだ。
俺の前に道はないが俺の後に道はできる・・・。
ン、まぁ、高村光太郎の心境であるなっ。
●道程 高村光太郎
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄(きはく)を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため