その481 土に還る
昔の葬儀の多くは土葬だった。
それも骨ではなく、亡骸を棺桶に入れて埋葬していた。
ところが今では100%近くの人が火葬後に墳墓に焼骨を収めている。
でも、埋葬の本来の姿は土葬だよな。
ちなみに俺はガキの頃、爺さんの土葬の光景を目の当たりにしている。
丸い桶に入れられた爺さんを櫓を組んで縄で吊るし穴の中に埋めるのだが、
その光景は今でも忘れないね。
つまり、心に残るってことだ。
良し悪しは別にして、人の死に真剣に向き合えるってことだな。
で、天に昇るのが火葬だとすると、土に還るのが土葬である。
生き物たちの最期は土に還してやるのが習わしだよな。
ところが、霞ヶ浦を訪れる釣り人の中には、
生き物をそのまま放置して行く輩が後を絶たない。
先日もアスファルトの上に放置されたアメリカナマズを発見した。
酷いことをするもんだ。
幾ら自分が狙っていない魚であっても、
たった一つの命を粗雑に扱うことはないと思うんだな。
そのまま元の水に返せば何かの役に立つのだが、
道路に放置して行くとカラスの餌になったり、
蝿が集って蛆が沸いたり、悪臭が辺りに漂ったりなどと、
公衆衛生上大変にヨロシクないのである。
そこで、せめても死骸は土の上に置いて欲しいなぁ。
先日、草の上にフナの死骸があった。
蝿は集っていたけれど、
身体の大部分が昆虫やバクテリアに分解されていた。
恐らく裏側の肉は殆どないだろう。
このフナの死骸、最終的には土に還るのである。
ところが、アスファルト上に放置されたアメリカナマズの死骸は、
野晒しのままで土に還ることが出来ない。
確かに最終的には死骸は分解されるのだが、
多くの時間を費やすのである。
これも環境破壊の一つであろう。
魂は天に昇り、肉体は土に還る・・・・・・。
俺もこんな葬儀をしたいのだが、我が国じゃ無理だろうなぁ。
俺の身体が土に還ったら栄養たっぷりだろうなぁ。
確かに、毒素も沢山持っているがね!
干からびた魚の死骸を見つけたら、
土に還してあげよう・・・・・・と思った今日だった。