その495 移り変わり
季節は巡り小池栄湖は変わる。
今はもう秋なんだなっ。
次に来るのは冬、冷たい木枯らしの吹く冬。
小池栄湖は眠りについたかのような静寂に包まれる。
小池栄湖の周りの植物たちも眠むたそうな顔を覗かす。
音のない、そしてモノクロな世界が広がって行く。
そのモノクロ世界に拍車をかけるのが、雪である。
雪と氷に包まれた小池栄湖は、
その命の炎が消えたかのように見えるけれど、
水中の魚たちはこんな時期でも眠りを知らない。
子どものようにはしゃいでいる。
一番初めに変化を見せるのが、水の色である。
それまでの暗く沈んだ色から明るく華やいだ色に変わる。
水の花、植物プランクトンの発生である。
春がさらに深まると植物たちが緑色に色づく。
小池栄湖だけではなく、周囲も鮮やかな緑で染まる。
新しい年の到来である。
次いで、酷暑の夏が来る。
気温の上昇に伴って水温も上昇し、植物たちの活性が上がる。
枝を伸ばし、葉を広げ、太陽光を一身に浴びる。
風の通らない場所は尚更に暑い。
そして再び、秋が来る。
季節は巡り小池栄湖の様相を変えるが、
この地に生息する自然の生き物たちは少しも変わらない。
季節が巡るだけである。