●キンカン事件!
こないだ松原湖に行ったら、ブヨに刺されてひどい目に遭いました。
それで思い出したんですが昔、こんなことがありました。
東北地方に渓流釣りに行った時のことです。
ある民宿に泊まったんですが、そこの食堂には「キンカン」が置いてありました。
虫に刺された人のためです。
お盆の頃は一番危険ですから、どこの民宿にも置いてありました。
ところで当時、私は悪性の皮膚病に侵されていまして、具体的には下半身のデリケートな部分が爛れていたわけです。
俗にIng King(gは読まない)ともいわれますが、股間が痒くなる病です。自転車に乗っていると、気持ちよくてペダルを漕ぎまくってしまいます。
で、夜中に痒みが襲って来まして、どうにも我慢ができなくなりました。その時、食堂に「キンカン」があったことを思い出したのです。
「キンカン」はその病にも効くのです。私はそれを持ってトイレに入り、幹部に塗りたくったのです。経験のある方ならお分かりでしょうが、飛び上がるほど沁みます。
キンカンはフタを開けると上部がスポンジ状になっていて、クスリが染み込むようになっています。それを患部に直接塗るわけです。
私も下半身にスポンジ部分を直接付けて塗ったのです。
それで私の痒みは治まりました。私は「キンカン」をもとの場所に戻し、部屋に戻りました。
翌朝、朝食の時、民宿の若いお上さんが食堂に出てきました。そしてこういいました。
「昨日の夜、首筋を蚊に刺されたみたい。こんな腫れちゃった。『キンカン』どこかにあったわね。あ、ここにあったわ」
けっこう綺麗なお上さんでした。そのアゴの下が赤く腫れています。口のすぐ下です。
若いお上さんは「キンカン」のスポンジの部分をそこに塗ろうとしたのです。
私の股間をスリスリした部分です。
思わず私はいいました。
「あ、あの、そ、それは……」
「は? 何ですか?」
「あ、いや、よく塗った方がいいですよ」
夏の甘酸っぱい思い出です。