そして新たなシーズンへ
前日の睡眠不足(寝てない?)がたたり、パーティー終了後はあらかたの仕事を副会長の山口将司とスタッフに押し付け(?)早々にベッドに潜り込んでしまった。起床予定の03:30まで全く目を覚ますことなく死んだように寝た。といっても5時間半ほどの睡眠時間である。前日寝てない割にはすっきりと起きられた。副会長の車に乗って土浦新港へ向かう車の温度計は前日同様10℃前後を指している。
警備会社には4時半に開門をお願いしてあったが4時15分に港に着いた時には既に門は開いており、関係者も数名到着していた。
この日はプレスが一名寝坊をしてしまうというトラブルがあった。大したトラブルではない。すぐにスタッフを代理に立て準備万端である。さあ最後の最後である。勝利の女神はいったい誰に微笑むのか。いよいよスタートである。
前に2日間16時間の・・・と書いたが、初日は約8.5時間で二日目は7.5時間ほどの時間がある。夏場から比べれば短いが長丁場といっても良いだろうと思う。港を出ていく選手たちの後姿を見て「頼んだぞ!」と思わず心で叫んでしまう。
朝の気温は初日と大きく違いはないが風が違う。初日は北から東に変わった風が、今日は西寄りの風が吹いている。そしてその風は後半になると南風へと変わっていった。霞ケ浦は広い。場所によって全く違う風が吹くことが当たり前のように起きる。しかし今日の風は昨日とは明らかに違う。これが吉と出るか凶と出るか。選手たちが返ってくればその答えはすぐに判る。
そして初日よりも1時間早い帰着時刻13:30が近付く。しかし・・・13:20を過ぎても殆どの選手が戻ってこない。ギリギリに一気に帰ってくるのか?いやな予感がする。多くの選手の帰着がギリギリの時は「釣れていない時」である可能性が高い。だとしても、その結果は出場選手が一生懸命努力した結果であることに違いはない。笑顔で迎えてあげるのが私の務めでもある。
天気予報では初日とほとんど変わりのない予報が出ていた。感覚としては前日より昼前から少し強い東寄りの風が吹いた。風はバスに限らず釣り人にとって重要な要素である。事実この風が吹き始めたころから土浦新港で同時開催していた「新港グラチャン」でも連続してウェイインがあった。クラシック選手もこの時間に釣れていることを期待してしまう。
時計の針が13:25を指すころ新港先端で待機していた帰着担当から「いっぺんに全員が帰ってきました」という報告が入る。やはり皆ギリギリまでねばっていたようである。そしていよいよプロクラシック25最終日、WBS2016年最後のウェイインショーが始まる。
ウェイイン順は前日の上位6名を後ろに残し、その他の選手はランダムにウェイインするという容で進行していく。
2日目最初のウェイインは橋本卓哉選手である。初日はリミットメイクをして7位に着けていた。取り出された魚はアベレージフィッシュが2本1260gである。
続いて初日に2フィッシュと苦しんだベテラン石井賢二選手。2日目は見事に5フィッシュを揃えて3740gである。「楽しかった!」の一言とその笑顔がバストーナメントの素晴らしさを表しているような気がした。
ウェイインは進み初日ノーフィッシュと苦しんだキムショー選手がこの日のBigFishとなる1460gを入れて4フィッシュ3790gと健闘する。
続いてのウェイインはやはり初日に2フィッシュで苦しんだ草深幸範選手である。自信ありげにライブウェルから取り出された魚は5フィッシュ4970gと結果的にこの日のトップウェイトとなるものだった。初日が悔やまれるがトーナメントとはそういうものである。
上位選手の最初のウェイインは初日に3位に着けビッグフィッシュを獲得した盛 隆弘選手であったが残念ながらノーフィッシュだった。この辺にトーナメントの難しさを感じる。優勝に手が届くところにいたからこそ、これがプレッシャーとなってしまったか?世間では「ゴルフはメンタルなスポーツだ」といわれるが「バスフィッシングもメンタルなスポーツである」と私は断言する。
今年のアングラーオブザイヤーであり、絶好調で今シーズンを過ごした香取潤一選手は初日を4位で折り返しこの日は3フィッシュながら2880gで暫定トップに立つ。
続く平本直仁選手は初日5フィッシュ4550gだったがこの日は2フィッシュ1960gで今シーズンを終了した。
初日にトップとわずか200g差の2位で折り返した霞の剛腕・蛯原英夫選手も3フィッシュ2310gとこの日は苦しんだ。今年は事情があり得意な桧原湖戦が欠場となったり全体に不調な年であったといえるだろう。来シーズンの剛腕復活を期待したい。
ラス2、初日5位の今井 新選手がステージ前に現れる。初日は盛 隆弘選手と1720gの同ウェイトでBigFishを分け合っている。初日が4440gであるから暫定トップの蛯原英夫選手を抜くためには2610gが必要である。フィッシュチェックからカゴを受け取ったMCの山口 将司が「重い」のひとことがありコールされたウェイトは「4630g」トップ入れ替わりである。ここで暫定トップ席に今井 新選手が座った。
残すは初日トップの平川皓也選手のみである。平川選手が優勝するためには4150gが必要である。ステージ前に止まったボート上で平川選手は「足りません!」と一言。その言葉通り5フィッシュではあるがコールされたウェイトは「3500g!」これによりWBS2016年シリーズラストを飾るプロクラシック25は今井 新選手がそのタイトルを手にして終了した。
今シーズンは多くの若い顔ぶれ・新しい顔ぶれがWBSを賑わせたのではないだろうか。そしてWBSメンバーでもある柏木健作選手の昭和電機から今回トーナメント用のステージが持ち込まれた。このステージは今後も機会が合えば持ってきてくれるそうである。この実質的なステージとそのステージの上で舞う選手たち。今年このステージ上でWBSではまだルーキーの今井 新選手がチャンピオンになった。WBSには今新風が吹き始めている。新たなステージが開幕の予感である。
ご挨拶・・・
私は中学生のころにバスフィッシングを覚えました。父親の影響で物心ついたころから魚と戯れていました。コイ・マブナ釣り、特にヘラブナ釣りに没頭していましたが、バスフィッシングを始めてからというもの、他の釣りの事はほとんど考えなくなってしまいました。あれから40数年、途中様々なトーナメントにも出場しました。そしてWBSの運営に参加して早28年が過ぎました。この間バスを取り巻く環境は大きく変化してきました。このような立場にいながら結果的に大好きな、大切なバスに対して「害魚」などというレッテルを張らせてしまったことは私にとって消すことのできない汚点であり、バスと多くのバスアングラーの皆さんにもお詫びをしなくてはなりません。私は今年WBSを去りますがこれからもバスの汚名返上のために努力を惜しまないことを皆さんにお約束をさせていただきます。
長きにわたり私の無理や我儘を聞いてくださったスタッフの皆、そしてスポンサーをはじめ関係者の皆さんにこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
釣師・横山鉄夫