2007W.B.S.プロクラシック16


平本直仁 プレスアングラーレポート 田島 昌和



今回、初めてプレスアングラーという形で
W.B.S.プロクラシックに参加させていただき有難うございました。

初日の天候は雨、しかもクラシックでは恒例? の台風が接近中。
平本選手と挨拶を交わし荷物を取りに車へ戻ると…
なんと自宅の玄関にヘルメットを忘れてきてしまったのです。
まぁ、サングラス掛けてコンソールに伏せていれば何とかなるでしょ〜
と軽い気持ちで平本プロのボートに近づくと、
そうです、平本選手のBULLETはシングルコンソール…。
ヘルメットもゴーグルも忘れてしまった事を平本プロに告げると
快くゴーグルを貸してくれました。
そしてシートに座ろうと足元を見ると携行タンクが置いてあり、
「最初は近場で何箇所かやりたい所があるんだけど、
 場合によっては北浦まで走るから」
との事でした。

DAY1

スタートして直ぐ、先行する選手が左に船を進めるのを見て
「やっぱり行ったかぁ〜」と逆方向にステアリングを切り桜川へ
朝一にやりたい場所があるから先行者が居なければと、
前を行く船の動向がかなり気になる様子。
桜川に掛かる1本目の橋手前で1艇がエレキを降ろすの見て、
「やっぱりなぁ〜あの辺りには岩盤があるんだよ」
と教えていただきました。

仕方なく更に上流へ進み
橋脚付近へ流れ着いた木のブッシュの手前でエレキを下ろすと
直ぐ後につけていた浅井プロも同じ場所がやりたい、
との事でエリアをシェアしました。



スピナーベイト、シャッドシェイプワームをトレーラーにした
スモールラバージグとローテーションするもノーバイト。
「河口付近はそうでもなかったけど上に来るとは水が悪いな、
前日から降る雨で濁りが降りてきてるんだね」と平本プロ。
岸際の葦を軽くチェックして6時40分さらに1本上流の橋へ。
橋脚周りをスピナーベイト、スモールバラージグ、
フットボールとローテーション。
スモールラバージグに微かな反応!しかし乗らず。
「500gでもいいから来てくれっ!」と平本プロが呟く。



7時10分、先行者が居たため出来なかった岩盤へ入る、
先行者の早乙女プロも釣れていない様子
スモールラバージグを数投したところで待望のバイト!
食いが浅かったためか船際ででバレてしまう。
アッと声を出す自分に平本プロは「今のはノンキーだったから」と笑顔で返す。
「んん〜ノンキーでも喰って来た魚が居たから場所を見切れないなぁ」
と、バイトが出た付近を中心にヘビダン、フットボールとローテーション、
その後はトレースコースやポイントをずらしながら
執拗にチェックするもノーバイト。
その様子は自分から見てもあの1匹にかなり引きずられているんだな、
と、思わせるほどでした。

2時間ほどで桜川を見切り8時17分、玉造に到着。
ジャカゴの周りをスピナーベイトで流す、
特に内側や角、杭周りは入念に何度かトレースコースを変えて
引いてきていましたがノーバイト。
いったん沖に出てエンジンで少し下流側に移動、
漁港のミオ筋に沿って船を進めエレキを降ろす。
「ここは漁港横の岩盤に大きな鉄骨が絡む誰でも知っている大場所なんだよ」
と、平本プロ。

鉄骨の周や杭ををスピナーベイトで流しながら
ジャカゴの内側へとボート進める。
そしてここから怒涛のラッシュ!



8時50分、待望のファーストフィッシュはジャカゴの内側で
葦際に浮き草が広く点在する場所で浮き草の外側をトレースした
スピナーベイトに飛び出すようにバイト! 
450g、「サイズは小さいけど嬉しい!」
と満面の笑顔を浮かべる平本プロ。
9時、同エリアのジャカゴで550gと650gを連続キャッチ。



どちらもジャカゴの際をスピナーベイトで表層引きしていると
下から突き上げるような感じで出てきました。
水の透明度が高くバックシートからでもルアーへのバイトが丸見えで、
見ている自分もハラハラドキドキ、心臓に悪いです。
9時15分、上記と同じパターンで550gキャッチ。
「よし! 小さいけどあと1本でリミットメイクだ、この調子で出ちゃえぇ〜」
と、平本プロ。



その後も調子よくスピナーベイトで流し続けるとジャカゴの角でバイト! 
石の隙間から飛び出すようにアタックしてきたものの
バスの喰い方が浅かったのかフックアップには至らず・・・。
その後も玉造のジャカゴを数箇所スピナーベイトで流すもノーバイト。

11時20分、北利根川へ移動し沈船やテトラを打つもノーバイト。

12時15分、麻生沖のテトラへ移動、
テキサスでテトラや杭を丁寧に打ってゆくと
待望のバイトが出るもフックアップせず。
回収したワームを見ると手だけが無くなっており、
胴体部分にはバスの歯型が付いていました。

13時00分、午前中に4連発したジャカゴのエリアに移動、
同じようにジャカゴの際をスピナーベイトで流し始めるとバイト。
一瞬魚の重みがロッドに伝わるもあっさりとフックオフ・・・
付近のジャカゴを一通りスピナーベイトで流し、
時間を空けて先程バイトが有った場所をスピナーベイトで流す。
と、直後にバイト、リミットメイクとなる550gのバスをキャッチ!
「やったこれでリミットがそろった!」 



まるで自分が平本プロと共にトーナメントを戦っているような気分になり、
ライブウェルに魚を運ぶ平本プロとガッチリと握手!
13時45分、桜川河口へ移動。
帰着時間ギリギリの13時55分まで杭をスピナーベイトで流すもノーバイト。




DAY2



台風一過の空に朝焼けを見ながらのスタート、
前日とは打って変って霞ヶ浦の湖面は非常に穏やかでしたが、
平本プロのBULLETではそんな風景を楽しむ余裕はありませんでした。
まさに水上を走る戦闘機!



あっという間に玉造に到着、前日5本を取ったエリアよりも
上流側のジャカゴでエレキを降ろす。

前日と同様にスピナーベイトで流し
岸際の葦やブッシュはテキサスで打ってゆく。
6時18分、ドックを挟んで反対側のジャカゴへ移動、
ドックの壁際や岸際のブッシュを先程よりも丁寧にテキサスで打ってゆく。
6時46分、波でボートがブッシュ側に流されるが
そのままブッシュにボートを預け更に奥をテキサスで打ってゆく。
ブッシュに引掛けゆっくりとリフト&フォールさせていた平本プロが
ノーモーションでフッキング。
しかし何故か針に掛かったのは木の枝、
「ああ〜っ」と落胆の声を発する平本プロ。
バスが喰い込む感触を確認してからフッキングしたのに
抜けてしまったようです。
直ぐさまファットイカでフォローを入れるも
バスからの答えは返ってきませんした。



7時、前日リミットメイクしたエリアへ移動。
魚探に表示されている水温は16℃、前日は18℃だったので
一晩で2℃も水温が低下している。
スピナーベイトでジャカゴの際を流してゆくが
増水の影響で前日のようなリトリーブコースが取れないのか
デッキから身を乗り出すようにしてキャスト&リトリーブを繰り返す。
また、水温低下を気にしてか前日よりもゆっくりと巻いているように思えました。
ひとしきりジャカゴをスピナーベイトで流すと、
岸際の葦をファットイカで打ってゆく。
葦際に浮き草が点在する場所ではテキサスと
カバーの種類に応じて使い分けているようでした。
余談ですが平本プロは前日のウェイイン時に
バスが黒い黒いっと言われたのを気にしていたようでした。

7時50分、もぅ葦でバクチ! と古渡へ移動。
「だいぶ流れが強いね〜」と平本プロが指差す杭を見ると
下流側は渦を巻いていました。
古渡橋から新古渡橋にかけて川が大きくベントしている所の内側を
テキサスで打ち始める。
全体的に濁りが入っている中で内側の浅い部分だけは濁りが薄く、
流れも緩いのでこういう状況だと、バスが付きやすいと解説してくれました。
居るけど喰わないのか? 居ないから喰わないのか?
悩みながらも古渡を見切り、8時40分小袖ヶ浜付近の杭へ移動。
「ココは一発勝負だから出れば1500gクラスだよ」と言いながら
点在する杭をベビーダウンショットで丁寧に打ってゆく。

9時、和田ワンドの葦を打ちに行くが先行者が居たため
仕方なく少し離れた沈みコンクリートをテキサスで流す。
9時15分、妙技水道へ移動するも入り口付近であまりの水の悪さにターン、
そのまま麻生沖のテトラへ。
そこから10時20分まで玉造方面にむけて、
めぼしいジャカゴや周辺の葦を前日同様に
スピナーベイトとテキサスで打つもアタリもカスリもなし…

そんな状況でも集中を欠かずキャストの精度も衰えない平本プロ。
10時30分プラの時に確認の為に投げたが
バスがルアーを放さずに抜いてしまったというブッシュへ。
今までに無く慎重かつ丁寧にテキサスを打つ平本プロの背中からは
『ココで必ず捕ってやる!』というオーラが出ていました。
そしてその思いが届いたのか待望のバイト!
ノーモーションで強烈なフッキングを決める平本プロ、
失いかけた流れを遂に掴んだかと思った瞬間でしたが
無常にもラインブレイク。
頭を抱えデッキに倒れこむ平本プロ
ここからの気持ちの立て直しはさすが歴戦のWBSプロ、
12時50分までの間諦めることなく各エリアを回り一心不乱に打ち続ける。

12時50分、帰着時間と吹き始めた風を考慮して牛渡ジャカゴへ移動 
「風が吹いたらスピナーベイトでしょ〜」と流し始める。
13時、ジャカゴに生簀跡の鉄パイプが絡む場所で、
『もうこれ以上ないくらい最高のラインをトレースしてるのに!』
と、言った瞬間、来たっ! と平本プロが渾身のフッキング。
その大きく絞り込まれたロッドを見て私は頼むからバレないで!
と祈るような気持ちでいっぱいでした。
そして平本プロがパイプや杭に巻かれないよう慎重に寄せ
一気に抜きあげたバスは、40cmを超える傷ひとつない綺麗なバスでした。



歓喜と興奮で震える手を宥めてシャッターを切る私に、
「遂に捕ったよ」と右手を差し出す平本プロ。
ガッチリと握手を交わした瞬間、
これがトーナメントの醍醐味なんだと感じました。
その後も同エリアで帰着10分前までスピナーベイトを投げ続け、
平本プロのW.B.S.プロクラシック16は幕を閉じました。



あっという間の2日間でしたが今まで体験した事の無かった
トーナメントという世界を同船という形で肌に感じ、
トーナメントプロの1匹に賭ける思いや情熱を身近で体験できた事は
何物にも変えがたい財産になったと思います。
プレスアングラーに採用していただいたW.B.S.オフィシャルの方々、
船上で色々と気遣いを頂いた平本プロにこの場を借りてお礼を言いたいと思います。
本当にありがとうございました。