2007W.B.S.プロクラシック16


草深幸範 プレスアングラ−レポート 麻生雅之


10月27&28日と2007年W.B.S.プロクラシックが開催されました。
今回、プレスアングラ−として乗船させて頂いたのは、
シリーズ戦の初戦に優勝し年間ランキング7位の草深幸範選手。
草深プロは、中学生時代から土浦のマルトボートに通い
入賞回数多数、過去W.B.S.クラッシックチャンピオン、
そして今回のクラシック出場と、
霞ヶ浦とともにバスフィッシングを歩み実績を積み上げてきた、
生粋のカスミマスターです。
そんな草深プロが、選び抜かれた選手だけの集う
2007年W.B.S.プロクラシックをどう戦うのか??
その一挙種一投足をレポートします。

■10月27日(土) Day1

初日、980ヘクトパスカル程の台風20号接近…。
しかし、そんなの関係ねぇ!
といわんばかりに平然としているW.B.S.プロ達。
恐れ入ります…。



もちろん草深プロも例外ではなく、開口一番
「今日は北浦で勝負を賭けるよ」
「台風は状況を見ながら判断するから心配しなくても大丈夫」
漆黒のTr21/YAMAHA V-MAX225のバウは北浦に向けられ、
雨の中をスロットル全開で滑走した。
運良く、ダブルコンソールという福利厚生に感謝します。



7時00分に最初のポイントとなる北浦東岸の蛇籠に到着。
台風の風向きより、西岸に入る予定を瞬時に東岸に変更。
プラの段階で、東岸でポテンシャルの高いエリアがそこであった。
風裏となり湖面はうって変わって凪いでいた。
雨だけが不気味にシトシトと降り続いている。

「西岸に当たる風が強くなるのは明らかだから、
1歩先を読んでこのエリアに入ったんだよ。」
「え?」
「他のコンペティターとエリア移動のタイミングが同じだと、
バッティングしやすいし、リズムを作れないからね。」
「ん〜、なるほど!」
と感心ている間に7時10分/狙い通りのファーストフィッシュ。
450g程のバスをエコギアのBTSでキャッチ。
「いるね〜!」
と幸先の良いスタートに思わず草深プロの笑顔がほころぶ。
このエリアは透明度が高く、
且つベイトフィッシュが水面付近に多くいるのが観察できる。

7時20分/再びバイト!!
これも500g程のコンディションの良いバスをBTSでキャッチ。



アプローチはボートポジションとストレッチの距離を一定に保ち、
表層付近をリトリーブ。
200m程のストレッチを往復し丁寧に攻める。
「本当は、この先に行きたいんだけど
コイ釣りの仕掛けが入っているから無理そうだなぁ。」とポツリ。
この先は小さな流れ込みがあっていかにもオイシそうな場所である。
プラクティスの段階でも、良いサイズを確認できたのは、
そのポイントだったようだ…。

7時45分/更にバイト!!
次は600g程とまたもやBTSでキャッチしサイズアップ。
それ以降、バイトが遠のくもまたまたバイト。

8時30分/4匹目となる600gを同じくBTSでキャッチ!
「お〜っ、あと1本でリミット達成だ。
ちょっとバイトが遠のいたから移動しよう。」
と、最初に入る予定だった西岸のエリアに移動。
「ん〜、やっぱり風当たりが強くてガブガブだね。
取りあえずやってみて、ダメなら即移動しよう。」
水没したリップラップを、BTSで流してみるとバイト。
しかし、喰いが浅いのかすっぽ抜けが多発。
★ルアーをO.S.P.ハイピッチャーにチェンジするも
やはりフックアップまでにはいたらない。



「当たりがあるけど、バイトのらないね〜。サイズが小さいのかな。」
…時間だけが過ぎてゆく。
「よし、移動しよう!」
西岸はやはり予想通りに釣れにくい状況、
早々にこのエリアを見切り北浦東岸のリップラップに移動。
他に船が浮いている様子もなく、
BTSをリップラップ先端からアプローチし始め、数投目でバイト!

9時30分/リミットとなる600g程のバスをキャッチ!
「今日はノリノリだよ〜、
早い時間でリミットが揃うと気持ちが楽になれるよね。」
といっている間に、またBTSにバイト。
「ズガ〜ン、また来たよ! 入れ替えフィッシュだ。」

9時35分/6匹目となる600g程のバスをキャッチ!
ファーストフィッシュの450gと入れ替えする。



「5本で3kg弱ぐらいか、もう少しこの調子で様子を見て
キッカーが混ざらないようであれば狙いにいくよ!」
次なる手を視野に入れつつ、
キッカーが混ざる期待を含みこのパターンで継続。

9時50分/7匹目となる500g程のバスをキャッチ。
しかし入れ替えならず。
10時過ぎ/8匹目となる500g程のバスをキャッチ。
同じく入れ替えならず。

バスは釣れるものの、期待のサイズが伸びない…。
「いまいちサイズが伸びないね。大きく移動しよう!」
と、次第に悪化する天候に気を配りながら、次なるポイントに移動する。
ポイントは外浪逆浦の護岸。
護岸沿いに杭やハードボトムが入っているポイントだ。
雨脚が非常に強い。
今まで狙っていたパターンとは明らかに異なるロケーション。
そして、O.S.P.ブリッツがついたロッドに持ち替えていた。
「サイズを狙っていくには、喰わせる力と
ルアーが持つ寄せの力がかなり必要となってくるんだよね。
良いサイズが期待できるはずだよ。」
と、キャストをし始める。絶妙なボートポジションと、
繊細なアプローチは一般アングラ−の私にとって
目からウロコ状態であった。
1つ1つの動作が極めて正確なのだ。
冗談も交えながらリラックスしたムードなのだが、
ここぞという時の集中力は凄まじい物がある。

現在、8匹のバスをキャッチしているが全てノーミスできている。
フックアップできないバイトはある物の、
ファイティング中にバレたりライントラブルなど一切なし。
ノっている光景を目の当たりにしてしまった。
「きたっ!!」
アプローチを開始し始めてから15分後ぐらいに、
狙い通りのバイト! キッカー狙いのバイトだけに緊張感が走る。
「おっ、サイズアップだよ! Be Stay Be Stay!
バレるな〜、バレるな〜。バックリ喰ってる、よしよし。」
浮いてきたのは、1kgほどのキッカーフィッシュだ。
慎重にボートに寄せて無事上がったのは、
ライブウェル内のバスとはサイズも体色も違うナイスフィッシュだった。
入れ替えだ!
「ふ〜、しびれるね〜。雨凄いけど、ちゃんと撮れた〜?(笑)」
11時過ぎ/キッカーとなるキロフィッシュをキャッチ!



狙い通りのゲームに思わずゾッとしてしまったのと同時に、
ゲーム性の高さに改めてバスフィッシングの魅力を再認識。
その後、ポイントを変え、品を変えアプローチをするも
入れ替えならずタイムアップ。
初日、台風が接近している中でも、
流石クラッシッククオリファイのW.B.S.プロ。
ハイウェイト続出で、5本3400gで初日6位でフィニッシュ。




■10月28日(日) Day2

2日目は初日とはうって変わって、好天候。台風一過の晴天。
しかし、前日の雨の影響で30cmほどの増水。
この状況の変化にどう対応していくのか?
初日好位置に付けてスタートした草深プロのゲーム展開にワクワクしながら、
同船させて頂きました。



「初日のキーパー場は増水しても
あれ以上バスがシャロー側に差せるようなエリアじゃないんだよね。
そこまで増水の影響はないと思うし、朝一はそこだね。
2日目もキーパーを揃えて、キッカーを揃えていく戦略で挑むよ!」
その言葉は、初日の大増水による迷いを
みじんにすら感じさせないものだった。

6時40分、初日と同じ蛇籠エリアに到着。
明らかに増水しているが言う通り水位が上がっただけで特に変化はない。
水面にはシラウオがぴょろぴょろと泳いでいる。
ルアーは初日と同じBTSで、よりシャロー側からアプローチを始めだした。
「来たよっ!」



小規模なインレットにさしかかったところで、
不安を吹き飛ばす待望のファーストバイト!
6時53分/550g程のバスを難なくキャッチ!

しかし、2日目のバスがこれで最後になるだろうとはこの時点では、
お互いに知る由もなかった…。
2日目に釣ったバスは、初日に6本釣り出した同じストレッチではあるが、
明らかに釣れているポイントが異なっていた。
「なんか、昨日とは違うな…。」
「バスはいるはずなんだけど喰わないね。」
ハイピッチャーやジグヘッドワッキーリグと
ローテーションするものの、後が続かない…。
8時を過ぎた段階でもバイトが一向に得られる事はなく、
手を休め、ひと呼吸を置いた。…心は決まったようだ。

「増水してプラスとなるようなエリアを探していくよ!」
それからというものの、初日とは異なったエリアを中心に探っていく。
リップラップ・杭・葦・蛇籠…。
エリアはこまめに変えるが、アプローチは極めてスローだった。



エリアを全体的に把握しているからこそ可能な選択肢。
バイト数こそ少ないものの、キッカー狙いの戦略にスイッチしたのだ。
しかし、ロッドがしなる事もなく刻々と時間だけが過ぎてゆく…。
初日にキッカーフィッシュをもたらした外浪逆浦の護岸も不発に終わり、
ラストポイントは本湖の川尻エリア。
「くればデカイ。」
最後まで、あきらめる事なくビッグフィッシュを追い求めるその後ろ姿。
何かをやって遂げてくれるような
ドラマティックな展開をもたらしてくれるようなオーラを醸し出していた…。
しかし、最後までロッドがしなる事なくタイムアップを迎えた。
「あーっ、やっちったー。エンジン全開で戻るよ!」
残り3分、土浦新港へバウを向けた。
残り1分で帰着申告を無事完了。最終帰着申告となった。
ギリギリまでビッグフィッシュを追い求めるその姿勢に感服致しました。
トーナメント中にも関わらずカメラ目線でポーズを決めて頂いたり、
初日の豪雨で私に気を使って頂いてくれたりと、
大変有難うございました。


最後に、このように見る側も熱くなれるトーナメントを
雨・風関わらず運営して頂ける、スタッフの皆様に大変感謝致します。
お疲れ様でした。