大藪厳太郎 プレスアングラーレポート 石原 遼
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私にとってW.B.S.はずっと憧れの舞台でした。
霞ヶ浦水系という広大なエリアを舞台に繰り広げられる、
アメリカナイズされたトーナメント、バスボート、トレーラーウェイン、
何もかもがカッコイイ! 一度はその舞台に立ってみたい。
そう思っていました。
しかし、滋賀県在住で琵琶湖をホームにする私にとって、
霞ヶ浦水系は全く未知のフィールドです。
ましてプレスアングラーも初体験。
ポイントの名前なんてほとんど知りません。
憧れのW.B.S.の舞台に立てるという期待と、
初めてのプレスアングラーという不安が交錯したまま、
クラシック当日を迎えました。
スタート前のミーティングで、
私は大藪厳太郎プロに同船することになりました。
大藪厳太郎プロ、云わずと知れたW.B.S.のトッププロです。
2002年のクラシックウィナーでもあり、
クラシックでは毎年のように優勝候補に挙げられています。
責任重大…。
【初日】
ランチングを終え、スタートを待っているときに大藪プロが、
「今日はまだどこに行くのか決めてないんだよね。でも頑張ろう!
2日間よろしく!」と右手を差し出してくださいました。
いよいよW.B.S.プロクラシック16スタートです。
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ファーストポイントは本湖東岸。
「これがジャカゴか! 葦も杭もある!」
イチイチ感動、する私…。
沖のウィードエリアが全盛の琵琶湖では、
岸際のストラクチャーを釣ることがほとんどないのです。
「とりあえず湖の今日の状況を知りたいからね。
いろんなものがあるでしょ。でも水が少しキレイ過ぎるな」と大藪プロ。
釣りを開始するも、いきなりのエレキトラブル。
すぐさま工具を取り出し、応急処置を施します。
釣りは再開できたのですが、踏み心地が気になる様子。
魚の反応も得られないので、30分ほどで移動です。
セカンドポイントはファーストポイントと同じ、
ストラクチャーの複合エリアでした。
ルアーをローテーションしながら丁寧に釣っていきます。
そしてファーストバイト。
しかし乗りません。「ライン走ったのにな〜」
バイトがあった周辺を丹念に攻めるも続かず、移動となりました。
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「次はテトラに行くよ。一応、今日の本命なんだ。」と大藪プロ。
昨日のプラクティスで感触を得ていたという麻生、
北利根川のテトラを打ち行ない、2バイトを得るも乗せ切れず。
ここまででスタート4時間が経過、まだノーフィッシュ…。
有望なポイントでも魚を触ることができず、
プレスの私も気が気ではありませんでした。
次は水門へ移動です。
雨の影響を受け難い閉まっている水門の周辺を丹念に探り、
約30分の間にノーシンカー、ヘビーダウンショットで
3本のキーパーを連続キャッチ。
アプローチからランディングまでの迅速かつ正確な動きは
さすがトッププロです。
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リミットメイクの期待が高まりましたが4本目が続かず、移動となりました。
各所を転々としますが、4本目を追加することができないまま、
帰着まで1時間を切ります。
本湖に戻り、ファーストバイトを取ったエリアに入り直しました。
ここで4本目となるキーパーをキャッチ!
「明日に繋がる1本だよ〜」と大藪プロ。
帰着ギリギリまでランガンを繰り返すも反応は得られず、
初日を4本2480グラム、10位という成績で終えました。
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【2日目】
今日は昨日と打って変わって晴天無風の霞ヶ浦。
台風も通過し、余波もない模様です。
一度は見たいと思っていた朝焼けに向かってボートがスタートしていく光景。
まさか船上で見ることになるとは…。 感動でした。
ファーストポイントは昨日と同じような風景。
ストラクチャーの多い複合ポイントです。
「今日のキーを見つけたいんだよね〜。やっぱり増水してるよ〜」
時間をかけて探っていくも反応は得られません。
その後、クランキング、テトラ撃ちを試みるもノーバイト。
「水門へ行ってみよう」と大藪プロ。
ここから水門のランガンが始まりました。
水門の開閉、風の向き、水の色で少しでも条件の良い場所を打っていきます。
そして一箇所目でキーパーをキャッチ。
「あれ? なんかちょっと大きいね。ラッキ〜♪」
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「昨日の状況に追い詰められるまでに、まだ3時間もあるよ〜」と大藪プロ。
早い時間にキーパーをキャッチできたことで安心した様子でした。
私も一安心です。
有望な場所では丁寧に、そうでない場所は一等地を撃って
反応が得られなければ即移動。
ランガンの基本ともいえるスタイルで水門を転々としていきます。
そしてファーストヒットから30分後に再びキーパーをキャッチ。
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「調子出てきたね。今日は揃えるぞ!!」と大藪プロ。
続いて入った鰐川の水門で、今度は連続してキーパーをキャッチしました。
「オレのできる最大級の食わせだよ〜」
この2本はスピニングタックルでキャッチした魚です。
その後もバイトはあったのですが、ポイントを休ませている間に
オカッパリに入られてしまい、移動することに。
「時間も時間だし、本湖で勝負するよ!!
琵琶湖には及ばないけど、霞のキロオーバー見せたい!」
そう言って本湖に急ぎます。泣いても笑っても帰着まであと2時間。
「今から回るところは全部、バイト=キロアップだよ。釣れるといいね」と
大藪プロ。
魚探を切り、エレキも極力踏まないアプローチ。
凄い集中力でした。船上にも緊張感が漂います。
固唾を飲んで見守りましたが、1箇所目、2箇所目と反応はありません。
3箇所目は見覚えのある場所でした。私が「確かここは…」と言うと、
大藪プロが「そう!クラシックで勝った時、キッカーを抜いた場所だよ。
今はオレぐらいしかやらないけどね」ここでは2バイトを得るも、乗せきれず。
私はもう祈るばかりです。
しかしドラマは、移動した次のポイントで待っていました。
帰着まで15分。最後に入った西浦の杭での一投目。
大藪プロが投じたヘビーダウンショットに口を使ったのは、
2日間を通して最大魚となる霞のキロフィッシュ。
慎重なファイトの末、バスをキャッチした大藪プロは絶叫。
私は脱力。ちょっと泣きそうでした。
「ね! キロアップを見せるって言ったでしょ」
…大藪厳太郎カッコ良すぎです!!
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こうして2日間に渡る大藪プロのW.B.S.プロクラシック16は幕を閉じました。
結果は5本3480グラム、2日目2位。
総合成績は3位に僅か20グラム届かず4位。
ご自身のコラムでも振り返られておられますが、
初日の1本が悔やまれる結果となりました。
しかし2日目のマクりは、その存在感を
十二分に見せ付けるものではなかったかと思います。
2日間、プレスアングラーとして、念願のW.B.S.の舞台に立たせて頂きました。
私が想像していた通り、いや、
それ以上に素晴らしい体験ができたと思います。
プレスアングラーの魅力。
プロのテクニックを間近で見ることができるのはもちろんですが、
選手と同じ空間を共有することで、トーナメントの雰囲気、緊張感、高揚感、
時には落胆も、自分自身の肌で直に感じることができるのが、
最大の魅力だと思います。
W.B.S.は、「いつか戻って来たい」心からそう思える場所でした。
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最後になりましたが、初めてのプレスアングラーということで、
W.B.S.スタッフの皆様、そして大藪プロには
大変なご迷惑をお掛けしたと思います。
色々とお気遣い頂き、ありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。
石原 遼
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