早くもクライマックス??
W.B.S.は今年も熱いぜ!
成田紀明・柴崎智尋チーム
怒涛の6670gで初戦に圧勝!
2014W.B.S.プロトーナメントシリーズ第一戦レポート
すでに何度も同じ光景を見ているはずだが、
我々スタッフでさえ初戦のスタート時はいつも興奮する。
おなじみのラウンチング、スタートコール、
そして思い思いの方向に疾走していくボートを見つめていると、
「ああ、今年も始まったなー」と実感する。
そう、4月13日はW.B.S.戦士のお正月なのだ。
待ちに待ったお正月。
今回、馳せ参じた27チーム、54名の選手は、
抑えきれない武者震いを感じつつ第一戦に臨んだ。
そしてその結果は、日本中のアングラーの度肝を抜く、
衝撃的なものだった。
昨年は天候不順のために延期された第一戦。
今年は予定通り開催できることとなった。
まずはその幸運を喜びたい。
当たり前のことが当たり前にできるというのは、
実はとても幸せなことなのだ。
そんな4月13日。
関東では桜も散って、春もたけなわ。
まったりとした雰囲気の中で第一戦の朝を迎えた……
↓
↓
↓
はずだった。
しかし、何やら不気味な風が北東あたりから吹いている。
寒い。
陸であの寒さは湖上ならシベリア並み。
春とはいえ、厳しい環境の中で初戦の火蓋は切って落とされようとしていた。
W.B.S.トーナメントは今年から少し変わった。
大きな変更点がエリア。
潮来マリーナスタートでも、霞ケ浦本湖までを含む全域がエリアとなった。
逆もまた同じ。
土浦スタートでも北浦までエリアになる。
要するにフルウォーターが戦場となったわけで、
可能性も増えれば迷いも増えるという、
まさにプロフェッショナル仕様の設定となった。
話の順序は逆になるが、
このエリア拡大をプラスにさせて、
東浦まで走って入賞したチームもいたのだ。
次に変ったことといえば、
今年から多くのルーキーが挑戦してきたこと。
初Bプロもいれば、
今年から採用されたノンボーター枠から参加してきた選手もいる。
W.B.S.の試合を遠目に見ていて、
興味はあるがイマイチ踏み切れない…
そんなアングラーにとってのオファーである。
彼らにとってW.B.S.の試合がどう映るのか、
実に興味深い。
恐らくスタートのコールを待つ間、
何かをチビルほどの興奮を覚えたことだろう。
「競い合う」……
この男の本能が目覚める時、
人は生きてて良かったと思うのである。
W.B.S.はそんな競技志向の男たちにとっての晴れ舞台である。
創設以来、その軸は今もブレていない。
そして今年からスタッフのヤル気も一新した。
お手伝い感覚をリセットして、
みんなで素晴らしいトーナメントを作っていこうという気概を確認し合った。
選手がベストを尽くしているのに、
スタッフがそれに応えないでどうするのだ! という感覚である。
そんな第一戦だったが、
状況としては春の大潮タイミングに、
魚はズガーンと差してきて、
いわゆる「春爆」モード全開だった……
↓
↓
↓
前日までは。
実際、前プラではかなり確かな感触を掴んだチームが多かった。
具体的には連日6kg!
まかり間違えば9kgいっちゃう…
「俺って天才?」
などと景気のいい話も聞こえた。
相対的に「釣れるんじゃないの?」というムードが漂っていたことは確かである。
しかしっ、
好事魔多し。
世の中そんなに上手く行かない。
風が変り水が落ちて、
状況は変わってしまった。
ただでさえ試合になると普段の8割の釣果がでればいい方なのに、
コンディションが難しくなれば8割はとても望めない。
問題はそうした事態に対処して、
どうゲームを作っていくのか。
要するに「今を釣る」ということしかないのである。
さて、今回は小林氏が選手として参加していたので、
バサー編集部員とレイクを回った。
その結果見えてきたことは、
北浦、それもスタート地点から上流部分に多くのボートがいたこと。
約半数が、そのエリアのどこかにいた。
あとは北利根・常陸利根にチラホラ。
そして前述のように霞ケ浦本湖にチラホラという分布だった。
どこも適度に春の風が吹いて、
10時を過ぎるとのどかな日並が全域を覆った。
しかし選手たちにそんな呑気な雰囲気はない。
春の風に吹かれながらも、
今年の第一戦を懸命に闘っていたのである。
大雑把にいって、
減水して魚がややスプーキーになったことで、
釣りはスローダウンさせられる結果となった。
それまで「巻き」が効果的な釣り方だったようだが、
当日は「撃ち」。
それもかなりスローな攻め方が必要だとの声が大勢を占めた。
そんな読み通り、
今回は賢く状況に対処したチームが好成績を納めた。
その筆頭が優勝の成田紀明・柴崎智尋チーム。
なんと6670gという強烈なウェイトを持ち込んできた。
試合中、何度も入れ替えを行ったが、
スケールを使わなかったので、
実際のウェイトは分からなかったというが、
1690gが2本入るという豪華なウェイインバッグだった。
二人で協力して行ったプラの結果で
北浦の上流部をメインエリアに決定。
さまざまなスポットをラン&ガンして釣果を積み重ねた。
キーワードは「ハードボトム」。
護岸、ドッグ、水門周り、沈み物……
とにかく硬いところを回った。
リグはライトリグメイン。
成田選手がダウンショット、柴崎選手がネコリグと、
微妙な使い分けも奏功した。
朝から風を読み、
「この風だったらあっち」とか、
「ちょっと違うな」と感じたらすぐに移動と、
閃きと勘を頼りに本能を働かせた。
「エリアとタイミングが合っていたようですね」
と冷静に振り返る成田選手。
「フォローの釣りに徹しましたが、
ミスしなくてホッとしました。
優勝に貢献できて嬉しいです」
と柴崎選手。
これで4回目の優勝とか。
かなり「持っている」選手だ。
今後も大いに期待できる。
成田選手TackeData
Tackel1
ROD:AbuGarcia ファンタジスタレジスタFCR-64ML
REEL:AbuGarcia REVO LTX
LURE:Berkley パワーホグ3inch
LINE:Berkley バニシュレボリューション7lb
RIG:ダウンショットリグ5g
Tackel2
ROD:AbuGarcia ファンタジスタレジスタFCR-64ML
REEL:AbuGarcia REVO LTX
LURE:GaryYAMAMOTO 5inchプロセンコー
LINE:Berkley バニシュレボリューション8lb
RIG:ダウンショットリグ5g
メインエリア
北浦,白浜,江川,上流
今回のキモ
フィーディングにくるシャロー
柴崎選手TackleData
Tackel1
ROD:EVERGREEN テムジン カレイド インスピラーレ スティングレースーパーシェイク
REEL:AbuGarcia REVO LT2 AE-74
LURE:イールクローラー
LINE:TORAY スーパーベイトキャスティングフィネス8lb
RIG:ネコリグ
メインエリア
北浦
今回のキモ
ミスなく丁寧に!!
準優勝の草深幸範・皆藤勝チームも
「その日」を釣って好成績を挙げた。
プラで確認したパターンは二つ。
ワカサギの豊漁に関連したルドラ。
そして北浦東岸の上流のバスが差してくるルートのピンスポットを
ダウンショットで撃つというもの。
どちらも強烈なパワーを持っていたが、
当日はルドラは音なし。
沖のピンを撃つ釣りが冴えた。
岸釣りで行ったプラでルドラが炸裂したが、
岸釣りとボート釣りでは違うと、
当日はルドラパターンに深入しなかったのが好結果に結びついた…
と草深選手は冷静に分析していた。
しかし6140gは十分優勝に値する成績である。
パートナーの皆藤選手は初出場での準優勝。
こちらも「持っている」選手といえよ。
草深選手TackleData
Tackle1
ROD:DAIWA STEEZ ウェアウルフ
REEL:DAIWA PX68L
LURE:O.S.P. ドライブクローラー4.4″ W027ダークシナモンブルー&ペッパー
LINE:SunLINE シューター10lb
RIG:ダウンショットリグ DAIWAバサーズスリム5g
Tackle2
ROD:DAIWA STEEZ ウェアウルフ
REEL:DAIWA アルファスフィネスカスタム103L K.T.F.
LURE:O.S.P. ドライブクローラー4.4″ TW117ゴーストシュリンプ
LINE:SunLINE シューター10lb
RIG:ダウンショットリグ DAIWAバサーズスリム7g
Tackle3
ROD:DAIWA STEEZ マシンガンキャストタイプⅠ
REEL:DAIWA STEEZ SV103H
LURE:O.S.P. ルドラSPEC2
LINE:SunLINE FCスナイパー14lb
メインエリア
北浦,江川,白浜,武井
今回のキモ
ディープからシャローへ差すバスが一時的に立ち寄る何かを狙う。
皆藤選手TackleData
Tackle1
ROD:AbuGarcia ファンタジスタMH
REEL:ベイトリール
LURE:O.S.P. ルドラ
LINE:16lb
Tackle2
ROD:Jackall ポイズングロリアスML
REEL:ベイトリール
LINE:SunLINE FCスナイバー10lb
RIG:ダウンショットリグ
Tackle3
ROD:Jakall ポイズンアドレナM
REEL:ベイトリール
LURE:スピナーベイト
LINE:14lb
三位の香取潤一・関口恭兵チームも北浦を釣り切った。
こうしてみるとベスト3はいずれも北浦、
それも上流から出たことがわかる。
まさに「恐るべし、北浦」という感じである。
だが、このチームに関しては戦前の勝算はゼロに近かった。
良くて1本、せいぜい3本……という弱含みで出て行ったのである。
ところが鹿行大橋付近のドックで、
ちょろっと釣ってみれば簡単に釣れてしまって、
「これは行ける?」と俄然元気になって、
それ以降、上流のドックを回って拾い釣りに徹していたら、
ほぼ6kgというナイスウェイトがまとまってしまった。
キモは風とロングアプローチ。
風があればダウンショット、無風ならばネコリグと使い分け、
ロングアプローチで手前まで丁寧にズル引き、
集中して小さいバイトに対処した。
パートナーの関口選手は前述のノンボーター枠から出場して、
いきなり入賞!
「いつかトーナメントに出てみたかった」
という夢が叶った。
おまけに入賞。
「楽しかったです」と笑顔に満ち満ちていた。
香取選手TackleData
Tackle1
ROD:ノリーズ STRUCTURE 640M-Ft
REEL:ベイトリール
LURE:ノリーズ ラッテリー
LINE:フロロ10lb
RIG:ネコリグ 1/16oz
Tackle2
ROD: ノリーズ STRUCTURE 640M-Ft
REEL:ベイトリール
LURE:シュリルピン 4
LINE:フロロ 10lb
RIG:ダウンショットリグ 1/4oz
メインエリア
北浦上流,ドック
今回のキモ
とにかくスローにズル引き
関口選手TackleData
Tackle1
ROD:AbuGarcia ファンタジスタベイトフィネス1
REEL:レボLTX
LURE:O.S.P. ドライブクローラー4.5
LINE:フロロ8lb
RIG:ネコリグ
こうしてベスト3が北浦上流から出たが、
霞が浦本湖で勝負に出たチームもいた。
4位入賞の小田島悟・小林研一チームである。
スタート直後はレフトターンして北浦上流を目指し、
釣れはしたが本意ではなく、
霞が浦東浦へロングドライブ。
ドック周りなどをボウワームで釣り切った。
キモはサイズダウン。
スッポ抜けが多かったのでワームを詰めて使ったのが正解だった。
パートナーの「レジェンド」小林選手も大活躍。
DO-NOシャッドを炸裂させてナイスフィッシュを2本獲った。
83歳の小林さんがこうして頑張っている。
私も引退はできない?
5位入賞の橋本卓哉・保延宏行チームは
ちょっと悔しい試合後だった。
というのも、北浦で爆裂パターンを持っていたからである。
シャッドで6kgは楽勝というもの。
もともとアメドリに圧勝したり、W.B.S.でも勝ったことがあるように
北浦は得意としていた。
自信があるのも理解できる。
だが当日はオカッパリや状況変化に翻弄された。
パートナーの保延選手は2013年のベストパートナー。
DO-NOシャッドで試合に貢献したが、
エリア選択などで大いに勉強になったとか。
そして6位入賞は
やはり北浦上流、鹿行大橋付近をスローに攻めた
小島貴・倉田裕一チーム。
プラで春爆を思いっきり味わったが、
魚が変ってしまった……とか。
それでもお立ち台を確保するあたりはさすがである。
パートナーの倉田選手は初お立ち台とか。
昨年一年間の勉強が実ったといっていい。
十分誇れる6位といえるだろう。
なお、ビッグフィッシュ賞は
鈴木将之・中根亘チームの1790gが獲得した。
牛堀のハードボトムで
中根選手のステイシー60が火を噴いたものである。
TackelData
Tackle1
ROD:CBR-781
REEL:DAIWA TEAMDAIWA-X
LURE:LucyCraft ステイシー60
こうして、話題も豊富に2014年の第一戦が終わった。
リミットメイクが6チーム。
結果的に入賞の条件がリミットということになった。
ノーフィッシュはゼロ。
釣れていたとも釣れていなかったともいえる
微妙な結果だ。
しかし上位のウェイトは春らしい凄まじい迫力だった。
昨年の4月の試合は中止になったが、
2012年の初戦は4月8日に行われ、
小野光一・高橋和也チームの優勝ウェイトが4130gだったことを考えると、
今年の数字は出色のものだろう。
いやー、釣れるぜ北浦。
上手いぜW.B.S.選手!
これだからトーナメントは面白い。
今年も秋まで面白い試合を見せてくれそうだ。
大いに期待したい。
最後に優勝の成田選手のコメントをご紹介しておこう。
「メーカーさんの看板を背負っている私たちのガチの試合を
これからもお見せしていきたい。
本気で戦っている姿をお見せしたい。
それがW.B.S.の盛り上がり、そして業界の発展につながる。
そういう気持ちでこれからも試合と取り組んでいきたい」
面白くなりそうな2014年W.B.S.トーナメントだ。
レポート・大和小平(やまとしょうへい)
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