2007年、初のアングラーオブザイヤー(以下、A.O.Y..)を獲得し、
2014年再びA.O.Yの座に輝いた蛯原英夫選手。
W.B.S.に参戦してから17年。
国内第二位の広さを誇る霞ヶ浦水系で戦うトーナメンターの中では、ストイックにシャローを攻めるイメージが強い選手だ。
そんな蛯原選手に、
ロングインタビューを敢行。
2014年のシーズンを振り返ってもらいつつ、パーソナルな面についても少しだけ語ってもらった。
第1回目は、蛯原選手がトーナメントに参戦するきっかけから、
自身の釣りのスタイルについて語ってもらった。
1996年、26歳のときにW.B.S.のトーナメントにデビューした蛯原英夫選手。
地元の先輩だった菊池さんと澤部さんから、W.B.S.の話をよく聞いていたことがきっかけだった。
菊池さん、澤部さんとは
小学生の頃から一緒に釣りをしていた。成長するにつれて釣りから少し離れるが、23歳ごろに再び釣りを復活させ、旧知の仲だった二人と再会。
その二人から、W.B.S.は1年スタッフをやれば翌年からボーターとして出場できることを知ったという(現在、この制度はない)。
W.B.S.に関わる前に、まずJBA(牛久沼・小貝川を中心に活動するトーナメント団体)で全戦優勝をやってのけた蛯原は、まさに満を持してW.B.S.に入会することになる。
ちなみに、当時トーナメンターとして影響を受けた人はいるか? とたずねると
「釣り自体の影響は受けなかったけれど、当時みんなが憧れていたトップトーナメンターたちに俺も憧れていたよ。あの時代はみんなそうだったんじゃない? 金縁のレイバンのサングラスをかけて髪型もオールバックにして(笑)。もちろんロッドは初代コンバットスティック! みたいな」
その後・・・
最初の一年はスタッフとして参加。赤羽修弥プロのボートを買い、ひそかに修行を積んでいた。
26歳になった年、菊池・澤部の両名が今年から出たいと言ったとき、吉田幸二氏が「蛯原もか?」と言ってくれた。その問いかけに、「はい! 出たいです!!」って言ったことを、すごく覚えているという。
そして、初参戦した年の第1戦のパートナーは、布川昭男氏だった。
結果は、なんと3位。
「当時はエントリーしている人数も多く、層もアツかったなかでの3位は自信にもなった。パートナーがベテランの昭男さんだったこともあり、昭男さんの経験値のおかげで得た結果だったと思っている」。
参戦して、シーズンが終わってみたら、初出場の年は年間ランキング2位だった。
ちなみに初優勝は、翌年の参戦2年目の第一戦。パートナーは田中健さんだった。
つまり蛯原選手は、エントリー初年度から、その頭角を現していたというわけだ。
* * *
蛯原選手というと、やはりシャローというイメージが強い。
実際にトーナメントの結果や表彰のインタビューを聞いても、多く聞かれる言葉は「東岸のシャロー」であり、シャローカバーでゼロダンやトップウォーターなどを駆使して、シャローに潜むデカバスを獲り、結果を出しているのは事実。
蛯原選手は言う。
「釣りのスタイルはオールマイティだが、基本はシャローカバー。そこからどう組み上げるか、っていうのが俺の釣り」
仮にシャローが音なしだったら、そこから何がしかの策を練るか、少しずつ沖に出たりする。杭を打ってみたり、杭にいなければ浚渫に・・・という具合だ。
「でも、まったくシャローがダメということはないから、そのシャローのなかでも違うカバーを狙おうってなる」。
シャローは、
一年中通用するのか?
「通用する、と俺は思っている。もちろん、いまの霞ヶ浦でも」と断言する。さらに続けて
「例えば、寒くなってくると当然小さなシャッドやロングビルを投げるよね。それで食った魚は、深いところで食ったように思う。けれど、必ずしもそこにバスがいたとは限らない。そんなルアーを使っていても、実は巻きはじめすぐに食ったりしていない? それは浅いところにいるバスだよね。ただ深いところを引けるロングビルミノーで釣ったというだけで、勘違いしているアングラーも多い」。
捕食で浅いところにいるバスは、デカイしやる気があるバスが多いから、ガツンって食ってくるし冬でも丸呑みだったりするわけだ。
どっちかといえば、深いところにいる魚に口を使わせるのって難しい、と蛯原選手は言う。しかし、間違ってはいけないのはそのテクニックを蛯原選手が持っていないわけではないということ。
つまり、どちらが釣りやすいか、という選択肢があった場合に、デカくてやる気のあるバスはシャローにいるということを知っているから、シャローを選択しているのだ。
「テトラの一段目。落ちたところの1m以内のところでバスを手にしたとする。それならば、ブレイクの隣接しているあのアシ際の多いかぶさった下にもいるかも、という発想になる」。
しかし、シャローであればどこでもいいというのでは、もちろんない。100mも進むようなずっと浅いところのシャローではなく、冬であれば、ブレイク隣接のシャローとなる。
「バスがいるポジションというのは変わらないわけね。テトラの浅いところにいるヤツも、ブレイクのアシ際にいるヤツも同じ。やる気のあるヤツはそういうところにいる。だから、手っ取り早くそういうヤツをまず狙う」。
2014年シーズンやってみても、そのやり方は通用したと思うか、聞いてみた。
「通用したと思う。というか、根本的に俺はずっとその考えで魚を追い求めているから」。
「2014AOY 蛯原英夫STORY」と題してお届けするこの内容は
全3回でお送りします。
次回は、2014年プロシリーズの全試合を、蛯原選手に振り返ってもらいます。
be continued・・・