2020 WBSジャパンオープン SDG Marine CUPレポート


優勝の栄冠は
SDG Marine FACTORY TEAM 3
早野剛史・中村有知チームの頭上に!


10月18日(日)、午後3時30分、土浦新港は異様な雰囲気に包まれていた。
44チームが参加して開催されたW.B.S.ジャパンオープンSDG Marine CUPのファイナルウェイインが行われていたからである。

 

 

といっても、観客はいない。

コロナ禍のおかげで、今回も無観客試合が余儀なくされたからだ。
つまり、抗体検査を経て陰性が証明されたものだけがここにいたことになる。

土浦新港がどよめいていたのは、他の理由があったからだ。

W.B.S.名物のトレーラーウェイイン。
とくに最終日のそれは、優勝チームが決まる決定的瞬間、誰もがカタズを飲んで見守るハイライトだ。

無観客試合でも、インスタで世界中に配信されている。
その無数の目が優勝者が決まる瞬間を待っているのだ。

 

トレーラーウェイインは初日のトップ5、そして二日目に魚をたくさん持ってきたチームに限定された。

それが残り2チームになっても初日のウェイトを超えるチームが出てこないのである。

 

「ひょっとして1日のウェイトで優勝?」
そんな疑問が見ているものの脳裏を過った。

 

そこへTEAN SDG MARINE –BOTTOM UP 草深幸範・柏木健作チームがやってきた。
初日2位のチームである。
しかも歴代優勝チーム。

こうなると優勝はこのチームか、早野チームしかいない。

そして草深チームが早野チームの初日のウェイトを上回らないと、早野チームの優勝ということになる。

つまり早野チームは1日だけのウェイトで2日間競技を勝ってしまうのだ。

 

だから土浦新港はどよめいていたのだ。

 

草深チームが優勝の可能性に届くのは3105g。
それでトータル6805g。
早野チームを上回る。

 

しかし草深チームがウェイインバッグに納めたのは2本。
計ってみれば1365g。
この時点でトレーラーウェイインを待っていた早野チームの優勝が決まった。

 

なぜかポカーンとする優勝チームと関係者。

早野チームの2日目のウェイト605gはもはやオマケでしかなかった。

 

単日の釣果で2日間競技を勝ってしまう。
W.B.S.史上、初の出来事である。

初日1位で出て、2日目もトップウェイトという
いわゆる「ポール・トゥー・ウィン」は何度かあったが、今回のケースは初めてである。


 

それでは初日の状況から振り返ってみよう。
3時の時点ではまだ降っていなかった雨が、4時ごろからポツポツ降り出した。
そして集合時間の5時にはかなりマトモな雨に変わった。

そして寒い。
凄く寒い。
スタートする頃には風も出て、厳しいコンディションになった。

こうした中で各チーム奮闘したがやっぱり結果は厳しく8チームがノーフィッシュ。
1本2本がズラリという有様だった。
事前情報でも釣れないという話は聞こえて来たが、これほどまでとは。

気を吐いたのは優勝チームと草深・柏木チーム。
そしてSDG Marine FACTORY TEAM 1の福島健・小田朋樹チーム、TEAM SUNLINE の出村輝彦、富村貴明チーム、そしてチャレンジャーの加藤栄作・加藤栄樹チームぐらいだった。

それにしても今年の出場メンバーは豪華すぎる。
W.B.S.はもちろんJB 、TBCのトップトーナメンターがズラリと顔を揃えて、一説には「オールスター?」と間違えられたほどだ。

確かにこれだけのメンバーが揃うトーナメントは珍しい。

そして2日目。
幸い、雨はあがって8時頃には陽が射し始め、今度は暑くなってしまった。
風も微風。
これも状況を難しくさせ、ノーフィッシュが15チームに増えてしまったのである。

全員が勝ちに来ているので多少のギャンブルは致し方ないが、それでもこの貧果は尋常ではない。

結果的には優勝チームも苦しんだ2日目だったが、初日の貯金がモノをいって逃げ切った。

優勝チームの釣りはこんな感じだった。

2日間プラを行った結果、各エリアまんべんなく釣れると判断したが、1.5kgから2kgフィッシュが釣れるエリアは西浦と東浦の2カ所。

トーナメントの性質から着を拾う釣りをしても意味はないので「夢のある釣りをしよう」とワカサギやイナッ子とリンクしているビッグバスにロックオン。

西浦の5カ所のスポットをラン&ガン。スピナーベイト、シャッド、ディープクランクを適材適所に投入してクォリティーなバスを重ねていった。

とくに印象的だったのは初日の朝一。
スピナーベイトを投げようとしているパートナーに
「カーブフォールさせて着底したら巻いてください」と指示した早野選手。

そうしたら「来ました」と1850gフィッシュが上がって来た。
勝つ時はこんなものだが、スタート直後から神がかっている。

「5kgぐらいは釣れるかと思っていました」

と早野選手は語っていたが、それが6800g!。
結果的にはこの時点で優勝カップを手にしていた。

 

早野選手が投入したタックルで本人が「キーとなった」と語っていたのがプロトのシャッド。

初日のように寒い時期に効果的なアクションが激ハマリしたという。

そのパフォーマンス最高に発揮させたのがグラスティッブを搭載したロッド。
シャッドで釣れた魚はすべて外掛りしていたように、口を開けて喰っていないスローな魚も乗せてくれたのである。

このチームの2日目は井が痛くなるような1日だったが、花室川河口のロックエリアで、そのシャッドで1本獲り、なんとかゼロを免れた。

夢のある釣りで夢を仕留めたナイスゲームだった。

【早野剛史選手 Tackle Data】
Tackle.1
ロッド:ポイズングロリアスXC166LG BFS
リール:ベイトリール ノーマルギア
ライン:レッドスプール8lb
ルアー:シャッド(プロト)

Tackle.2
ロッド:66ML(プロト)
リール:ベイトリール
ライン:レッドスプール12lb
ルアー:ラパラDT10、12、 ジャッカル・ディグル

【中村有知選手 Tackle Data】
Tackle.1
ロッド:TEMJIN The COBRA TMJC-65M
リール:Abu Morrum SX360IC-MAG
ライン:フロロ11lb
ルアー:ハイピッチャー3/8oz


準優勝はTEAM 剛腕BIGMAMA の蛯原英夫・清水盛三チーム。
プラでは釣れなかったが、秋の釣りの経験を生かして西浦、玉造、東浦の3カ所でゲームを展開。

初日早々にコンフィデンスエリアの西浦の木ジャカでダブルモーション3.6のテキサスリグに食わせたが、後が続かない。

その後チャージャー210エリートの走破性を生かして北浦まで走ったがノーフィッシュ。

霞ケ浦本湖に戻り朝釣った木ジャカで2本追加して初日を終えた。

「最後まで諦めない」と出て行った二日目はフライト1番を利して初日と同じスポットにカッ飛んだが釣れない。

そこで東浦などを周り、清水選手のワイルドハンチが炸裂、蛯原選手の必殺フラップクロー・ゼロダンも機能して4本3765g。二日目のトップウェイトをマークして準優勝をもぎ取った。

優勝チームとの差はわずか1kgちょっと。
惜しいと言えば惜しい2位だった。

【蛯原英夫選手 Tackle Data】
Tackle.1
ロッド:オライオン ムーンゲイザー19MH
リール:ベイトリール
ライン:バスザイルマジックハードR16lb
ルアー:EGバレットシンカー6g+ダブルモーション テキサスリグ

Tackle2
ロッド:オライオン スターゲイザー69H
リール:ベイトリール
ライン:バスザイルマジックハードR16lb
ルアー:ゼロダン5g+フラップクロー3.3インチ

【清水盛三選手 Tackle Data】

Tackle.1
ロッド:エバーグリーン タクティクス オセロット
リール:ダイワ スティーズA5.3:1
ライン:サンライン ディファイヤー17lb
ルアー:ワイルドハンチ


3位はチーム名・チャレンジャーの加藤栄作・加藤栄樹の親子チーム。

初日は北利根でサイトで2本獲り、穴撃ちで1本追加。
ネタはHPバグとドライブビーバーのビフテキ。
二日目は栄作選手が帰着間際に西浦でハイカットを炸裂させ2本目をゲット。
3位に滑り込んだ。
このメンバーでの3位は実に立派である。

「このメンバーでお立ち台、こんなに嬉しいことはありません」
と語っていた栄作氏の言葉が印象的だった。

【加藤栄作選手 Tackle Data】

Tackle.1
ロッド:エバーグリーン エアリアルレジェンドLCSS-60UL
リール:ダイワ ルビアスLT4000-CXH
ライン:フロロ4lb
ルアー:O.S.P ハイカットDR

Tackle.2
ロッド:エバーグリーン スーパースティードGTR-C66LR
リール:ダイワ ジリオン10.0 KTFフィネススプール
ライン:フロロ8lb
ルアー:O.S.P ブリッツMR

Tackle.3
ロッド:エバーグリーン コブラRS IRSC-66M
リール:ダイワ ジリオン10.0 KTF NEOスプール
ライン:フロロ12lb
ルアー:O.S.P ブリッツDR

【加藤栄樹選手 Tackle Data】

Tackle.1
ロッド:ポイズン アルティマ
リール:ダイワ イグニス2000
ライン:サンライン FCスナイパーBMS AZAYAKA 4.5lb
ルアー:O.S.P HPバグ

Tackle.2
ロッド:ダイワ SG 661MXB-ST
リール:ダイワ スティーズCT KTFカスタム
ライン:ダイワ フィネスブレイブ10LB
ルアー:ビフテキ3.5g ドライブビーバー3インチ

Tackle.3
ロッド:ベイトロッド 166ML
リール:ダイワ SSエア
ライン:ダイワ フィネスブレイブ10lb
ルアー:ビフテキ5g マックスセントフラットワーム


初日のビッグフィッシュ賞は崎浜のロックエリアでDシャッドに食ってきた1980g。
FISH or DIVE 坂田泰信・森川秀樹チームによって釣られたものだが、

二日間で最大だったため、トータルビッグフィッシュ賞も獲得した。

 

二日目のビッグフィッシュ賞はSDG Marine 横利根SMの関和学・正木敦チームの1680gに与えられた。

朝一、霞ケ浦本湖のドックの壁にカットテール4インチのネコリグを落として獲ったものである。

こうして話題も豊富に2020W.B.S.ジャパンオープンSDG Marine CUPは終了した。

メンバーの豪華さは特筆されるべきものだが、ゲーム内容もそれに相応しいハイレベルなもので、難解な霞ケ浦との知恵比べは印象に残るものが多かった。

様々な障害を乗り越えて開催に漕ぎつけただけに、達成感も小さくなかった。

関係各位のご協力には心から感謝申し上げたい。

 

10月22日 レポート 大和 小平

No Comments Yet.

Leave a comment

You must be Logged in to post a comment.