勝利をもたらした
「The 立ち回り」
ハシタク・佐藤善幸チーム
灼熱の第四戦をしたたかに釣り抜ける!!
一日何時間もの長丁場を戦うバストーナメントだけに、条件は刻々と移り変わる。
当然、正解はその度に異なってくる。選手はその中で様々なエリアを巡り、釣り方を模索しなから変えていく。
そんなバストーナメントにおいて重要なファクターとなるのが「立ち回り」。
気象条件や魚の状況に応じて臨機応変にゲームを進めることが肝要になってくる。
これが上手く行くと、おのずから結果は付いてくる。
いうまでもなく一番うまく行ったチームに勝利の栄冠が輝くのだ。逆に、上手くいかないと思わしい結果は期待できない。
どんなゲームにもその「真理」は存在するが、7月21日に30チームが参加して土浦新港で行われた第四戦においてはとくに顕著だった。
優勝チームの立ち回りが実に水際立っていたからだ。
***
優勝チームは……という前に、当日の状況を振り返ってみよう。
少し前に梅雨明け宣言が出た関東地方。当然、うだるような毎日が続いた。
試合前の数日も灼熱地獄。前日も35度近い気温が土浦を襲った。
そしてこの時期に顕著なのが予期せぬ豪雨。7月20日にも激しい雨が深夜、そして21日未明にも降りしきった。
21日の試合当日の朝は曇り。風は弱かった。その曇天は10時近くまで続き、束の間の涼しさをもたらした。
多くのチームはこのローライトの恩恵を受けて何本かの魚をライブウェルに入れることができた。灼熱が続く毎日の中でのオアシスのような時間帯だった。
しかし10時を過ぎると太陽が顔を出し、強烈な暑さが霞ケ浦・北浦を襲った。いつもの灼熱地獄がやってきたのだ。風も弱い。
こうなると魚の食いも変ってくる。というか、かなりスローになる。
ここで「立ち回り」がクローズアップされるのだ。
優勝したハシタク・佐藤チームの立ち回りはこうだ。
今年は思うようなゲームが出来ていなかったハシタク選手。
「心が折れていた」
試合前はプラも思うに任せず、前日の10時にやっと腰を上げたほどだ。
しかしそれでも作戦はしっかり立てていた。「これからは霞ヶ浦でもフィネスな釣りが決め手になる」・・・こう読んだハシタク選手はスピニングタックルにPEラインを組むというシステムを組んで試合に備えた。
そして得意の小野川に行ってみれば、意外に簡単に杭で釣れた。「行ける」。こうしてプラではフィネス作戦の手応えを得た。
しかし試合当日の朝は前述のように曇り。ならばと過去の経験値を生かしてスティーズスピナーベイト3/8を杭に投げればイージーに食って来た。こうなると昔の経験が生きてくる。中流域で巻きでパートナーと合わせて3本のナイスフィッシュを獲ることができた。
「ハードルアーは釣れる時間帯が少ないので、ここでナイスフィッシュを獲れたのが大きかったですね」(ハシタク選手)
ここまでは普通の展開だが、陽が出始めた10時からの「立ち回り」が冴えた。
「巻きで獲った3本のナイスフィッシュを無駄にしたくなかった」というハシタク選手がバイトが遠のいた時間帯にとった行動は
「釣れないところで釣れない釣りをしてある程度時間を過ごしてから杭に戻りました。そして当初のプランだったフィネスの釣りを得意の杭で実行したんです。
0.6号のPEラインにフロロのリーダーを組んだシステムです。
これにO.S.PサイコロラバーやHPシャッドテールのダウンショットをリグって、普段は行わないシェィクを駆使して帳尻合わせの魚を獲りました」(ハシタク選手)
そうなるとパートナーの佐藤選手もフィネスな釣りが得意だけに貢献する。ジャッカル・ワムワムフレアー60のノーシンカーをフォールさせてバイトを獲って行った。
こうしてハシタク・佐藤チームは朝の曇天に際して当初のプランを封印して巻きの釣りを展開。ナイスフィッシュを獲ってからの晴天に際してフィネスパターンに切り替えてリミットメイクを果たした。フィネスの釣りではノンキーも含めて15本ほどの魚を掛けたという。
こうして、小野川中流域という知悉したエリアを持っていたハシタク選手は臨機応変な立ち回りで第四戦に勝利した。パートナーの佐藤選手もフォローも冴えていた。見事な勝ち方といえよう。
***
準優勝は富村貴明・傳法谷義史チーム。
当初、北利根川に向かうも「雨が降るといい」(富村選手)夜越川にバウを向け、パートナーと合わせて3本の魚を獲った。ネタは富村選手がエビダンスやバズなどのトップ系、傳法谷選手がワームのダウンショット。
そして北利根川の潮来周りに移動してリミットメイク。パートナーとのチームワークも冴えて堂々の準優勝に輝いた。
3位は馬路久史・尾形芳秋チーム。
北利根川・横利根川出口付近にフォーカス。朝一にクレイジーフラッパーのフリーリグで1本獲った後は開発クランクで1本追加。シェイクしながらのスローリトリーブで食わせた。10時を過ぎて魚っ気がなくなってからは移動を繰り返したが、花室川に移動して開発クランクで3本目を獲って3位に入賞した。
4位は北浦・巴川まで走った鈴木幹夫・小石博明チーム。
サードフライトの最後のスタートだっただけに「サイズは期待できないがリミットは揃うだろう」と北浦最上流まで走った甲斐があった。メインはヤマセンコー4。パートナーの小石選手と二人でノンキーを含めて多数のバスを掛けた・
そして5位は小野川上流の流れのある杭でO.S.PドライブショットやブリッツSSRなどを駆使してキーパーを重ねた齋藤寛之・吉野達哉チームという上位入賞者だった。
ビッグフィッシュ賞は小野川上流のブレイクでDAIWAのネコストレート(プロト)をズル引いた赤羽修弥・周東将輝チームの1860gが獲得した。
こうして朝は涼しかったが、結局はクソ暑くなった第四戦が終了した。
いつになくノンキーが目立った試合だったが、デッドが皆無だったことは、この季節を考慮すると素晴らしいといえる。
ちなみに気になる年間ランクだが、私の手計算だと以下のようになる。
1 大石智洋 84
2 大藪厳太郎 63
3 齋藤寛之 58
4 今井 新 49
5 ハシタク 48
6 草深幸範 43
7 松村 寛 43
8 蛯原英夫 43
9 富村貴明 35
10 馬路久史 30
※あくまでも手計算なのでオフィシャルな結果ではありません
というわけで選手の皆さん、関係者各位、お疲れ様でした。最終戦で会いましょう。