坂田泰信・中川雅裕チーム
難解を極めた早春のプリスポーンゲームを
クレバーに釣り勝つ!!
3月30日、今年最初のW.B.S.プロトーナメントが26チームの参加の下、土浦新港を起点に開催された。
すでに霞ケ浦・北浦に於いては各団体のトーナメントも始まり、「それではW.B.S.はどうなのか?」と注目を集めた中での開催だった。
3月の試合ゆえ、状況は必ずしもイージーではなかった。それどころか激ムズになってしまった。ただでさえ難解な早春のゲームが、直前の冷たい雨で一挙にプランを崩壊させてしまったからである。夏日を思わせた温暖な日々からの急転直下の冷え込みは、動き出そうとした魚を一気に停滞させてしまった。
17℃まで上がった水温が、前日に13℃まで下がってしまっては、魚も困惑するというものだ。
試合当日の朝も、行ったことはないがシベリアを思わせる寒さ。気温は5℃を下回った。一度仕舞った防寒着を引っ張り出さざるを得ないほどだった。
選手集合時には前夜来の雨も残り、一段と心細さを増幅させた。北系の風も、寒さを運んできた。
そんな中での各チームのゲームプランは、天気予報と相談の上、気温が上がるまでは行きかけの駄賃を狙い、陽が射すころから気合を入れて魚を仕留めるというもの。
そして多くのチームがキーパー狙いで800gクラスのオスと、飛躍的なウェイトが期待できるメスを役割分担で狙うというプランを組み立てていた。W.B.S.らしいチームプレーである。
それが上手くいかなかったチームも少なくなかったが、上位にはそれが奏功したチームが名を連ねた。
優勝の坂田・中川チームはその典型である。メス狙いの一発が命中した2540gのビッグフィッシュを含めた3本4275gは、この時期を考慮すれば出色の数字であろう。どこに出しても誇れる成績だ。
今年は2月から練習をスタートさせた坂田選手は、暖かくなったタイミングで風を読んで釣りをすると比較的イージーに魚が釣れることを掴み、北利根川における前週のプラでもその分析が正しかったことを確認。敢えて前日はボートを出さず、初心を貫徹することにした。ひょっとして悪いイメージが生まれることを恐れたためでもあった。
指名したのは当然、プラで確信を得た北利根川中流域。もう一つの候補、小野川は雨によるマイナスポイントで削除した。
前述のように試合当日は極寒。予定通り暖かくなるまでは本湖東岸で時間調整を行い、空にうっすら陽が射し始めた頃、勇躍北利根川へ。坂田選手の作戦はオスのキーパーもメスのビッグも両方狙う作戦。一方、パートナーの中川選手はカバーは坂田選手に任せ、一貫してシャローのメス狙いであった。
すると北利根川のカバーで坂田選手がスタッガークローの7gテキサスで予定通りナイスサイズをゲット。2時間近く間が空いたが、2本目も獲った。これは3.5gのリーダーレスダウンショットだった。
すると坂田選手とは違うタイプのシャローで、上を向いている魚を狙っていた中川選手が思惑通りの魚を掛けた。しかし隣接するブッシュに入られてしまった。かなりゴージャスなヘビーカバーである。そこでガボッと姿を見せた魚は優に2kgを超えるモンスター。
「こ、これを逃したら末代までの恥」とばかりに坂田選手、上半身を水中に突っ込んで16lbのラインを手繰り寄せ、ついに確保。
「獲ったドー!!」
この瞬間、二人で雄叫びをあげて抱き合ったという。
こうして4kgオーバーという数字を作った坂田・中川チームは余裕で優勝の栄冠に輝いた。役割分担が最高に機能した結果といえようが、今年は新規巻き直しで釣りに向かい合い、部屋に大きな霞ケ浦・北浦の地図を掲示し、それを見て常日頃からイメージを育んできた坂田選手の努力が結実した結果といえよう。
努力が結実したと言えば準優勝の大塚拓選手も同じであろう。開幕パーティーの頃からプラを始めてトータル18日を数えた大塚選手は「湖に浮く時間が長ければ長いほど魚が濃いエリアが分かってくる」と練習がもたらしてくれる恩恵を確信。本戦に於いてもその信念を貫き、パートナーとともに4本の魚を持ち込んだ。
陽が出るタイミングまでの時間を利用して北利根川に行けば、バッティングに見舞われつつも「ここは?」というスポットでパートナーと1本ずつ獲れた。動員したリグはスモラバやカバーネコ、ジカリグなどである。パートナーは2種類のネコリグを駆使した。
そして妙技でパートナーが1本獲り、当初の狙いの本湖東岸へ。暖かくなったタイミングで石積+αでシャッドテールをメス狙いで引けばナイスな4本目が来た。これで準優勝を手の内に入れた。
リミットメイクが最大の目標だっただけに4本で終ったのは心残りだったと大塚選手は言及したが、熱心な練習がなければこの数字は刻めなかったであろう。
パートナーの山口選手もこう語っていた。
「さすがに熱心に練習しているだけあって、行くところすべて魚っ気があり、すごいと思いました。本来のバスフィッシングが成立していると感じました。今回はゲスト枠での参加でしたが、こんな経験が出来て最高でした。もっとたくさんのアングラーにこの楽しみを味わって貰いたいと思います」
そして3位は「お立ち常連」の今井新・藤原勝己チーム。
水温低下により冬っぽい釣りにシフトした今井選手はいつもより深めのドック周りの葦やブッシュ、ウッドカバーに狙いを定め、得意のスピンナッツ65の増毛チューンにモノを言わせ、3本の魚を確保。試合前は「冷え込みで魚のポジションが掴めず、2本獲れれば良しとする」と弱気だったが、しぶとく数字を作って来たのはサスガである。
パートナーの藤原選手も今井選手の釣りにはいたく感銘を受けたようで、これもチームトーナメントならではといえよう。
4位は本湖北岸の杭やブッシュでツインテールリンガーのネコリグやカバークリーパー+キッカバグなどを駆使して2本のナイスサイズを持ち込んだ蛯原英夫・尾形芳秋チーム。水温が下がっても釣る自信はある、と語っていた通りの結果となった。
5位は土浦近辺や本湖東岸でドライブクローラーのネコリグ、ドライブビーバー3インチのジカリグなどで3本の魚を捻りだした松村寛・堀越将太チームだった。
こうして注目の2025年の第一戦が終わった。26チーム中ゼロ帰着が12チーム出たとはいえ、3月寒い中の試合を考慮すれば、トータル的にはまずまずといえよう。
さあ、今年も始まった。早くも次の試合が楽しみになってきた。
W.B.S.は今年も熱いぞ!!
というわけで皆さん、お疲れ様でした。
当日の結果表は以下のリンクをご覧ください