6/11-12 第3戦 レポート


梅雨寒、大減水、大激流。

三重苦を制した袖山敦志・杉浦政則チーム

嬉しい初優勝を飾る!!

 【2022  WBSプロトーナメント 第三戦レポート】

 

第三戦は今年初の2デイ。

しかも時期は釣れる……はずの6月。

総ウェイト制で戦われるW.B.S.ゆえ、選手にとっては稼ぎ時。

 

暖かい雨でも降ってくれればベストコンディションだ。

そんなワケで各チーム、プラの段階から気合十分で試合に臨んだ。

 

しかし状況は6月に入って目まぐるしく変わり、全チームを翻弄した。

雨は想定内だが、冷たい雨はご勘弁。

とくに試合直前に降った雨は気温、水温を激下げして魚と人間の活性を下げた。

 

従ってプラクティスの段階から感触は芳しくなく、「これはリミットメイクもキツイ」

と各チームは渋いゲームを覚悟したのである。

 

その読みは当たった。

前日の10日午後は晴れて蒸し暑かったが、試合初日の11日は寒い曇り空。

スタート時には急に雨が降り出した。

すぐに止んだが、曇天は一日続いた。

 

 

その日の夜、土浦に大雨が降り、二日目の朝方には止んだが、川は激流と化した。

その雨はウェイイン時に再び降り始め、表彰式では止んで暑くなるという不可思議な移り変わりを見せた。

 

何より選手を苦しめたのは減水。

初日はまだ良かったが、二日目は超が付く減水。

通常ルアーを撃つスポットは完全にボトムが露出していた。

 

もう一つ選手を幻惑させたのが天気予報。

初日夜の予報では、二日目は大雨、爆風とのこと。

これも選手のプランを変えさせた。

 

例えば初日。

北浦に飛んで見事にリミットメイクした小野将大・新倉裕司チームに、北浦行を諦めさせたからである。

 

しかし実際は大して吹かなかった。

北浦に行っていたら釣れたという保証はないが、結果的に手探りでセカンダリーパターンを進めるしかなく、同チームは二日目、1本に終わった。

しかしこれは予報が少しズレただけの話。

実際は下妻方面ではゲリラ並みの豪雨が降り、強風が吹き荒れた。

土浦においてはちょうど表彰式前に降り始め、スタッフは慌ててレインギヤーを羽織ったのである。

 

唯一有難かったのは、ウェイインから表彰式にかけて晴れてくれたこと。

終りよければ全てよし、といった印象を与えてくれた。

なんたって雨の中の片づけは大変だからである。

 

そんな第三戦を戦ったのは38チーム。

76名が二日間、霞ケ浦から北浦までのエリアを攻め込んだ。

 

今回も二日間、クルマで取材に回ったが、北浦、夜越川を含めた北利根川に数艇。

本湖東岸に数艇、流入河川に数艇。

本湖西浦に数艇。

あとは不明。

初日はそんな感じだった。

 

二日目は流入河川の中・上流域は激濁りでノーボート。

しかし下流の水のいいところには数艇。

あとは北利根川、本湖の各エリアに数艇といった感じだった。

渋いゲームを象徴して、10時を過ぎると各ボートが沖を走り回る光景が見られた。

 

そうした二日間を釣り切って勝ったのは袖山敦志・杉浦政則チーム。

二人とも嬉しい初優勝である。

 

インスタライブを見ればウィニングストーリーが聞けるが、要するに神様が頑張ったご褒美をこのチームに与えたと言える。

 

惜しくも準優勝に終わった橋本卓哉選手もこう語っていた。

「勝ったチームは持っていましたよ。1本でも1505g。うちらは2本でも1335g。負ける流れでした。ま、逆のこともあったし、しょうがないんじゃないですか?」

 

第一フライトの1番スタートだった袖山チームは初日。

 

スノヤハラと境島でドライブシャッドのノーシンカーで2本獲った後、西浦のブッシュでベビーファットイカのノーシンカーでビッグフィッシュ賞を獲得した魚を含めて2本獲り、トータル4750g。

 

2位で初日を終えた。

 

プラで釣った魚が小さなエビを吐き出したことに着目。

それを基準にワームをチョイスした。

リグはノーシンカー。こういう時期には定番で、釣り的にはドンピシャリでハマっていたといえよう。

 

しかし二日目は苦しんだ。

緊張でエナジードリンクしか口に入らず、おまけにお腹もピーピー。

フィジカルコンディションは最悪だった。

おまけにスタートは全チームの最後。

前述のように予報も爆風だったので、近場から釣り開始。

 

すると西浦の二カ所目のブッシュで、ファットイカのレギュラーサイズに1500gフィッシュが来た。

 

風を考慮して大き目のワームに変えたのが奏功した。

しかし「1本では勝てない」と2本目を追い求めた。

すると沖目のブッシュにファットイカを吊るしていたら待望のバイトか!

 

「やった!」

喜んだのも束の間。

魚が姿を見せた瞬間、サヨウナラ。

 

袖山選手は「これでオワタ」と肩を落としたが、橋本選手が喝破したように、勝つ流れに乗っていたので、結果的に1本でも優勝を勝ち取った。

 

コロナのおかげでボーターとしては実質2シーズン目の袖山選手、これが初優勝。

 

コロナがなければ予定通り20代で1勝の目的を果たせたが、つい先日30代に突入してしまった。

 

しかしW.B.S.にとっては若手の有望株。

「熱心な練習が実を結んだ」と周囲の評価も高い。

以前、ノンボーターで今井新選手と組んだのが袖山選手に幸運をもたらした。

その丁寧にして繊細な釣りに感銘を受け、師匠と仰ぎ今日の勝利を呼び寄せた。

そんな意味では今井選手にとっても嬉しい優勝だったと言えよう。

 

そして超ラッキーボーイといえるのがパートナーの杉浦選手。

W.B.S参戦.初年度でこれが2戦目。

それで優勝してしまったのである。

二日間、優勝に絡むドラマを経験しただけでも超貴重な体験を味わった。

 

袖山選手のお立ち台トークは、前述のとおりインスタライブで多くの人々が閲覧したが、

奥様も見ていたようだ。

 

つまり「熱い夜を過ごす」という言葉も聞かれてしまったわけだ。

それはよしとして、隣で奥様のお母さんも聞いていたらしい。

 

…………。

 

袖山選手は全選手が帰った後、片付けを終えたスタッフに挨拶に来てくれた。

その時「W.B.S.を代表する選手になる」と力強く語った。

大いに期待しようではないか。

 

袖山選手 タックルデータ

Tackle1 (ビッグフィッシュ賞)

ROD:ベイトキャスティングロッド64ML

REEL:ベイトリール

LINE:フロロ10lb

LURE::ゲーリーヤマモト ベビーファットイカ ノーシンカー

Tackle2

ROD:ベイトキャスティングロッド610M

REEL:ベイトリール

LINE:フロロ12lb

LURE:O.S.P ドライブシャッド3.5 ノーシンカー

 

 

杉浦選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:メガバス デストロイヤーF4-65x

REEL:ダイワ ジリオン

LINE:サンライン FCスナイパー12ポンド

LURE:O.S.P ドライブシャッド 4.5 バックスライド ノーシンカー

Tackle2

ROD:メガバス デストロイヤー F2 1/2-611x

REEL:ダイワ アルファスエアー

LINE:サンライン FCスナイパー8ポンド

LURE:スモラバ RAID JAPAN  EGU-DAMA3.5

 

 

準優勝は前述のとおり橋本卓哉・鯉河健一チーム。

4本ながら4855gというウェイトをマークして初日トップで折り返した。

初日のゲーム内容はプラでシェイクオフした魚を獲りに本湖東岸を牛堀まで流し2本。

園部川と西浦で1本ずつと「場所なり」の釣りを展開した。

 

ミソは鯉河選手と真逆な釣りを心がけたこと。

「ファットイカとかヤマセンコーなどのノーシンカーが定番ですが、二人で同じことをしてもしょうがないので私は真逆の釣り。つまりウェイテッドフックを装着したSSギルで釣り込みました。結果的にそれが正解でした」

と橋本選手は語っていた。

 

しかし2日目は苦戦。

とにかく3本を目標に東浦まで出張るも不発。

 

苦しんだ挙句古渡、小野川で2本のキーパーを拾うにとどまった。

「これ以外、手も足も出ませんでした」と橋本選手。

一方の鯉河選手はファィトイカ専門で、橋本選手を助けた。

 

惜しくも2位だったが

「まあしょうがないです。盛り上げられてよかったです」と橋本選手は爽やかに微笑んでいた。ファンが多いのも納得できる。

 

橋本選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:DAIWA STEEZ FURY

REEL:DAIWA STEEZ LTD SV TW 1000H

LINE:DAIWA X’LINK  14lb

LURE:O.S.P SSギル3.6+ウェイテッドフック

 

鯉河選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:Evergreen International ヘラクレス ブルーマイスター67MH

REEL:DAIWA STEEZ 103H

LINE:DAIWA X’LINK  14lb

LURE:ファットイカ グリパンチャート

 

 

3位は馬路久史・保延宏行チーム。

サードフライトだった初日、空いているところを釣るしかないと思案した結果、桜川河口に着目。

 

水は悪かったが、その中で澄んでいる流れを凝視すれば魚を発見。

流木のかたまりと岸の間のポケットに新しいパドルテールを落とせば落ちパク。

着底前に食って来たという。

これで4本。

 

しかし二日目はやはり苦戦。

第一フライトを利して初日と同じ場所に行くもそこはアマゾン川。

しかし唯一水が良かったワンドで1本。

エレキが泥をまきあげるので、場所を休ませて再度入って1本。

貴重な2本を確保して3位に入った。

 

二日間とも超シャローを攻めたので、

「ロッドよりもボートを押すポールを持っていた時間の方が長かった」

とは保延選手。

 

激渋の中で二人の丁寧なゲーム運びが奏功したと言えよう。

 

馬路選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:KEITECH カスタムロッド プロト 764F

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン アザヤカ 12lb

LURE:KEITECH パドリンビーバー3.5 5g テキサスリグ

Hook: DECOY キロフックナロー#3/0

Tackle2

ROD:KEITECH カスタムロッド 766SPG

REEL:ベイトキャスティングリール

LINE:サンライン アザヤカ14lb

LURE:パドリンビーバー 11g テキサスリグ

Hook: DECOY キロフックナロー#3/0

 

保延選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:ベイトロッド66MH

REEL:DAIWA ピクシー68

LINE:フロロ12lb

LURE:KEITECH バックスライド ノーシンカー

 

Tackle2

ROD:ベイトロッド70H

REEL:DAIWA 19タトゥーラ

LINE:フロロ14lb

LURE:KEITECH パドルテール 5gテキサスリグ

 

 

4位は二日間とも本湖のシャローと流入河川でゲーム組み立てた

赤羽修弥・清水和也チーム。

赤羽選手のテキサス、清水選手の野良ネズミ・イエロー(通称「ピカチュー」)

という合わせ技が聞いて入賞を確保した。

 

 

5位は西浦のシャローをくまなく回った蛯原英夫・宍戸佑真チーム。

キッカーフロッグjrとバスエネミーという2本立てでゲームを作った。

バスエネミーはテールをカットしてバックスライドセッティング。

エビが跳ねるイメージで使ってスプーキーなバスに口を使わせた。

 

なお二日目のビッグフィッシュ賞は

東浦のタテストで鈴木幹往・鈴木涼太チームが釣り上げた1585gが獲得した。

 

鈴木涼太選手 タックルデータ

Tackle1

ROD:DAIWA STEEZ レーシングデザイン 681M/MLFB

REEL:DAIWA STEEZ AIR TW 500XXHL ktfチューン

LINE:DAIWA モンスターブレイブ12lb

LURE:BOTTOMUP ブルスホッグベイビー3.5g ズボラリグ

 

こうして今年初の2デイトーナメントは幕を閉じた。

梅雨寒、減水、激濁りなどの悪条件が重なり、またまた渋い試合になってしまったが、

見どころは少なくなかった。

 

そんな中で懸命に闘い抜いた各チームには敬意を表したい。

今回、入賞チーム全員で写真を撮らせてもらったが、次は貴方が撮られる番である。

7月に会いましょう。

 

レポート・大和小平

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