キターッ!! 「東岸の仕事人」オダジー!!
小田島悟・堀越真務チーム
5680g引っ提げ、勝利の雄叫び!
2015W.B.S.プロトーナメントシリーズ第一戦レポート
アメリカでは
B.A.S.S.エリートシリーズの Big G=ガンターズビル戦で
スキート・リースが大逆転勝利をおさめ、
オーガスタナショナルで行われたマスターズでは
ジョーダン・スピースが記録づくめの勝利を遂げた4月12日、
W.B.S.の第一戦が北浦を起点に行われ、
小田島悟・堀越真務チームが優勝!
他のチームも奮戦し、
世界レベルのイベントに負けない、
熱い戦いが繰り広げられたのだった。
4月はイマイチ訳のわからない季節だ。
ポカポカ陽気の日もあれば、
極寒に凍えることもある。
今日は半袖、昨日はダウン……
「春に三日の晴れなし」というように、
コロコロ変わる天気が4月の特徴だ。
それは分かってはいる。
分かってはいるが、あまりにもドラスティックな変化は
人間どころか魚も迷わせる。
シーズナルな動きが狂うからである。
ただでさえ難解な4月の釣り。
4月12日に幕を開けたW.B.S.プロトーナメント第一戦は、
超が付くほど難しい試合となった。
第一の要因は急激な気温の下降。
4月に入って気温20℃オーバーの春を満喫していた人々は
4月8日の時ならぬ雪に戸惑った。
気温はなんと3℃!
ちなみに私はその日、ロケでした。
自分の商売を呪いました。
話は戻って、当然、霞ケ浦水系の水温も下がった。
水温は気温ほど劇的に上下しないが、
例えば試合当日の矢幡ワンドでは9℃と、10℃を切った。
12℃から13℃だったものがそこまで下がると、
影響は小さくない。
8日の寒さは続く9日、10日も続いた。
そして11日もうすら寒い日だった。
試合当日だけ晴れたが、東系の風が冷たかった。
プラクティス期間中は大風も吹いた。
潮来マリーナのスロープ使用が躊躇されるほど。
前日にここから出て行ったのは1チームだけだった。
そんなこんなで思うように練習できない状況は選手たちを悩ませたのである。
第二の要因は産卵前の微妙な時期ということ。
そもそもこの時期、魚は妙に神経質になる。
産卵直前のバシャバシャやっている時でも、
ルアーには見向きもしないことが多い。
そんな魚が急激な冷え込みに際して、
スローになるのは当然すぎるほど当然である。
魚はいるけど喰わないという、実に苛立つ季節なのである。
そして4月の試合の最大の難しさは、
開幕戦であるということ。
誰もが10月最終戦の栄光を夢見て、
幸先の良いスタートを切ろうとするから、余計に緊張する。
勝ちたいが勝負に出て外したくもない。
そんな中途半端な態度が、
スタートコールを待つ時でさえ、
行く場所が決められない優柔不断さにつながるのである。
今年は多くのルーキーが参加してくれた。
B枠N枠…それぞれだが、
誰もが少なからず緊張していたようだ。
同時に、プロトーナメントのカッコよさにシビれていた。
戦うことにピュアに感動していたのである。
競い合うステージに立つと、バスフィッシングはまったく別の様相を呈する。
気楽なオカッパリとはワケが違う。
だからこの試合は、
彼らの人生にとって、忘れられない一コマとなったことだろう。
誰でも最初はそこから始まるのだ。
さて、そんな第一戦だったが、
結果をみてもわかるように、
ウルトラ過酷な試合だった。
上位2チームが5kg超えだったために、
一見、釣れているような印象を受けるが、
32チーム中ゼロ帰着が8チーム、
一本が10チーム、
リミットメイクが4チームという結果を見ても、
非常にタフな試合だったことがわかる。
総釣果は53本。
チームあたり2本に届かない。
まあ、4月の試合は常にそうだ。
昨年も優勝・準優勝が6kg超えで派手なゲームだった印象があるが、
下位は悲惨な結果だった。
一昨年の4月の試合は中止になったが、
2012年の初戦は4月8日に行われ、
小野光一・高橋和也チームの優勝ウェイトが4130gだったことをみてもわかるように、
スローな展開になることは間違いのないことだった。
だから今回、上位を占めたのはラン&ガンでポンポン要所を撃って行くより、
同じスポットで粘って、賢く魚をだましたチームだった。
上位チームの分布は
霞が浦本湖・麻生、玉造
妙義水道吐出し、
北浦上流、
北利根川下流、
霞が浦東浦、
と実にバラエティーに富んだ。
一位二位三位は、プラで決めたワンプランを実直に進めた。
その決め打ちが奏功した。
しかし、なまじ選択肢があったために、苦しんだチームもあった。
6位入賞の草深幸範・猿橋朋浩チームはその典型。
昨年の第一戦、ハイウェイトで準優勝した草深選手は、
そのイメージを持って今年もプラに入った。
ところが8日の雪で状況激変に驚く。
寒くなると普通は元気なビッグバスが口を使うのに、
今年はそれがない。
そして小さなバスさえ口を使わない。
その結果、スローな釣りに専念する計画を立てたが、
現在の関東で猛威を奮っているルドラ、ヴァルナの
ウィンディーサイド攻めも捨てがたい。
ビッグバスが期待できるからだ。
したがって北浦上流で揃えて、ビッグミノーでサイズアップする作戦に決定。
スタートしてから鹿行大橋までの要所を、
ドライブクローラーのネコリグでスローに攻め、3本ゲット。
そこで風が吹いてきたため、我慢できずに外浪逆浦に移動。
ヴァルナで一本獲ったが狙い通りのサイズではない。
結局4本で帰着。
北浦では、
同じようなエリアで同じような釣りをしていた大藪チームが5本持ってきたのを知って
「あそこで粘っていれば」とホゾをかんでもアフター・フェスティバル(後の祭り)。
しかし、これが勝負の綾というものである。
ちなみに初参加の猿橋選手は第一投で釣ったそうだ。
5位の麻生洋樹・保延宏行チームも
一か所粘りの釣りではなかった。
このチームのプランを決定したのも8日のみぞれ。
それによる増水、クリヤー化した水を基準に、
それでも差してこない魚に注目して
岸手前のタテスト、ブレイクをフラットサイドなどで攻める釣りにフォーカスオン。
東浦・玉里で2本獲ったが、
玉造、麻生に移動して北利根へ。
北浦に帰ってお茶を濁すより北利根勝負とハラをくくった。
鉄骨周りで保延選手が1800gフィッシュを釣り上げ、
3本ながら3440gという数字を作ってきた。
その北利根で1時間半でリミットを達成したのが4位入賞の
鈴木将之・渡部博昭チーム。
プラで好感触を得た牛堀下流の葦~ブレイクまでを
ダウンショットでスローにスローに、さらスローに引いてくる釣りで、
怒涛のラッシュ。
渡部選手のフリックシェイクも冴えてビッグワンも混じり、
5本4310gを確保した。
ボーター3年目の鈴木選手は一時「こども船長」などと揶揄されていたが、
これからは「センターフィールドの星」と呼ぶべきだろう。
ということは渡部選手は「ホワイトバスの太陽」か?
さて、ここからベスト3の紹介になるが、
前述のようにいずれもプラから本戦にスムースに流れ、
結果に結びつけたチームだ。
3位入賞の大藪厳太郎・平野高志チームは
プラで北浦上流、北利根のブレイクの2パターンを用意。
「つぶしてもいいから」と北利根をチェックしたが、
感触が悪かったので北浦一本勝負に決定。
草深チームの項で述べたが、
一日、北浦上流部を徹底的に釣り込んだ。
狙いは急激な冷え込みで差し戻した魚が溜まるであろう
4メートルから2メートルに落ちる浚渫の壁。
スピニングを駆使したネコリグを
ボトムを切らないように極めてスローに引いて止めて待って
二人で7本のキーパーをゲットした。
プラで確保した手がかりを大切に育てて試合で結実させたナイスゲームだった。
北利根を除外したことが入賞の布石となった。
タラレバだが、北利根に可能性があれば、
北浦粘りもなかっただろう。
平野選手の働きも大きかった。
準優勝の長岡正孝・平間太チームも、
入念なプラを結果に結びつけた。
とくにパートナーの平間選手は前日、
クルマで北浦一周、そして霞ケ浦もチェック。
ミノーパターンを発見した。
そこで試合当日、妙義水道の吐出しから100メートルほどのストレッチで
長岡選手がメガバス・ビジョン110、
平間選手がソウルシャッドを引きまくり、
風が吹き始めたタイミングでラッシュ到来。
ほぼ1時間でバタバタッとトータル5kgアップの魚をライブウェルに納めてしまった。
風、波で魚の活性が上がったら迷わずミノーという作戦が、
10時ごろに吹き始めたタイミングでジャストにハマったみごとな入賞だった。
「チーム下妻」の平間選手の功績も小さくない。
そして優勝はこれもプラで確信を持ったプランを突き進めた小田島悟・堀越真務チーム。
このチームも8日のみぞれによる水温低下で北浦を除外。
北利根、常陸利根川もカンタンには釣れない。
霞が浦本湖東岸の石積みをチェックすれば10℃台でも食ってきたので、
水温低下も問題なしとそっちのプランに決定。
麻生、玉造のディープ隣接の石積みを丁寧に攻めた・
ネタはダブルモーション3.6のテキサスリグ。
とくにアクションは付けず、バイトも明確には出ないので、
「ン?」と聞いてみるアワセ方。
ソリッドティップの喰い込みの良さが奏功したようだ。
「こういう石攻めは初めてなんですが、プラで決めたことを忠実に行おうと決めました」
と小田島選手。
5680gというウェイトを見ると派手だが、
釣ったのは5本ジャストである。
ということは、7時間ほどで5本ということで、
ひたすら丁寧に丁寧に撃って待つ時間が過ぎていったことがわかる。
春の試合らしく、我慢に我慢を重ねた結果の5kgオーバーといえよう。
小田島選手は一見「イケイケ」なようだが、
意外とこうした丁寧で静かな釣りが身上である。
まさに「仕事人」という形容が相応しい。
パートナーの堀越選手は初出場初優勝。
シンデレラボーイである。
こうして難解を極めた初戦が終わった。
ビッグネームが揃って討ち死にするという波乱もあったが、
それも勝負の綾がなせること。
ちょっとしたタイミングのズレだけで噛み合わない試合になってしまう。
だから春は恐ろしい。
その点、「これ」と決めた釣りを押し通したチームが
今回の上位を占めた。
その健闘には心から称賛を送りたい。
ちなみにビッグフィッシュ賞を獲得したのは
盛隆弘・堀口勝チームの1890g。
爪木の乱杭で
ハゼドンのダウンショットに来たものである。
他にも1800gフッィシュは何本か出た。
まさに春らしい試合だった。
この先スリーデイズを含んでクラシックまで5戦。
それぞれにシーズナルなゲームが繰り広げられるだろう。
ますます楽しみである。
(レポート 大和小平)
小田島選手TackeData
Tackel1
ROD:Evergreenヘラクレス ファクト HFAC-67MHST
REEL:Daiwa リベルトピクシー
LURE:Evergreen ダブルモーション 3.6in グリパンブルーラメ
LINE:Evergreen バスザイルR 14lb
RIG:テキサスリグ3.5g
・メインエリア
麻生、玉造
・今回のキモ
ディープ隣接の石積みエリア
堀越選手TackleData
Tackel1
ROD:Daiwa スティーズ ブラックジャック
REEL:Daiwa SSエアー
LURE:レッグワーム
LINE:Daiwa フィネスブレイブ
RIG:ダウンショット
Tackle2
ROD:Daiwa スティーズ ハリヤーSFスペック
REEL:Daiwa T3エアー
LURE:O.S.P. ドライブクローラー
LINE:Daiwa フィネスブレイブ
RIG:ネコリグ
Tackle3
ROD:Daiwa スティーズ ライトニングⅡ
REEL:Daiwa T3エアー
LURE:Dシャッド
LINE:Daiwa フィネスブレイブ
長岡選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass Orochi F41/2 68XX ジャークベイトスペシャル
REEL:Daiwa ステイーズ SV103H
LURE:Megabass ビジョン110
LINE:Megabass ドラゴンコール マイルドフロロ12lb
・メインエリア
境島周辺
・今回のキモ
風の当たるエリア
平間選手TackleData
Tackle1
ROD:ポイズン アドレナ66l
REEL:ベイトリール
LURE:ソウルシャッド62
LINE:サンライン FCスナイパー10lb
大藪選手TackleData
Tackle1
ROD:Evergreen KALEIDO デジーノ S-1
REEL:スピニング
LURE:IMAKATSUエリートクロー
LINE:東レ エクスレッド 3.5lb
RIG:ダウンショット
Tackle2
ROD: Evergreen KALEIDOインスピラーレ Black Briar
REEL:ベイトリール
LURE:IMAKATSUイールクローラー 5.5
LINE:東レ エクスレッド 8lb
RIG:ネコリグ
・メインエリア
北浦上流
・Slow and Stay
平野選手TackleData
Tackle1
ROD:Tenryu マグナインパクト ヘルティック610XL
REEL:スピニング
LURE:IMAKATSU セクシーアンクル 4 グリパン
LINE:テンリュウ ラインF 4lb
RIG:ダウンショット1.8g
盛選手TackleData
Tackle1
ROD:Megabass Orochi X4 F3-68×4
REEL:ダイワ
LURE:Megabass ハゼドンシャッド 3
LINE:サンライン FCスナイパー10lb
RIG:ダウンショット
・メインエリア
爪木、沖堤
・今回のキモ
Megabass ワーム