WBSプロ第1戦レポート


West wind brought them victory
勝利をもたらした
「西風」の解釈

激渋の初戦を制したのは
松村寛・Dora チーム!

2019 WBSプロトーナメント1st レポート

飛躍的にAプロのエントリーが増えて、
一気に活況を呈した2019年のW.B.S.。
初戦は32チームが出場して、
スタートダッシュに燃えたが、
コンディションはサイヤクだった。
だが、そんな中でも上位入賞者は
それぞれの創意と工夫で、
なんとか魚を絞り出し、
激渋の戦いを凌いだのだった。

3月中旬は暖かい日が続いた関東地方だったが、皮肉なことに試合が近づくにつれて寒くなってきた。
いわゆる寒の戻りというやつだが、前日の土曜日には霙が降ったほどだった。

試合当日も未明はマイナス。
集合時間の5時にやっとプラスに転じたほどだった。
まだ風は吹いていなかったが、この時点で超寒い一日が予想された。

一般に3月は気温と比較して水温は低い。
例えば12月の気温が12℃なら水温も13℃ぐらいあるが、3月は気温が12℃でも水温は10℃そこそこだ。
これは下がり途中の12月に対し、3月はまだ上り途中だからだ。
だからポカポカ陽気の3月でも、水温はまだ冬のことが多い。

しかし今年はその定説も当てはまらないほど、気温も寒かった。
従って上がり途中の水温は逆に下がってしまったのである。
これでは魚の活性は上がるはずがない。
一気に状況は悪くなってしまった。

おまけに8時頃から西からの強風、いや爆風が吹き始めた。
しかも冷たい風だ。
強烈に寒い。
体感温度は激低下。
根底からモチベーションを下げる寒さだった。

これでは釣るのは難しい。
実際、結果も悲惨なものになってしまった。
16チームがゼロ帰着するという事態を招いてしまったのである。
ちなみに2018年の初戦は30チーム中11チームがゼロ帰着だった。

釣れない時期とはいえ、これはかなりレアな結果だ。
リミットメイクは当然ゼロ。
1本が9チーム、2本が6チーム、3本が1チームという厳しいものだった。

逆にいえば、そんな超厳しい中で釣って来たチームはそれだけ立派だったといえよう。
参加全チームの中で、一番釣って来たチームが優勝するのがトーナメントだからだ。
それは、釣れる時期でも釣れない時期でも同じことである。

全チーム、この釣れない状況をなんとかしようと奮戦したと思われるが、結果を出したチームが称えられるのが勝負の世界である。

そんな意味では、優勝の松村・Doraチームの戦いも限りなく評価されてしかるべきだろう。


試合前に松村選手が把握した状況は
「オカッパリではよく釣れる」
ということだった。
キーは風が当たるハードボトム。
だからそういったスポットを試合で釣りたいと考えた松村選手はボートで実際に釣りをして
エレキを酷使すればなんとか釣れるという感触を得た。

そして試合前、風の予報を確認した松村選手の目に飛び込んできた文字は「西」!
「西」!?
想定外の風向きに戸惑った松村選手だが、数日間、霞ケ浦の地図とにらめっこ。
そしてある事実に気が付いた。

「西風が当たるハードボトム? ん? 土浦周辺じゃん!」

作戦が決まった松村チームはスタート直後、そこに向かった。
そしてうっすらと石が見えるようなシャローでハイピッチャーをゆっくり引けば、朝一に一本釣れたのだ。
「やった! やっぱりプランは合っていた」
小躍りしたが、後が続かない。
なんたって水温10℃の霞ケ浦だ。
簡単に釣れる方が不思議だ。

そこで少し移動したスポットの木ジャカでテキサスリグを落とせば1400gが!
時間を置いて朝一のスポットに戻り、スピナーベイトを同じようにテロテロ引けば3本目が釣れた。

これでトータル2935g。
前述のように各チームのた打ち回っていたので、これが優勝スコアとなった。
ロースコアだが恥じることはない。
暑さや強風など、コンディションが悪いマラソンでは優勝タイムは悪くなる。
だが、そこで一番にゴールを切ることができれば優勝なのだ。
松村・Doraチームの優勝はそれと同じである。

キモはスピナーベイトのセッティング。
浅いレンジをゆっくり引くために、ハイピッチャーの1/4をチョイス。
そしてトレーラーフックにHPミノーをセットするという裏技が冴えた。
水の抵抗を増して弱波動のルアーをアピールする。
その動きにスローな春バスが口を使ったのだ。
ゆっくり引くことがキモだった。
そのためのトレーラーフックとトレーラーが勝因といっていだろう。

激渋の試合において、キラリと光ったクレバーセティングといえよう。
やるなー、松村チーム。

Tackle data
松村寛
Tackle1
Rod: スミス ツアラーVスペック70H
REEL: DAIWA アルファスSV
LINE: ラインシステム マーク1 14lb
LURE: OSP ドライブビーバー4
RIG:10gテキサス(ビフテキ)

Tackle2
Rod: DAIWA ブラックレーベル 661 MRB
REEL: DAIWA アルファスSV
LINE: ラインシステム マーク1 14lb
LURE: OSP ハイピッチャー1/4 ビビッドパールホワイト+TNトレーラー&HPミノー

Dora
Tackle1
ROD:Dyunamis 602 L- AS
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: 東レ エクスレッド10lb
LURE: 霞Design DO-NO shad

Tackle2
ROD: Dyunamis 510L-AS
REEL: スピニングリール
LINE: 4lb
LURE: 霞Design クビレシャッド

Tackle3
ROD: エバーグリーン HERACLES force grandis
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: 東レ エクスレッド14b
LURE: O.S.P ハイピッチャー

準優勝はプラで好感触を得た花室川から2本のナイスサイズを持ち込んだ小田島悟・田口晃チーム。
当初は上流でゲームを進めたが音なし。
そこで下流に下り、ボウワームのネコリグを使ってみればストンと釣れた。
すぐにセカンドバイトがあったがスッポ抜け。
気分はサゲサゲになったが、めげずにネコリグを投げていれば2本目が来た。
キーはネイルシンカーの重さ。
軽めが効果的と感じたので1.8gから1/32に落としたことで食ってきたという。
昨年の初戦はデコだったが、今年は2位に入れて上出来、と小田島選手は語っていた。


小田島悟
Tackle1
ROD:エバーグリーンインターナショナル ヘラクレス FACT 66 MST
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE:エバーグリーンインターナショナル バスザイルR 8lb
LURE: エバーグリーンインターナショナル ボウワーム5 ヌマエビカラー
RIG:1/32ネコリグ

田口晃
Tackle1
ROD: DAIWA スティーズ スカイレイ パワープラス
REEL: DAIWA SS Air
LINE: サンライン BMS AZAYAKA 10lb
LURE: O.S.P ドライブクローラー 4.5
RIG:ネコリグ

三位は「回り方を失敗した」と悔やんでいた橋本卓哉・中川雅裕チーム。
巻きが効かない展開に不安を覚えて臨んだこの試合だったが、案の定、魚の動きが不確定で手探り状態に。
それでも古渡でドライブビーバーのテキサスでボトムを叩けば最初の魚が。
東浦に移動して岩盤系を回ればパートナーのシャッドにナイスフィッシュ!
見えている岩から1.5mディープで食ってきたという。
その後、土浦周辺に戻って来たが、ノー感じ。
そのタイムロスが悔やまれるという。
それでも3位。
まずまずというべきだろう。

橋本卓哉
Tackle1
ROD: DAIWA  BLX SG 681MH/MFB
REEL: DAIWA STEEZ CT
LINE: DAIWA スティーズフロロ 14lb
LURE: O.S.P ドライブビーバー 4
RIG:テキサスリグ

中川雅裕
Tackle1
ROD: ベイトキャスティングロッド
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE: 10lb
LURE: エバーグリーンインターナショナル CCプレデター

4位は北浦までロングランをかました長岡正孝・日向寺護チーム。
潮来マリーナ周辺の石積でメガバス・アイバイアイシャッド・タイプRが炸裂。
2本の貴重な魚を北浦から持ち帰った。

長岡正孝
Tackle1
ROD:DESTROYER F3-610X(飛燕)
REEL:SS-AIR8.1R(シャッドチューン)
LINE:FLUORO8lb
LURE:Megabass I×I SHAD TIPE-R

日向寺 護
Tackle1
ROD:ベイトロッド シマノ168l
REEL:ベイトリール
LINE:10lb
LURE: メガバスi×iシャッド ジャッカル Dビルシャッド 等
RIG:シャッド

5位は午後1時過ぎまで麻生のジャカゴのインサイドで粘りまくった藤原勝己・桂裕貴チーム。
シャッドとテキサスを使い分けて2本の魚を確保した。

ビッグフィッシュは12時過ぎに桜川に入って、下流の橋脚を執拗に攻めた香取潤一・阿部寿徳チーム。チピエスケープツインが一度離れた魚をもう一度食わせたという。


Tackle1
ROD: ノリーズ ロードランナー ストラクチャー ST 650M
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE:フロロ12lb
LURE: ノリーズ チビエスケープツイン
RIG:1/4フットボールジグ

こうして厳しかった3月の第1戦が終わった。
続く第2戦は4月後半。
北浦スタートなのでまた違ったタイプのゲームになることが予想されるが、それはそれで楽しみである。

 

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