WBSプロ第3戦レポート


寒かった二日間!
でもゲームは熱かった!

庄内靖・阿部寿徳チーム、
唯一の10kgオーバーで爆勝!

2019 WBSプロトーナメント3rd レポート

まあ、どんな試合でもファイナルウェイインで勝者が決まる時、
何がしかの感動を覚えるのものだが、
今回の試合ほど爽やかな感動を味わったことはない。
それは……一時W.B.S.を休会していた男が、
Bプロから復活してAプロに戻り、
地道な努力に花を咲かせて勝利を勝ち取ったからだろう。
人知れず努力を重ね、口数も少なくパフォーマンスも地味だが、

したたかなプランを組み立てて迷わずそれを実行した。
そんな朴訥な生き方に共感を覚えないわけにはいかなかった。

優勝チームのボーター、庄内靖プロはW.B.S.にBプロとして再入会する前に、1年間スタッフとして活動した。その必要はなかったが、順序としてスタッフからという姿勢には頭が下がる。
そしてイベントの度に遠く沼津から駆け付けたのである。

そんな庄内プロが今年Aプロデビューして3試合目に勝つという離れ業を演じた。
とくに初日、5825gというウェイトを持ち込んだ時は誰もが口をあんぐり開けて驚いた。

しかし、二日目に4780gをマークし、圧巻の10kg超えで優勝に輝き、お立ち台でコメントを語った時、周りの全員が「勝つべくして勝った」と納得したのだった。以後、誰も彼を「ショー坊」などと呼ばなくなった。「ショー様」に変わった。

それでは初日の状況から振り返ってみよう。

未明から霧雨が降り続いていた6月8日。
風はないがとても寒い。
5月に30℃を超えた関東地方だが、6月7日から雨が降り出し、急に寒くなった。

霧雨は昼ごろには雨になった。
そして風も吹いてきた。
よけいに寒くなった。
これでは食いも渋るだろう。


37チームと2デイにしては多くの参加者を数えたが、この寒さではほとんどのチームが苦戦するだろうと思われた。

しかし、帰着が始まってみると、次々とナイスウェイトが持ち込まれた。
寒さの影響はこの日はそれほど深刻ではなかったようだ。

前述のように庄内・阿部チームが5825gを持ち込んだほか、5kg超えが5チーム、4kg台が9チームも出たのである。




つまり4kg以上が14チーム居並んだことになる。
ちなみにリミットメイクは12チームだった。
これは釣れているといっていいだろう。
やっぱり6月は釣れるのか!?

しかし翌9日は寒さの影響がモロに出てしまった。


初日以上に冷たい風が朝から吹きまくったのである。
気温は16℃。
5月に30℃を超えたことが嘘のようだ。
水温は20℃を切ってしまった。

これではスローにならざるを得ない。
結果もそれを物語っていた。


リミットメイクが5チームに減ってしまい、
4kg以上も6チームしか居なくなってしまったのである。

しかし、だからこそ2日間フルリミットを達成したチームは立派だといえよう。
わずか3チームがその仕事を成し遂げた。

もちろん、優勝チームもその中にいる。

庄内・阿部チームはたくさんのボートがひしめいていたプラの状況から、本湖はキツイと読み、プレッシャーが比較的少ない流入河川に活路を見つけた。
具体的には桜川、清明川、古渡の水路である。

「ただし、魚がいる場所は限られていました。例えば清明川では堰の下あたり、そのブッシュではなく手前にポストの魚が多くいました。それらの魚を狙うことにしました」

庄内選手は冷静にそうプランを立てた。
そしてフリーリグとリーダーレスダウンショットを阿部選手と使い分け、初日は清明川で8本、水路で2本獲るという快調な滑り出しを見せた。

「庄内さんは釣堀のように簡単に釣っていました」
とパートナーの阿部選手は語っていた。

二人ともフリーリグがメインだったが、シンカーの重さを変えるなど、細かい芸を駆使して互いを助けた。

ルーキーがトップで初日を折り返す……
普通ならテンパるところだ。
ベテランでも「勝てる」と思うと身体がいつものように動かないが、このチームは冷静だった。

二日目はサード・フライト。
清明川も水路も行ってみれば先行者ありだった。
だが初日に水路の河口部分で釣れたことがヒントになり、清明川の下流域を丁寧に釣ってみれば3本の魚が獲れた。しかし残り時間は1時間。

考え抜いて水路に行き、2本の魚をライブウェルにこじ入れた。
そして余裕をみて帰着。
ラストのトレーラーウェイインで、優勝をもぎ取るというシーンを演じて見せてくれたのである。

庄内選手は前述のように出戻りプロ。
ノンボーターでは本山選手と組んで優勝したことがあるが、ボーターでは2位が最高である。
それがAに復帰して3戦目で優勝したのである。

でもこれは不思議でもなんでもない。
阿部選手とプラに励み、綿密にプランを練り、狙いのストレッチで粘り抜いた結果である。

パートナーの阿部選手も只者ではない。
これでBプロとして優勝から5位まで、すべて経験するというBプロのグランドスラムを達成した。

試合後、阿部選手はこう語っていた。

「ボーターの庄内プロとは長年連れ添った家族のように相性抜群でした。今回の試合で魚を見つけているエリアの数は少なかったですが、刻々と変化する状況を読み続けることで釣れるべき場所を見つけ釣ることができました。本当のバスフィッシングはここにありと思える最高の二日間でした。ありがとうございます」

実に爽やかではないか!
優勝チームに心からオメデトウと申し上げたい。

Winner’s Tackle
庄内靖
Tackle1
ロッド:フィッシングショップ オンリーワン カスタムロッド(MH)
リース:ダイワ タトゥーラSV TW 7.3R
ライン:東レ エクスレッド14lb
ルアー:OSP ドライブビーバー3.5inchi
リグ:フリーリグ(5g)

Tackle2
ロッド:フィッシングショップ オンリーワン カスタムロッド(MH)
リース:ダイワ SV LIGHT LTD 8.1R-TN
ライン:東レ エクスレッド12lb
ルアー:OSP ドライブビーバー3.5inchi
リグ:リーダーレスダウンショット(5g)

阿部寿徳
Tackle 1
ROD: STEEZ 721MH/HXB-SV 【STRIKE FORCE (ストライクホース)】
REEL: スティーズ SV TW 1012SV-XHL(RSC80カーボンハンドル)
LINE サンライン シューター・FC スナイパー 18lb
LURE: ルアー O.S.P DoLive Beaver 4in
RIG: リグ フリーリグ1/4oz

Tackle 2
ROD: STEEZ SC 661M/MLFB-SV【WEREWOLF(ウェアウルフ)[Shore Competitionモデル]】
REEL: スティーズ SV TW 1012SV-XHL(RSC80カーボンハンドル)
LINE: サンライン シューター・FC スナイパー 12lb
LURE: Daiwa NEKO FAT 5in
RIG:リグ ネコリグ

Tackle 3
ROD: STEEZ 701MHFB-SV【FLANKER(フランカー)】
REEL: スティーズ SV TW 1012SV-XHL(RSC80カーボンハンドル)
LINE: サンライン シューター・FC スナイパー 16lb
LURE O.S.P Dolive Stick FAT 4.5in
RIG バックスライド

準優勝は二日間とも北浦に走り、
蔵川ワンドや神宮橋周辺で好調に釣果を重ねた長岡正孝・柏木健作チーム。
長岡選手は「この時期の定番」というオマタスティックのノーシンカーを駆使して順調にキーパーを重ね、柏木選手は過去にミスして悔しい経験をしたポッパーを練習して、実戦に投入。
神宮橋周辺で荒食いさせた。
もう少しで10kgに届くかというスコアだが、フルリミットの9590gは立派である。

Tackle data
長岡選手
Tackle 1
ROD:メガバス デストロイヤー カーボンヘッドモデル F4-66X
REEl:ダイワ SS-AIR8.1R
LINE:フロロカーボン10lb
LURE:霞デザインオフィス ハイパーオマタソフト3inch (ブラック)
RIG:バックスライドノーシンカー

Tackle 2
ROD:メガバス デストロイヤー カーボンヘッドモデル F4-63X
REEL:ダイワ スティーズリミテッド8.1
LINE:フロロカーボン10lb
LURE:霞デザインオフィス ハイパーオマタソフト3inch (ミソゴリ)
RIG:バックスライドノーシンカー

Tackle 3
ROD:メガバス デストロイヤー カーボンヘッドモデル F2-60X
REEL:ダイワ SS-AIR8.1R
LINE:フロロカーボン10lb
LURE:ストレートワーム
RIG:ベイトネコ3/64oz

柏木選手
Tackle 1
ROD: Evergreen international FACT HFAC-511MHST
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE:フロロカーボン16lb
LURE:POP X(メガバス) ラウダー(O.S.P)

Tackle 2
ROD: Evergreen international FACT HFAC-65M
REEL:ベイトキャスティングリール
LINE:フロロカーボン14lb
LURE:ブリッツMR(O.S.P)

 

3位はウェルカムバックの成田紀明・富井健太チーム。
本湖全域を走り回ったが、北利根川、夜越川に活路を見い出し、10タックルを総動員して、あらゆるリグを使って魚に口を使わせた。

ここぞと思うストレッチでは10往復も辞せず、マッドラインの境目を攻め抜いた。
「内容が濃い試合でした。やっぱり試合のドキドキ感はたまらないですね」と成田選手は往年の興奮を蘇らせていた。

成田選手
Tackle 1
ROD: ABU ファンタジスタ レジスタ FC66MMH
REEL: ABU REVO SLC IB8
LINE:フロロカーボン12lb
LURE:バークレー ワイドシュリンプ3+チェリー4g

Tackle 2
ROD: ABU ファンタジスタ レジスタ FC66MMH
REEL: ABU REVO SLC IB8
LINE:フロロカーボン12lb
LURE:DEX フットボールジグ5g+パワーホグ3インチ

Tackle 3
ROD: ABU ファンタジスタ レジスタ FC64ML
REEL: ABU REVO SLC IB8
LINE:フロロカーボン8lb
LURE:ゲーリー カットテール5・3/4 3/64
RIG: ネコリグ

富井選手
Tackle 1
ROD: ABU ファンタジスタ レジスタ FNC-66MMH
REEL: ABU LTX
LINE:フロロマイスター12lb
LURE:ドライブビーバー 3インチ (O.S.P)
RIG:リーダーレスダウンショット

Tackle 2
ROD: ABU ファンタジスタ ディーズ FNC-60LS
REEL: ABU LTX
LINE:バリバス ガノア アブソリュート 8lb
LURE:3Dワッキー(O.S.P)
RIG: ネコリグ

 

4位は二日間、北利根川、常陸利根川、夜越川をメインにキャリラバを炸裂させた平本直仁・田口晃チーム。
シャローでやり切ることを決意して、回復系にフォーカスして釣り込んだが、田口劇場のおかげもあってフルリミットメイク。お立ち台を確保した。

そして5位は渡邊尚明・日向寺護チーム。
花室川でケイテック、フレックスチャンクを炸裂させて初日は5kg超え。
二日目はやや苦しんだが、4本確保してお立ち台に上った。

ちなみに初日のビッグフィッシュ賞は山本寧・川田宗一郎チームの東岸のアシで野良ねずみに食ってきた1560gが獲得。

山本選手 Tackle data
ROD:ROADRUNNER STRUCTURE” ST680MLS-ULFt
REEL:DAIWA イグニス 2500
LINE:Nogales デッド-オア-アライブ ウルトラパワーフィネス PE X8 1.2号
(リーダーVARIVASハードトップ Ti-NICKS)
LURE:野良ねずみ

二日目はベクサスでドシャローをバズで攻め、58cm、1900gを獲った村川勇介・千藤顕チームが獲得した。


村川選手 Tackle data
ROD: エンジン スペルバウンド 608FM2
REEL: ベイトキャスティングリール
LINE: Duel T7 14lb
LURE: バズベイト

こうして元エリートプロのケビン・ショート氏が参加するなど、話題に溢れた第3戦も無事に終わった。

年間ランキングはドラスティックな変動があったと思われるが、近日中の発表を待ちながら、1か月後に迫った第4戦の準備に入りたい。

レポート・大和小平

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