アッチッチー! の第4戦
赤羽修弥・内海昭チーム、
灼熱の北浦戦をクールに釣り勝つ!
暑いと何回言っても涼しくはならない。だが気がついてみれば「暑い」といってしまう日本の夏。時には「クソ暑い」と育ちに似合わぬ言の葉が出てしまうのも、暑さが尋常ではないから。
梅雨明けも宣言されていないのに、連日猛暑が続く今年の7月。
W.B.S.第四戦は31チーム62名が参加して9日に行われた。
プラの時点から暑さによるスローゲームが危惧されており、あまり景気のいい話は聞けなかった。第三戦の大減水と同じような難解なコンディションが用意されたのである。
フタを開けても朝から気温は25℃。次第に気温は上昇し、いつの間にか30℃オーバー。しかも風もない。当然、北浦はやはり30℃オーバーのお湯。
これでは釣り以前に、人間の身体が心配になる。事実、W.B.S.のトーナメントディレクターはいきなり熱中症。恐らく選手の中にも同じような症状に見舞われた人がいるだろう。
魚も大変である。しかしそこはベテラン揃いのW.B.S.。デッドフィッシュはわずか1本だけだった。
午後になると少し風が吹き始め、釣りやすい状況が垣間見られた。だが、いずれにせよイージーなゲームは不可能な環境は変わらなかった。魚の居場所は松居一代同様、特定不可能だったのである。
選手の分布を見ているとスタート後のレフトターン組は意外に少なかった。すぐに桟橋に戻る奇襲作戦を実行するチームもいたが、結果論としてそこは午後の狙い目だったのである。多くのチームを擁したのは外浪逆浦、常陸利根川、そして北利根川だった。
この日は6時に水門が開くとの情報。高水温ではカレントがキーの一つになるだけに、多くのチームが水の流れを待ったが、待っても待ってもマッタリで、肩透かし。
結局水門が開かれることはなく、当てが外れたチームも多かった。
一体、何のための発表か!?
というわけで、日陰がまったくないフィールドでは各チームの懸命な闘いが繰り広げられていたのである。
そんな中で4950gという破格なウェイトをマークして優勝を飾ったのは赤羽修弥・内海昭チーム。
北利根川、外浪逆浦、鰐川そして北浦でプラを行い、これらのエリアを状況に応じて釣り分けようというプランを立案。その言葉通りの釣りを繰り広げて本人いわく「想定外」の数字を作り出した。
キーとなったのは北利根川、鰐川の硬いストラクチャーや杭+マンメイドストラクチャー。こうしたスポットに5gまたは7gのダウンショットを絡めてクォリティーな魚を重ねていった。
「キモはタックルバランス」と赤羽選手がいうように、最新のタックルを投入した成果が出たともいえよう。
というのは、いずれにせよ水温30℃は魚にとってベストとはいえなく、それゆえバイトもディープなものではなかった。事実、ミスバイトに泣いたチームが多かったのである。つまり、微かなバイトも感じ取れるタックルの感度、掛けた魚を逃さないラインの信頼性などが問われたのだ。
タックルデータにもあるように、赤羽選手は軽くて感度がいいロッド、軽いリグを気持ちよく投げられる立ち上がりのいいリール、エビ食いのバスにマッチするプロトのワーム、刺さりのいいフック。巻かれても耐えてくれるラインなど、最新のタックルのポテンシャルを駆使して成績に結びつけた。
勝利は同選手の実力がもたらしたものに間違いはないが、完璧にシステムされたタックルも一役を担ったのである。
パートナーの内海選手の活躍も見逃せない。事実、チーム最大の1300gフィッシュは同選手が釣り上げたものである。
内海選手は今季2勝目! POY争いも面白くなってきた。
Winner
赤羽修弥選手
Tackle1
Rod: DAIWA STEEZ Racing Design 681M/ML
REEL: DAIWA SS-Air
LINE: DAIWA STEEZ フロロモンスター12lb
LURE: STEEZ プロトタイプワーム
RIG: ダウンショットリグ7g (ステイーズフック)
内海昭選手
Rod: DAIWA BLACK LABEL+ 661M/MLFB
REEL: DAIWA SS-Air
LINE: DAIWA STEEZ フロロフィネス10lb
LURE: GaryYAMAMOTO レッグワーム
RIG: ヘビーダウンショットリグ
準優勝は蛯原英夫・中野隼人チーム。
プラで葦などのカバー撃ちに疑問符を感じた蛯原選手、いつもはやらないリッブラップ系を試してみればベイトも居ていい感じ。プロトのグラブのノーシンカーに可能性を見い出し、試合当日はやや状況は変わったものの、このプランを決行。
外浪逆浦のリップラップにカッ飛んだ。しかし行ってみれば頼みのカレントがない。「流れが出たら釣れる」とじっと我慢。しかし流れは出ないまま。結局、10時前に1本釣っただけでそこを去る羽目になった。
セカンドエリアは潮来マリーナの桟橋。陽が上がってから期待大と知っていた蛯原選手、C4ジグ3.3+アントライオンを投入して予定通り複数のキーパーを獲った。
そして白浜のドックに移動してミスもあったがなんとか1本追加した。しかしまだ満足できる数字は出来ていない。最後の最後に白浜のドックに戻り、風が出て来たのでC4ジグを3.8gに上げ、「ここで釣れなければ帰ろう」というキワでラインが動いた! これが準優勝に結びついた。
「今日の状況ではベストゲーム」と語る蛯原選手だった。
パートナーの中野選手も大貢献した。ストレートワームを駆使して複数の魚を確保するなど、やる時はやるという印象を与えた。
蛯原英夫選手
Tackle1
Rod: EVERGREEN ヘラクラス フォースグランディスLTS
REEL: ベイトリール
LINE: EVERGREEN マジックハードR10lb
LURE: プロトタイプワーム 微波動
RIG: ノーシンカー
Tackle2
Rod: EVERGREEN ヘラクラス ファクト511MHST
REEL: ベイトリール
LINE: EVERGREEN マジックハードR10lb
LURE: EVERGREEN C4ジグ3.8g アントライオン
メインエリア:外浪逆浦、北浦本湖
中野隼人選手
Tackle1
Rod: ベイトロッド
REEL: ベイトリール
LINE: SunLINE BMS10lb
LURE: ストレートワーム
RIG: ネコリグ
Tackle2
Rod: ベイトロッド
REEL: ベイトリール
LINE: SunLINE BMS 10lb
LURE: GaryYAMAMOTO ファットヤマセンコー
RIG: ノーシンカー
メインエリア:外浪逆浦、北浦本湖
今回のキモ:動かさない、じっくりと
3位は常陸利根川の最下流でメガバス・ドットクローラーのノーシンカーをひたすら丁寧に撃ち続けた盛隆弘・柏木健作チーム。
ウェイクボードが沖を走っており、その引き波が当たると釣れたという。「僕の場合は流れがない方が釣れました」と盛選手。流れを待ったチーム、流れがないと釣れたチーム。ここに釣りの不思議さがある。
パートナーの柏木選手は世界を股にかけるビジネスマン。忙しいスケジュールをやりくりしていつも参加している。そのファイティングスピリットは敬服に値する。
盛隆弘選手
Tackle1
Rod: Megabass LEVANTE F5-610C
REEL: DAIWA アルファスAir
LINE: SunLINE Shooter FC Sniper BMS AZAYAKA 12lb
LURE: Megabass DOT CRAWLER 4.8inch
RIG: ノーシンカー
柏木健作選手
Tackle1
Rod: EVERGREEN ファクト70H
REEL: ベイトリール
LINE: Berkley 12lb
LURE: GaryYAMAMOTO FAT IKA
RIG: ノーシンカー
4位は北利根川のハードボトムに1/2ガンターオーバルをステイさせて、流れが出ると釣れることを察知した山本寧・廣瀬祐太朗チーム。
試合当日は一向に流れない状況にアセったが、しのぐしかないとハラを括ってスコアをまとめてきた。
パートナーの廣瀬選手は今年カムバックした若手。1/16のダウンショットをひたすらステイさせるなど、テクも冴えたようである。
5位は外浪逆浦で1本しか釣れないという誤算に見舞われたが、潮来マリーナ横のリップラップでシャッド(F)を早巻させて一気にキーパーを重ねた橋本卓哉・坂田泰信チーム。
「アメドリコンビ」のこの二人、息もぴったり合って橋本選手が下痢を忘れるほど集中したという。
ビッグフィッシュは蔵川ワンド最上流の1.7mラインの杭にフラッピンホグの7gヘビダンをロングアプローチさせた平本直仁・関口恭平チーム。開始10分で来た1965gは、さぞや興奮モノだったことだろう。
こうして暑い戦いは終わった。
リミットメイクはわずか4チーム。ゼロ帰着が4チームという結果を見ても、いかにこの試合がタフだったか理解できる。
しかしそれでも各チーム条件は同じ。釣って来たチームの努力を称えるべきだろう。
残りは最終戦のみ。8月の試合だが、すでに立秋も過ぎた頃だ。秋の訪れは意外に早い。その辺を動物的に察知できたチームが好結果を残すだろう。
楽しみに待っていたい。