梅雨明け直前の
タフゲーム!
今年の桧原をねじ伏せたのは
蛯原英夫・廣瀬祐太郎チーム!
W.B.S.プロトーナメントシリーズ 第三戦レポート
すでに夏の恒例イベントとして定着した
W.B.S.桧原湖戦。
往時は、
数は釣れるがウェイトは出ない
という不名誉なレッテルを貼られた
このハイランドレイクだったが、
いまや東北のエルドラード。
数もサイズも期待できる一大王国となった。
この変化はトータルウェイトシステムが採用されているW.B.S.にとっては
まさにビッグボーナス。
年間を考えた上でも、
絶対に外せない試合となった。
いつも、タフな霞ケ浦水系で試合に臨んでいる選手にとって、
よく釣れる桧原湖はまさに「癒しの湖」。
リミトメイクが比較的容易なレイクは、さすがに楽しい。
試合の結果が良くなくても、
魚の引きを味わうという、
釣り人としてのベーシックな要求を満たしてくれるからである。
しかし、今年の桧原は例年になく厳しいという噂もチラホラ。
その分析はプラクティスで事実と判明した。
「昨年ほどのパワーはないですね」
こういう声があちこちで聞かれた。
ウェイトも伸びないし、
リミットを揃えることすら簡単ではない。
600g×5本も難しい……
そんな悲観論が渦巻いていたのである。
話は前後するが、
今回の試合においても、その分析が正しかったことがわかる。
昨年は全チームがリミットメイク。
しかし今年は2チームがリミットを達成できなかった。
プラクティスにおいても、
各チームは楽観できないレイクコンディションに眉をひそめた。
おまけに、連日の雨は試合当日晴れに変り、
その激変も迷いを生じさせた。
おかげで水位はほぼ満水。
流石に涼しい桧原湖の水温は21~22℃程度。
まだサマーパターンというには早い状況。
ていうか、アーリーサマーにもなっていない雰囲気だ。
例年に比べウィードは少なく、
その代わりベイトは豊富。
ワカサギの大群があちこちで目視された。
というわけで、ワカサギに付いているバスを
サイズを問わずに釣ってビッグバスを待つか、
もしくはシャローに遊弋するナイスサイズをサイトで狙うか……
そんな感じのストラテジーが思い浮かぶ桧原湖だった。
7月20日4時50分、
曇り空の早稲沢浜でローンチングが始まり、
5時20分完了。
今年の桧原湖戦の火蓋が切って落とされた。
年間5戦が組まれているW.B.S.レギュラートーナメント。
ということは、この桧原湖戦がちょうど真ん中、
折り返し点にあたる。
いうまでもなく年間争いを戦う上で、
戦略的にも非常に大事な一戦となる。
ここを過ぎると、あとは北浦の1デイ、霞ケ浦の2デイを残すのみ。
「なんとか後半戦につなげたい」
その思いは全選手、変わることがなかっただろう。
そんな中で、入賞を果たしたチームは、
ほんの少しの釣り方の違い、
魚との遭遇タイミング、
そして若干の「運」に恵まれたといえる。
6位入賞の平本直仁・細田浩司チームは
大川沖の6.5mぐらいのフラット&ブレイクで朝一から粘り、
1時間半ほどでリミットメイク。
1/2ozキャリラバにスレンダーグラブですべての魚を獲った。
フォールで見せて、着底と同時に食っているという感じ。
「600gオンパレードでビッグが入りませんでした」、
と平本選手。
パートナーの細田選手は骨折したアバラ骨を気遣いつつも、
サターンワームのキャロでしっかりフォロー。
入賞に貢献した。
5位は小田島悟・金栗豊チーム。
朝一に中の島の中央ハンプに入り、
3時間ほどかけてリミットメイク。
その後、大川に移動して入れ替えを果たした。
しかし、もう一つ伸びきらず5位に甘んじた。
釣りはキャロとダウンショット。
始めに金栗選手がダウンショットでいいのを釣り、
それがヒントになって、ダウンショットがメインに。
小田島選手は4.2ボウワーム、金栗選手がジャバシャッドを駆使した。
デカイのを逃して悔やんでいた
草深幸範・金井敏チームが4位。
このチームのメインエリアは馬の首、大川、そして月島周り。
この3か所をローテーションしたが、
ルアーアプローチを拒絶するほどの大増水に困惑して結局、
馬の首に勝負をかけた。
バンクにドライブクローラーのネコリグを投げ、
手前まで引いてくるという釣りを駆使して、
少ないバイトをモノにした。
金井選手も、草深選手とほぼ同じ釣りで戦った。
3位は柴崎智尋・保延宏行チーム。
9時の時点で5本2kgしか持っていなかったこのチーム、
晴れてきたタイミングを逃さず、
糠塚からのシャローや奥のワンドのレイダウンなどを攻め、
虫パターンやジカリグを駆使して
ウェイトを上げていった。
青木虫に食って来た930gが今回のビッグフィッシュとなった。
パートナーの保延選手の活躍も見逃せない。
虫パターンのヒントとなったのが、
保延選手のドライブスティック3.5のノーシンカー・ステイだったからだ。
準優勝はキムショー・君和田知之チーム。
このチームはクルマのトラブルなどで朝から苦戦の連続だった。
リミットを揃えたのがなんと12時というスローペース。
「はっきりいって全然釣れていませんでした」
と入賞もほど遠い雰囲気。
しかし陽が上がってからが違った。
ハイライトでのシェード攻めが奏功して、
ペースが上がった。
キムショー選手がドライブクロー3インチテキサス、
君和田選手がアライブシャッドのジグヘッドで
800gクラスを重ねてウェイトを3600gに押し上げた。
そして優勝は蛯原英夫・廣瀬祐太郎チーム。
蛯原選手は第二戦に続いての連勝である。
プラではSRミニでキロアップのラージを獲って
モチベーションを上げたが、
それにとらわれる蛯原選手ではない。
当日、それを試して音なしも想定内、と意に介せず
「その日を釣る」作戦に出た。
メインエリアは大川、糠塚周りと早稲沢。
渋い中、食わせの釣りがキモと判断して、
ウィードエリアをライトキャロでスローに釣るという作戦を展開。
プラでは一投もしなかったというダブルモーションのプロトを投げれば、
丸呑みされる好調さ。
そのヒゲと爪のアピールに桧原バスも一発で魅せられたとか。
パートナーの廣瀬選手の活躍も見逃せない。
こちらはフォールクロー2.5inのキャロ。
バイトに対して十分に食い込ませて合わせる釣りで
確実にキーパーを獲っていった。
「剛腕」などと形容されて、
豪胆な力任せの釣りをするように思われる蛯原選手だが、
実は超繊細な性格を持っている。
血液型はA型。
デッキにはタックルがキチンと並べられ、常に臨戦態勢。
フックはバーブレス、浅い食いに対するロングリーダーなど、
檜原の釣りを研究し尽くした合理的な準備が結果に結びついた。
もちろん、その蛯原選手の技術をしっかりと再現させる
優秀なタックルがあったのも、優勝の原動力だったと思われる。
こうして、夏の桧原湖戦は終わった。
片づけを終えて、土浦に戻るスタッフの車中から見えた桧原湖は、
まるで激しい戦いなどなかったように、静かに凪いでいた。
しかし、これから舞台は北浦、霞ケ浦に移り、
いままで以上に過激な死闘かが繰り広げられるのである。
だが、とりあえずはナイスゲームを見せてくれた
選手の皆さんにご苦労様と申し上げたい。
柴崎選手TackleData
Tackle1
ROD:EVERGREEN TEMJINカレイドデジーノマッハL1
REEL:ベイトリール
LURE:Berkley 青木虫
LINE:TORAY PE 0.6号
RIG:ノーウェイト
Tackle2
ROD:EVERGREEN TEMJINカレイドブラックレイブン
REEL:ABUGarcia Revo LT-L HS
LURE:霞デザイン 霞クロー
LINE:TORAY スーパーハードプレミアムプラス13lb
RIG:ジカリグ
メインエリア:北側のカバーのランガン
今回の肝:プラにとらわれず、その日を釣る。
保延選手TackleData
Tackle1
ROD:DAIWA ブラックレーベル 691MLFB
REEL:DAIWA PX68
LURE:O.S.P ドライブスティック3.5inch
LINE:SunLINE FCスナイパー 8lb
RIG:ノーウェイトバックスライド
Tackle2
ROD:DAIWA ブラックレーベル 681LXFS
REEL:DAIWA AEGIS 2506
LURE:Reins Gテールサターン2.5inch
LINE:SunLINE FCスナイパー 2.5lb
RIG:キャロライナリグ
メインエリア:北側エリアのランガン
今回の肝:プラクティスにとらわれずに”今”を釣る!!
キムショー選手タックルデータ
TackleData
Tackle1
ROD:TENRYTU マグナインパクトヘルティック67MHH
REEL:DAIWA STEEZ103HL
LURE:O.S.P ハンツ14g ブラックガード取る
LINE:TENRYU MI-10lb
RIG:トレーラー O.S.P ドライブクローラー3inch シナモンブルーフレーク
Tacke2
ROD:TENRYTU マグナインパクトヘルティック67MHH
REEL:DAIWA PX68L
LURE:O.S.P ドライブクロー3inch シナモンブルーフレーク
LINE:TENRYU MI-10lb
RIG:テキサスリグ7g
メインエリア:西岸
今回のキモ:ハイライトからのシェード!+石系
君和田選手TackleData
Tackle1
ROD:DAIWA STEEZ グレイゴースト60-L
REEL:スピニングリール
LURE:アライブシャッド3inch
LINE:SunLINE FCスナイパー 3lb
RIG:1/32oz ジグヘッドリグ
Tackle2
ROD:EVERGREEN スーパースカイホーク62UL
REEL:ABUGarcia カーディナル
LURE:BaitBreath バイスクロー2.5inch
LINE:SunLINE FCスナイパー 3lb
RIG:3.5g ライトキャロライナリグ
メインエリア:西岸、ワンドの奥で風が吹きもむタイミング
今回の肝:シェードに岩が絡んでいるところ。バックシートからじっくりライトリグでスローに釣る。
蛯原選手TackleData
Tackle1
ROD:EVERGREEN ヘラクレスファランクス
REEL:EVERGREEN オーパス1
LURE:EVERGREEN ベビーダブルモーション(プロト)
LINE:EVERGREEN バスザイルR 3lb
RIG:キャロライナリグ 2.5g
Tackle2
ROD:EVERGREEN ソルティーセンセーション D-ATTACKER
REEL:EVERGREEN オーパス1
LURE:EVERGREEN ベビーダブルモーション(プロト)
LINE:EVERGREEN バスザイルR 3lb
RIG:キャロライナリグ 2.5g
メインエリア:大川、早稲沢、糠塚周辺
今回の肝:スローにスローに!
廣瀬選手TackleData
Tackle1
ROD:ENGINE スペルバウンドサーキットクラス SBCS-604L’MG
REEL:スピニングリール
LURE:ENGINE フォールクロー2.5inch
LINE:フロロカーボン3lb
RIG:キャロライナリグスタジオ100キャロライナシンカー2.6g
メインエリア:大川、早稲沢、糠塚周辺
今回の肝:とにかくゆっくり動かすこと。