水温10℃の攻防!!
超絶タフゲームを制したのは!
弱冠30歳の袖山敦志選手!!
30th WBSカスミプロクラシックレポート
今年30回目を迎えたW.B.S. カスミプロクラシック。
その歴史をたどればビッグネームの名前が居並ぶ。
そう、クラシックはA.O.Y.と並ぶW.B.S.の2大タイトルなのだ。
従って、クォリファイするだけで名誉なこと。
誇るに足る栄誉だ。
ここ数年、コロナに災いされ続けたW.B.S.トーナメントであったが
関係者の努力もあって、なんとか例年並みに開催できることとなった。
今年、この大舞台に立つことができたものは12名。
コンディションは超絶タフではあったが
全員が死力を尽くして戦ったのだった。
これを書いているのは11月24日。
本当はもっと早く仕上げるつもりだったが、クラシック翌日の21日は廃人。寝たきり。
22日は選手コメントのテープ起こし。(一日かからないやろ)
そろそろ書くか、と思った23日はワールドカップ。(昼間できるやろ)
24日も朝からそのハイライトを見まくり、結局、昼前に書き始める体たらくだった。
それにしても浅野のゴールは凄かった。
思わず大声が出た。
さて、それはともかく今年のクラシックも厳しいものだった。
10月末に行われたBASSERオールスタークラシック同様、リミットメイクなど夢のまた夢、という感じだった。
小島貴選手も
「いまの霞ヶ浦はひとつのバイトさえとることが至難の業」と語っていた。
気象条件はそれほど悪くなかった。
初日は晴れの微風、二日目は曇りの強風。
寒さは覚悟の上で、ことさら悲惨な状況ではない。
水温が徐々に低下するスローな季節ではあるが、過去はそんな時期でも釣れていた。
2019年のクラシックを勝った蛯原選手は二日間5本のフルリミットを持ち込んでいたのである。(といってもそれは蛯原選手だけだったが…)
しかし、ここ二年は超絶釣れない霞ケ浦となってしまった。
だから選手間でささやかれていた釣果予測も、かなり弱気なものだった。
「3本獲れればお祭り騒ぎ。1本でも満足すべし。ゼロもあり得る」との観測が主流だった。
ゆえに、ほとんどの選手が1本ずつ拾っていく守りのゲームを推し進めた。
ワンスポットでまとめることなど不可能に近いので、可能性のあるエリアを求めて走り回る光景が見られた。
そして昨年の覇者、松村寛選手の4410gというスコアが基準となった。
そんなゲームを飄々と勝ってしまったのは袖山敦志選手。
今年の6月に初勝利を遂げた弱冠30歳の若手である。
プラでは釣れた日も釣れない日もあったと言うが、掴んだ感触は
「石積みがキー。タイミングが合えば釣れる」
というもの。
初日は揃えるつもりで出て行った。
プラン通り大山などの石積みに走り、ソウルシャッドを投げた。
すると2投目にバイトが。結局2バイト1本ゲット。
水温が上がったタイミングでダブルモーションのテキサスで1本。
そして初日1835gを獲りビッグフィッシュ賞を獲得した。
みんな石積みフィッシュである。
数本のミスもあったが、トータル3035gで2位スタート。
上々の滑り出しを見せた。
しかし二日目は苦戦した。
ローライトなのでシャローは厳しいかと考えたが、「ワンチャンある」とリグったバズが魚を呼び寄せた。
「もしかして」と朝、クルマに取りに行ったことが大正解だった。
結局、この1本が効いて優勝を手繰り寄せた。
「若手の台頭が目立つバストーナメントですから、僕も負けてはいられません。
偉大なる先輩が築き上げた伝統を守りたいと思います」
表彰式ではこう語っていた。
袖山選手が6月に初勝利を遂げたと書いたが、その時の2位が橋本チーム。
期せずして今回と同じである。
袖山選手は初日を終えた時「明日は勝って霞ケ浦にダイブします」と宣言していた。
その覚悟たるや、見上げたものである。
袖山選手タックルデータ
ROD:ロードランナーHB630L
REEL:ベイトリール
LURE:スピナーベイト
LINE:フロロ12lb
ROD:ベイトロッド610MH
REEL:ベイトリール
LURE:ノリーズ・ボルケーノグリッパー3/8oz
LINE:フロロ16lb
準優勝は前述のとおり橋本選手。
初日705g1本と出遅れたが、2日目に立て直して単日2位の2本2610gを持ち込んだ。
4kg釣ってくれば優勝もある、と読んで出て行ったが、ファーストスポットの夜越川は白濁りの水と10℃の水温を見てUターン。
スピナベが効かないとの理由である。
そしてセカンダリースポットの園部川に向かった。
個体数は少ないがサイズがいいという川である。
巻きが効かない水温に投入したのはSSギル。
7gウェイテッドフックを装着してアシの間などをスパイラルフォールさせた。
それに来たのが二日のビッグフィッシュ賞を獲得した1375g。
今回は期せずして優勝者と準優勝者がビッグフィッシュ賞を獲得した。
「あと1本獲れば優勝できると思っていましたが、その1本が難しいんですよ」
とお立ち台では真理を語っていた。
しかしA.O.Y.獲得とクラシック準優勝は十分誇るに足る結果といえよう。
橋本選手タックルデータ (ビッグフィッシュ)
ROD:STEEZ C70H-SV-ST FURY
REEL:ジリオン SV TW SLP WORKS SV BOOST 1000S
LURE:O.S.P SSギル
LINE:スティーズフロロ X’LINK 14lb
SINKER:STEEZ ウェイテッドフックSS 5/0 (1/4)
3位は初日トップで折り返した小島貴選手。
プラも思わしくなく「その日を釣ろう」と出て行ったが、12時までノーフィッシュ。
そこで古渡のシャローに行き、プロズのスイムジグ+ヘッドシェイカーを投げればファーストヒット。
「ひょっとしてパターン発見?」と同じリグを撃てば3本来て3195g。
しかし二日目はローライト+爆風。
得意の巻きパターンを推し進めたが、音なし。
3位に終わった。
しかし渋い中でも「トーナメントは楽しい」と語っていた。
自分の釣りを推し進めた結果だろう。
小島選手タックルデータ
ROD: EVERGREENINTERNATIONAL FACT 67MH
REEL:タトゥーラ SV TW 7.1:1
LURE:プロズファクトリー スイムジグ3/8+ヘッドシェイカー5インチ
LINE:バスザイル マジックハードR 14lb
こうして今年もクラシックで、W.B.S.のすべてのスケジュールが終わった。
最終戦がキャンセルになったものの、一応はカタチになった。
クラシックの若手の優勝は、W.B.S.の将来に光明がさしてきたような印象を受ける。
ベテランと中堅、そして若手が競い合うと、もっともっと面白くなると思う。
来年はそんなメンバーでフルシーズン、W.B.S.らしいトーナメントを繰り広げたいものだ。
みなさんお疲れ様でした。
レポート・大和小平